決算資料は、企業の経営者や役員、投資家がチェックするイメージを持っている方も多いはずです。ですが、役職問わず決算資料をチェックすることで自社もしくは関連企業、競合企業の事業の強みと弱みを把握することができます。

新規事業の立ち上げから、事業ごとの収益性などビジネスパーソンであれば誰にでも参考にできる情報が得られるでしょう。テクノロジーやトレンドの移り変わりが激しいIT企業であればなおさらです。

今回は、2017年7月から8月に発表された主要なIT系上場企業の決算資料をまとめました。
わかりやすくまとめられた資料が多く理解しやすいので、ぜひチェックしてみましょう。

2017年7〜8月発表のIT企業決算資料

1.株式会社サイバーエージェント

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http://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/xOcR/avyq/SBXK.pdf

株式会社サイバーエージェントは、「AbemaTV」のメディア事業や「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」のゲーム事業など様々な新事業を展開しています。一方で中核となるインターネット広告事業がスマートフォン広告比率が上昇したことで高い増収率を継続しており堅調に成長しています。

売上高:895億円(前年比 :17.3%増)
営業利益:65億円

2.LINE株式会社

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https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/library/Q2_presentation_JP.pdf

メッセンジャーアプリ「LINE」の運営の他、企業の公式アカウントやLINE@における広告事業が順調に成長しています。また、LINEニュースやLINEマンガといったLINE関連のコンテンツサービスが安定的に成長していることがわかります。

売上高:382億円(前年比:32%増)
営業利益:80億円

3.楽天株式会社

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https://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/

楽天市場などEC事業が国内外とも増加傾向にあり、堅調に営業利益を伸ばしています。またラクマ×フリマで行っているC2C事業も成長途上にあり、年間流通総額が1,000億円が視野に入ったと発表されています。楽天カードの取扱高が前年比21.1%増加、楽天銀行の営業利益が26.7%増加している一方で、楽天証券の営業利益が前年比-11.1%など減少しています。

売上高:2,280億円(前年比:20.9%増)
営業利益:319億円

4.株式会社アドウェイズ

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https://ir.adways.net/irnews/20170802_67Rpd.pdf

広告事業を展開する株式会社アドウェイズは、前四半期比で売上高が4.9%減少していますが前年比では2.3%増加しています。また、全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」を導入したことで、今後継続的に広告成果が上がっていく見込みとの発表がありました。

売上高:107億円(前年比:2.3%増)
営業利益:16億円

5.株式会社ディー・エヌ・エー

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http://bit.ly/2wfrFTh

株式会社ディー・エヌ・エーは、任天堂と協業している「ファイヤーエムブレムヒーローズ」や「スーパーマリオラン」が成長しており、ダウンロード数、売上共に堅調に成長しています。メディア事業では閉鎖していた女性向けメディア「MERY」の運営体制を刷新し、小学館との共同出資で株式会社MERYを設立し、新しいMERYを目指すと発表しています。

売上高:365億円(前年比:5%減)
営業利益:74億円

6.グリー株式会社

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http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1502703

グリー株式会社は主力のゲーム事業では、ウェブゲームのコイン消費量の減少が年間を通して続きました。一方で、ネイティブゲームでは新作タイトルを8作品発表し、その内1本は海外に展開、そして、内6本のゲームタイトルがセールスランキング50位以内を獲得しています。グローバル市場向けのタイトル開発に集中すると発表されています。

売上高:654億円(前年比:7%減)
営業利益:80億円

7.株式会社ミクシィ

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http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=38841&code=2121

株式会社ミクシィは、売上高、営業利益共に増加しているものの前年比とほぼ横ばいでした。エンターテイメント事業部はモンスターストライクなど代表ゲームタイトルの周年イベントや年末年始を経て、通常期の運用レベルに安定しアクティブユーザーを維持しています。

売上高:482億円(前年比:1.9%増)
営業利益:202億円

8.ヤフー株式会社

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https://about.yahoo.co.jp/ir/jp/archives/present/

ヤフー株式会社は、メディア事業において検索連動型広告売上高が、前四半期と同水準の成長率を維持しました。またYahoo!ショッピングをはじめコマース事業が堅調な成長をみせており、新規・既存の購入者が前年比で過去最高を達成しています。ソフトバンクとの連携が功を奏したと発表されています。また、トピックとして、ディープラーニングに特化したスパコン「kukai」の開発を進めています。

売上高:2,127億円(前年比4.1%増)
営業利益:522億円

9.GMOペパボ株式会社

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http://pdf.pepabo.com/presentation/20170727p.pdf

GMOペパボ株式会社は、C2C向けのハンドメイドEC事業mineが季節性のあるインベントやキャンペーンを開催したことで19.6%増加し好調に伸びています。カラーミーショップなど既存のEC事業も安定して増収しています。一方でjugemなどコミュニティ事業は広告収入の減少があったと発表されています。

売上高:367億円(前年比:7.1%増)
営業利益:91億円

10.株式会社リブセンス

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http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1508952

株式会社リブセンスは、売上高が全事業において増収を達成し、前年と比べ24.4%増加しました。また、求人系メディアである転職会議や就活会議が売上成長を担い営業利益も好調で業績予想を上回る着地を達成したと発表されています。

売上高:137億円(前年比:24.4%増)
営業利益:1.4億円

11.株式会社カカクコム

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http://pdf.irpocket.com/C2371/xOcR/tasj/mLwQ.pdf

株式会社カカクコムは、主力事業である「価格.com」が好調に推移し事業の売上高が前年比3.4%増加しています。一方で、「食べログ」は売上高が前年比6%増加するものの、個人課金者が減少傾向にあります。新プラン導入の飲食店拡大を目指しているとの発表がありました。

売上高:106億円(前年比:4.5%増)
営業利益:51億円

12.クックパッド株式会社

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http://pdf.irpocket.com/C2193/xOcR/Drb5/wEnJ.pdf

クックパッド株式会社は、「みんなのウェディング」の連結除外など、複数の売却会社による売上減少と広告事業の売上減少により、前年比13.3%売上高が減少しました。また、クックパッドの会員事業は大手検索エンジンのアルゴリズム変更の影響を受けたことにより新規流入数の減少があったとの発表がありました。

売上高:71億円(前年比:13.3%減)
営業利益:37億円

13.エムスリー株式会社

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https://corporate.m3.com/ir/library/presentation/pdf/20170726_01.pdf

エムスリー株式会社は、売上高と営業利益共に堅調な成長を見せています。トピックとして、インターネットとリアルの事業展開が進んだことにより従来の事業と新事業の統合が行われています。また、事業規模の拡大に伴う新セグメントの区分なども行われています。

売上高:218億円(前年比:21%増)
営業利益:62億円

14.株式会社クラウドワークス

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http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80447/8247659e/e633/42bb/ad15/2c2ff48cb9d0/20170810133957305s.pdf

株式会社クラウドワークスは、増契約額、営業収益ともに過去最高を達成していまします。営業利益も約9000万円改善しており、黒字化に向けて順調な進捗を見せています。第4Qで黒字化を見通して順調な成長をしているのがわかります。クラウドワークスのユーザー数も増加傾向にあり、前年比で約50%増加しているとの発表があります。

売上高:45億円(前年比:38.3%増)
営業利益:-3億円