社会人であれば一度は「コンプライアンス」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。聞いたことはあるものの、実際どのような意味なのか明確に答えられる自信がある人は少ないかもしれません。

コンプライアンスとは日本語で法令遵守と訳され、企業がルールや社会的規範を守って行動することを指します。企業の不祥事が相次ぐ中、企業の規模に関係なく知っておきたい用語でしょう。

今回はコンプライアンスとは何なのか、実際の違反事例、気を付けるべきポイントをご紹介します。コンプライアンスってよく聞くけど、結局何なの?とお悩みの方は、基本的な知識から学んでいきましょう。

コンプライアンスとは

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コンプライアンスとは英語でcomplianceと表記し、単語そのものの意味は命令や要求に従うことを指します。
日本語では法令遵守と訳されることが多く、企業においては定められた法律や規則を守って経営を行うことを指します。

コンプライアンスと聞くと、法律を守ることだけを想定した方がいらっしゃるかもしれません。ですが現在は、法律を守ることだけではなく、倫理観や道徳観、社内規範といったより広範囲の意味として使われることが一般的になっています。

たとえば、商品を製造するときに環境に優しい素材を使用していることを自社ホームページで公開している企業があるとします。これは企業が市民や地域に貢献するべきというCSR(企業の社会的責任)の考え方をもとに行われており、コンプライアンスの一つとして認識されています。

法令を守るだけではなく、企業の社会的責任を果たすことを含む広義のコンプライアンスに取り組むことで、社会からの信頼を得られる、企業の知名度を上げるといったメリットがあります。反対に、コンプライアンス違反があれば社会からの信頼を失い、企業活動にも悪影響があったということになりかねません。そのような事態を避けるためにも、しっかり学んでおきたい知識といえるでしょう。

参考:[三省堂辞書サイト]10分でわかる「コンプライアンス」

コンプライアンスが必要・重要視されるようになった背景

コンプライアンスが重要視されるようになった背景には、近年相次いでいる企業の不祥事が関係しています。たとえば、顧客のメールアドレス・パスワードの流出や、建物の耐震基準偽装、食品の産地偽装などもコンプライアンス違反に該当します。

コンプライアンスに違反すると信頼を失い、最悪の場合経営が続けられなくなり倒産してしまうこともあります。また、コンプライアンスに違反した企業だけではなく取引先や顧客にも大きなダメージを与えてしまいます。そのような事態を避けるためにも、コンプライアンスという考え方が重要になります。

参考:「コンプライアンス強化の必要性」

リスクマネジメントもコンプライアンスの観点

また、リスクマネジメントの観点に含まれますが、企業の業績拡大や短期的な利益の優先が要因でコンプライアンス違反が発生すれば、企業に社会的責任が求められるでしょう。まずは社員にコンプライアンスの徹底を啓蒙する必要があります。

コンプライアンスの違反事例

コンプライアンス違反が該当するのは、どのようなときなのでしょうか?

帝国データバンクの調査によると、2018年度のコンプライアンス違反倒産は233件で前年度比0.9%増。違反類型別では「粉飾」が73件で2018年度の最多となり、詐欺や横領を指す「資金使途不正」が59件と過去2番目の高水準となりました。

また、株式会社東京商工リサーチは、2016年度にコンプライアンス違反によって倒産した企業に関する調査を発表しました。

調査結果によると、2016年度にコンプライアンス違反によって倒産した企業は178件あります。これは前年度の191件と比較して減少しており、コンプライアンスの考え方が以前よりも浸透していることが伺えます。実際に違反した事例で最多だったのは業法違反や法令違反で、次に多いのが脱税などの税金関連の違反です。

「うちは法令違反なんかしていないから大丈夫だよ」と思った方がいらっしゃるかもしれません。ですが、法令違反や脱税だけではなく、より身近なところでコンプライアンス違反をしてしまっている可能性があります。

例えば、サービス残業、パワハラもコンプライアンス違反に該当する危険性が十分にあります。自分でも気づかないうちにコンプライアンスに違反してしまったということにならないためにも、どのような行動が違反に該当するのか知っておきましょう。

参考:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2018 年度)

コンプライアンス違反が起こる原因

コンプライアンスの原因の一つとして、自分がとった行動が違反していることに気づいていないことが挙げられます。違反に気づかずそのままになってしまうと、違反している状態そのものが当たり前になってしまうという危険性があります。

また、仮にコンプライアンス違反だと気づいていても、それを報告、相談しにくい環境では改善することは難しいでしょう。例えば、サービス残業が当たり前になっている会社では、社内で報告しづらいことが予想できます。

コンプライアンスの正しい知識が社内に浸透しておらず知らないうちに違反してしまう、あるいは社内が相談しにくい環境にあり、気づいていてもそのままになってしまっているといった原因が考えられます。

参考:第1回 コンプライアンス違反を引き起こしやすい組織の特徴

コンプライアンスで気を付けるポイント

コンプライアンスに違反しないためには、どんなポイントに気をつければいいのでしょうか?気づかないうちに違反してしまうことがないよう、まずはコンプライアンスに関する正しい知識を身につけることが重要です。

書籍を読んだり、外部の講師を社内に呼んで研修を行ったり、セミナーに参加したりといったさまざまな方法があります。また、社内でコンプライアンスに関する相談がしやすい環境を作るという方法もあります。

会社によっては、CCO(Chief Compliance Officer)と呼ばれる社内のコンプライアンスを統括する役職を設置していることもあります。CCOの設置が難しい場合でも、社内で相談できる窓口を作るなど、相談しやすい環境作りが大切です。また、東洋経済では内部通報が多い企業ランキングを発表しています。

内部通報が多い会社にネガティブな印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。ですが、内部通報が多ければ、それだけ社内がコンプライアンスに関して相談しやすい環境といえます。同じ業界でランクインしている企業があれば、参考にできるポイントがあるかもしれません。

参考:コンプライアンスとは?意味や違法事例、企業が気をつけるべきことを社労士に聞きました

まずはコンプライアンスの啓蒙から

「うちは社員も少ないし、コンプライアンスまで手が回らないよ」よと思われるかもしれません。ですが、相談しやすい環境を作る、コンプライアンスに関する知識を共有するといった小さなことからでも取り組むことができます。

社内での対応が難しければ、専門家や講師を招いてレクチャーしてもらうのも一つの手段です。ご紹介した違反事例も参考にしながら、自社でできそうな施策を模索していきましょう。

参考:コンプライアンス研修(講師派遣)

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