2016年4月にはLINEおよびFacebookが、ぞれぞれのSNSにおけるメッセージ機能のAPIを公開しました。

これにより、企業はFacebookやLINEのメッセージ機能を使って自動で会話を行うチャットボットを作成できるようになりました。まるで会話しているかのように回答が返ってくるチャットボットは、ユーザーとの新しい交流の形として注目されているだけではなく、問い合わせや見積もり対応などにかける工数の削減になると期待されています。

今回は、実際にferretで作成したチャットボットの事例をもとに、非エンジニアがチャットボットを作成する際の3つのポイントを紹介します。

現在、ご覧になっているWebマーケティング総合メディア「ferret」では、Facebookのメッセンジャー機能を利用したチャットボットを2017年6月より提供しています。作成の中で見えてきたノウハウから、チャットボットの特徴や運用のポイントを見ていきましょう。

参考:
Messenger Platform at F8 | Facebook Newsroom
Messaging APIのご紹介 | LINE Business Center
  

チャットボット(Chatbot)とは

そもそも、チャットボット(Chatbot)とは、どのようなサービスを指すのでしょうか。

チャットボット は、「チャット」と「ロボット」を組み合わせた造語であり、会話に自動応答するシステムを指します。ホームページ上で起動するチャットボットだけでなく、FacebookのメッセンジャーやLINEのトーク機能を活用したものもあります。

まるで、チャットで会話をするようにやり取りするため、ユーザーにとっても抵抗感なく入力できるのが特徴でしょう。企業にとっては、問い合わせ受付や見積もりの発行といった作業をチャットボットで代行することで、工数を削減できるというメリットもあります。

参考:
[チャットボット (Chatbot) とは? 【ChatBot入門編】 | freshtrax | デザイン会社 btrax ブログ] (http://blog.btrax.com/jp/2016/10/31/chatbot/):blank
チャットボット | IT用語辞典 | 大塚商会
2016年はチャットボット元年?今知りたい「チャットボット」の基本的な仕組みと4つの事例を紹介|ferret
  

実際に作成して見えてきたチャットボット作成3つのポイント

現在、ご覧になっているWebマーケティング総合メディア「ferret」では、Facebookメッセンジャー機能を利用したチャットボットを運営しています。

▼ferret メッセンジャーボット
https://www.facebook.com/messages/t/ferretportal
※Facebookメッセンジャーへ移動します

 【主な機能】
・希望に応じた新着記事配信
・ユーザーの興味がある分野に特化した記事配信
・キーワードによるferret掲載記事の検索・閲覧

では、チャットボットを実際に作成してみて、どのようなポイントが見えてきたのでしょうか。3つのポイントを紹介します。
  

利用したチャットボットサービス「Chatfuel」

2017年6月に公開したferretのチャットボットは、エンジニアが独自に開発したものでなく、「Chatfuel」というチャットボットサービスを利用しています。

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https://chatfuel.com/

こちらのサービスでは、Facebookが提供しているアプリ「メッセンジャー」と連動したチャットボットが作成できます。利用は無料であり、 プログラミングの知識がなくても利用できる編集機能が特徴です。

参考:
エンジニアでなくてもFacebookメッセンジャーのボットが作れる!Chatfuelの使い方を解説|ferret
  

ポイント1.会話のシナリオを事前に考えておく

チャットボットの基本は、ユーザーからきた問いかけに答えることにあります。そのためには、*ユーザーからどのような返答がくるのかを想定して、会話のシナリオを組んでおくことをオススメします。*特に、複数の問いかけからから1つの返答に誘導する場合は、返答内容にズレが発生していないかチェックが必要です。

例えば、ユーザーから問いかけられた内容に対して、オススメのレシピを返答するチャットボットを作成するとします。「夏 料理」「食欲がわかない」という複数のキーワードに対して、冷やし中華のレシピを勧める場合、以下のような会話文が想定できるはずです。

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Aでは「夏にピッタリな料理のレシピを教えて」という回答に対しての返答としては成立していますが、「今日は暑くて食欲がわかないなぁ」という問いかけに対する返答としては違和感があります。一方、Bでは、どちらの問いかけに対しても違和感がないでしょう。

このような会話文のズレを防ぐには、ユーザーからの返答にどう答えるかといったシナリオをあらかじめ考えておくことが大切です。
  

ポイント2. 言葉は簡潔にわかりやすいものを選ぶ

サービスや商品の説明をして、文章が長くなってしまうことはよくあることでしょう。ですが、文章が長くなり過ぎると一方的な説明になってしまい、会話文らしさがなくなってしまいます。

言葉は簡潔にわかりやすいものを選ぶようにしましょう。
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例えば、ferretのチャットボットでは、記事の配信設定後に出る文章をわかりやすくするため、以下のような修正を行いました。

変更前では「ありがとうございます!新着記事の全配信について、設定いたしました」とありますが、変更後では「すべての新着記事が配信されるよう、設定いたしました」と修正しています。
少しの文言修正で文章のわかりやすさは変わります。どのような返答をすればユーザーがすぐに理解してもらえるのか、考えて文章を作成するようにしましょう。

  

ポイント3. ツールの料金体系を事前によく調べておく

無料で使えるチャットボットサービスを利用する際に意識しておきたいのが、ツールの料金体系です。実際、ferretでは「Chatfuel」を使う中新着記事の配信のために必要となる外部ツール「Zapier」を利用しております。こちらは有料です。

*チャットボットサービス自体は無料であっても関連するサービスは有料な可能性があります。*料金体系は事前によく調べ、自社の求める機能にどの程度予算が必要なのかは把握しておきましょう。

そして、国内外問わず、無料で利用できるチャットボットサービスが提供されています。1つのツールに限らず、複数のサービスを比較検討して、どのボットサービスがもっとも自社に合っているのかを考えておくのもオススメです。

参考:
自動で返信してくれるチャットボットを作成できるサービスまとめ|ferret
Pricing | Zapier
  

まとめ

チャットボットとは、まるで人間と会話しているかのようにユーザーへ返答するシステムを指します。そのため、チャットボットには人間らしい自然な会話文が求められます。

しかし、チャットボットはシステムである以上、予想していないユーザーの回答には答えられません。チャットボットの利用用途に合わせて事前にシナリオを組んでおき、どういった会話文が予想されるのか洗い出しておきましょう。

また、近年では、チャットボットにAI(人工知能)を組み込むことで、そのような予想だにしないユーザーの問いかけや表記揺れにも対応できるようにするサービスも生まれつつあります。今後も、より人間らしい会話に近づけるため、チャットボットの進化は続くでしょう。