ペーパーレス化の課題

コスト削減から書類管理の効率化、セキュリティの向上など電子化には様々なメリットがあります。一方で、電子化を行い自社の書類管理をペーパーレスで行う上で、考えておくべき課題があるのも事実です。

1.電子化した資料の利用方法と管理ルールを周知する必要がある

ペーパーレス化する上で課題となるのが、書類の保存方法によっては一定のITスキルを要することです。例えば、電子契約サービスやクラウドストレージなどを新たに導入した場合、その利用手順や管理のルールについて全社的に周知する必要があります。

社外での利用や私用端末での展開を禁止するなど、紙の書類とは異なる管理ルールを社員全員が把握し、実施できる環境作りが課題となるでしょう。

また、紙の書類ではメモを直接書き込めますが、ペーパーレス化しデータ保管になることでメモを取ることができません。そのため、Adobe「Acrobat Pro DC」のようなツールの活用も新たに検討する必要があります。

参考:
Acrobatをより便利に!知っておきたい便利な小技5選|ferret [フェレット]

2.端末やインターネット回線の不調により閲覧できなくなる可能性

ペーパーレス化を実現することで、書類の思わぬ紛失や損壊を防ぐことができますが、利用端末やインターネット回線の不調により閲覧できなくなる可能性があります。

クラウド上に保管されている場合であれば、データの紛失こそありませんが、「重要な会議のタイミングで回線不調により資料が使えない」のように、必要なタイミングで閲覧できないのは業務上のデメリットです。

バックアップや予備の端末を用意しておくことが重要になります。また、回線不調に備えて資料を利用する時のみローカルデータとして一時保存するなど、万が一に備えた対策を考えてみましょう。

3.既存の“紙の書類”をデータにする工数が発生する

もし、社内に大量の書類が保管されており、今後ペーパーレス化を行おうと検討しているのであれば、紙の書類をデータにする工数が発生することを想定しておきましょう。これから作成する書類はデータで出力すれば良いものの、既存の書類をデータ化する場合、OCR(光学文字認識技術)に対応したスキャナを利用して個別にデータを生成しなければなりません。

紙の書類のデータ化を代行するサービスがあるため、利用するのも手段と言えるでしょう。ビジネス文書のデータ化代行サービスの多くは、セキュリティ対策を行っていることが殆どですが、万が一に備えて機密性の高い書類は内製するなど、用途に応じて使い分けることも大切です。

参考:
紙文書電子化サービス - ソリューション - ビジネスソリューション | コニカミノルタ

3.管理・運用方法によってはセキュリティ上のリスクが発生する

セキュリティの向上が見込めるペーパーレス化ですが、その管理や運用方法によっては紙の書類よりもセキュリティ上でのリスクが大きくなる可能性があります。例えば、データの複製・編集・ダウンロードが自由に行える状態で保管している場合などが該当します。

また、全社的に利用ルールの徹底を行っていない場合、社員の私用端末からの情報漏洩というリスクも考えられるでしょう。パスコードを設定していないスマートフォンや、暗号化していないファイルのメールの誤送信など様々なリスクが生じます。

そのため、ペーパーレス化すれば安全という認識を持たず、あくまで管理や運用体制を整備し、セキュリティ対策を行った上で初めて安全に利用できるという認識を持ちましょう。

参考:
情報を漏洩しないための具体的対策|ferret [フェレット]