社内関係者やクライアント向けに作成するリスティング広告レポートは、広告を効果的に運用するために必要不可欠です。しかし、適切な手順で作成したうえで改善していかなければ、期待する効果は得られません。

この記事では、リスティング広告レポートの基本型を紹介するとともに、作成する手順注意点を解説します。リスティング広告の運用効果を高めたい方や、レポートの作成方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. リスティング広告レポートとは
  2. リスティング広告レポートを作成する目的
  3. リスティング広告レポートの基本型
  4. リスティング広告レポートの作成手順
  5. リスティング広告レポートを作成する際の注意点
  6. レポートを活用してリスティング広告を改善しよう

リスティング広告レポートとは

リスティング広告のレポートには、Google広告やYahoo!広告管理画面で閲覧できるレポートのほか、社内関係者やクライアント向けに作成するリスティング広告の運用結果や今後の方針まとめたレポートがあります。

本記事では後者の運用結果や今後の方針をまとめたレポートについて詳しく解説します。このレポートには、おもにインプレッション数やクリック数、コンバージョン率などを記載するのが一般的です。

レポートに記載したさまざまなデータから、運用しているリスティング広告成果や課題を分析し、今後の改善策を立てていきます。

リスティング広告の詳しい説明はこちら
はじめてのリスティング広告。Web広告担当に配属した新人マーケターにおすすめ資料まとめ

リスティング広告レポートを作成する目的

リスティング広告レポートを作成する目的として、主に以下が挙げられます。

  • リスティング広告の運用状況の共有
  • 運用にあたっての課題解決
  • 運用にかかる費用対効果の改善

リスティング広告に関するデータをリアルタイムで知り得るのは、基本的に運用関係者のみです。そのため、定期的にデータなどをレポートにまとめ、運用に直接関与していない社内関係者やクライアントへ共有する必要があります。

データを分析してレポートにまとめることで、自社の広告にどのような課題があるのかを明確にできます。

また、想定通りの成果が出ていない場合、運用にかかる費用に無駄が生じている可能性があります。データを分析すれば、運用工程ごとの無駄なコストも見つけやすいでしょう。

リスティング広告の出稿方法は以下の記事をご確認ください
【最新版】リスティング広告のやり方とは?出稿方法を画像で説明

リスティング広告レポートの基本型

リスティング広告レポートには、基本となる」があります。以下の基本型に沿ってレポートの構成を組み立てることで、リスティング広告の運用状況をよりわかりやすく伝えることが可能です。

  • 1.運用中のリスティング広告の概要
  • 2.結論
  • 3.結論の根拠となるデータ
  • 4.運用における課題についての考察
  • 5.今後の運用方針

1. 運用中のリスティング広告の概要

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リスティング広告の概要には、運用中の広告の目的・ターゲット・運用期間・運用開始時点での想定値・目標数値・予算などを盛り込みましょう。

運用中のリスティング広告についてまったく知識がない人でも、その後の内容を理解できるように、はじめに概要をきちんと説明しておく必要があります。

2. 結論

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概要説明の後は、すぐにレポートにおける結論を述べましょう。結論は最後というイメージがあるかもしれませんが、先に結論を述べておくことでこの後説明するデータや分析結果などに対して理解を深めてもらいやすくなります。

何をもって結論とするかは広告ごとに異なりますが、例えば目標数値に到達していない場合は、「改善を図るべき」「あと◯ヵ月現状維持で様子をみる」「すぐに運用を中止する」などの結論が考えられるでしょう。

いずれのケースでも単に数値を並べるだけでなく、その数値を分析してどうするのが最適なのかを、はっきり提示することが重要です。

いきなりデータを参照しても改善点や結論が導きにくい場合は、以下のチェックリストを活用することをおすすめします。

3. 結論の根拠となるデータ

レポートの結論が「期待したほどの成果が出ていないから運用の改善が必要」といった曖昧なものでは、納得感がありません。そこでデータによる根拠を示し結論を補強します。

例えば「目標CV数(コンバージョン数)が◯件のところ、現状は目標値の70%程度」というデータを示せば、CVに関する改善が必要であることが示せます。

なお、運用に関するデータをすべて記載すると膨大な情報量となり、かえって分かりづらいレポートになります。そのため、結論に関係のあるデータに絞ってまとめるようにしましょう。

4. 運用における課題についての考察

結論に必要となるデータから読み取れた運用における課題を提示します。

前述のように「目標CV数(コンバージョン数)が◯件のところ、現状は目標値の70%程度」である場合、CVに関する課題があることは明白です。そこから、他のデータを照らし合わせて具体的な原因を探ります。

広告の内容がターゲットからズレている」「広告のデザインが目立たない」など、広告がCVに結びつかない原因として考えられるものを洗い出します。複数の原因が重なっている場合は、1つに絞るのではなく可能性の高さで優先順位をつけるのが良いでしょう。

5. 今後の運用方針

データをもとに考察を進めて運用における課題が明確になったら、課題に対する対応策を含め、今後の運用方針を示しましょう。

例えば、リスティング広告のCV数が低い原因は広告テキストだと仮説を立てた場合は、元のテキストと修正テキストのCV数を比較します。検証の結果、修正テキストのほうがCV数が高ければ、仮説が正しいといえます。

広告テキストがCV数の低さの原因であることが確定したら、今後の運用方針に「広告テキストの修正」を加えます。

このように今後の運用方針では、課題に対する対応策を提示するなど、運用の方向性を記載します。

リスティング広告レポートの作成手順

リスティング広告レポートの基本型を把握したら、次は具体的な作成手順を確認しましょう。

1. レポートの条件を設定する

まずはレポートの条件(ターゲットや方向性など)を設定し、「誰に向けた何のためのレポートか」を確定させます。

社内・社外どちらに向けたレポートにするかで記載内容は大きく変わります。条件や目的を設定しないままだとレポートの方向性がブレてしまい、相手に結論が正確に伝わりません。

具体的には「クライアントに向けた、四半期の運用状況や今後の施策を提示するレポート」のように、条件を固めておきましょう。

2. 必要なデータを収集する

レポートのターゲットや方向性が決まったら、必要なデータを収集します。その際、リスティング広告に関するデータ(インプレッション数やクリック数、CV数、CPAなど)のうち、レポートの方向性や結論に必要なものだけを集めるのがポイントです。

データの集め方は広告の種類によってさまざまですが、Google広告の場合は「Google Analytics」を使えば必要なデータのほとんどが収集できます。

集めたデータは表やグラフといった見やすい形式にまとめ直すと良いでしょう。そうすれば、リスティング広告やITなどに疎い人がレポートを確認した場合であっても、内容が伝わりやすくなります。

3. データを分析して考察する

必要なデータが揃って見やすいようにまとめられたら、データから何がわかるのかを分析・考察しましょう。

「クライアントに向けた、四半期の運用状況や今後の施策を提示するレポート」である場合、広告からのCV費用対効果などに関するデータを集め、目標値と比較しながら分析します。

4. 課題の改善策や結論をまとめる

分析や考察を重ねながら、運用における課題や最終的な結論を導いた上で内容をまとめます。レポートのなかで特に伝えたい内容をここで明確にします。

課題には改善策も添える必要があります。可能であれば1つではなく複数の施策を出し、改善の効率を上げるのがおすすめです。

例えば、データを分析した結果「広告費以上のCVを獲得できていない」という課題が浮き彫りになったとします。その場合は、CV獲得のために必要な施策を考える、もしくは予算を増やすべくクライアントと交渉するといった選択肢が改善策に挙げられます。

あまりにもコスパが悪い場合は、運用中止も視野に入れる必要があるでしょう。

5. 型に沿ってレポートを記載する

1~4で集めたレポートに記載する情報を、基本型に沿ってレポートとしてまとめていきましょう。

パッと見ただけでレポートの内容を理解してもらうために、スライドで作成し、イラストや図表、グラフなどを多用すると良いでしょう。

リスティング広告レポートを作成する際の注意点

レポートを作成するにあたっては、基本型と手順を守る以外にも注意すべき点があります。ここでは、そのうちの3つを紹介します。

数値やデータを基に客観的な分析や考察をする

リスティング広告レポートを作成する際、数値やデータから読み取れる内容を基に、客観的な分析や考察を心がけましょう。数値やデータを主観的に読み取らないよう注意が必要です。

例えば運用状況が芳しくなく、有効な改善策を提示しにくい場合、そのままだと運用中止につながる恐れがあります。しかしそのような状況では「運用の中止は避けたい」という心情が働きやすくなります。

その心情に引きずられる形で運用の中止につながりそうな不利なデータを避けてしまうと、正確な結論を出せません。

また、運用における課題の原因を探す際も、自分が立てた仮説が正しいと実証するために、データを都合よく扱うことのないよう注意が必要です。

このように数値やデータを主観的に扱わないよう、運用チーム数人で分析・考察を行うと良いでしょう。

書き方を相手に合わせる

レポート作成では、相手に合った書き方を意識しましょう。

リスティング広告について詳しい人がレポートを確認するのであれば、専門用語を使ったり、ディープな内容を扱ったりしても問題ありません。むしろ、専門用語を使うほうが相手もわかりやすいでしょう。

しかし、相手がリスティング広告に詳しくない場合は、できるだけ平易な表現を使ったり、図表やグラフを多めにしたりする工夫が必要です。

相手が読み進めやすいレポートを作るために、文体や見た目も調整しましょう。

1ページ1メッセージに留める

リスティング広告レポートを作る際は、「1ページにつき1つのメッセージ」を徹底しましょう。

レポートには概要・結論・データ・課題・改善策など、ただでさえ大量の情報が記載されています。できるだけ相手が理解しやすいレポートにするには、1ページには1つの内容だけにしぼって記載すべきです。

具体的には1ページ目には概要に関することだけ、2ページ目には結論とその根拠を、3ページ目には結論を出す際に参考にしたデータ……といった具合に、項目ごとにページを切り替えます。

特に、データはあれもこれもと詰め込みたくなりがちですが、内容が細かすぎるレポートは相手に本意が伝わりにくい上に理解しようとする気力を奪ってしまいます。

ひと目見るだけで内容を理解できるよう、1ページ内の情報量は必要な分だけにしぼり、シンプルな見た目に仕上げましょう。

レポートを活用してリスティング広告を改善しよう

リスティング広告の運用状況や今後の方針を提示するレポートは、力が入っているとデータをあれこれと盛り込みたくなり、かえって理解しにくい内容になることがあります。

しかし、適切な手順で基本型に沿って記載すれば、誰でも理解しやすいリスティング広告レポートを作ることが可能です。

レポート作成上の注意点も意識しながら、相手にとって読みやすいレポート作成に挑んでみましょう。