女性の「髪」の大切さについて綴られた『女の運命は髪で変わる』という書籍をご存知でしょうか。多くの女性や美容師から支持を集め、一般的に1〜2万部で大ヒットと呼ばれる専門的な領域を扱った本でありながら、発売からたった2ヶ月半で7万部を突破したベストセラー書籍です。

これまで「髪」を取り扱った書籍といえば「スタイリング」や「ヘアケア」のようなノウハウ書が主流でした。そんな、ある種の「専門領域」を題材にしたのにも関わらず、本書が多くの読者に届いた理由は何だったのでしょうか。

それを知る手がかりは、ヘアライターの佐藤友美氏が「1人の著者」として行ったプロモーション施策にあります。リアルの繋がりを重視した佐藤氏のプロモーション方法は、マーケターであれば参考になる点が多々あるでしょう。

今回は、佐藤友美氏が手がけた書籍とそのプロモーション施策についてferret 創刊編集長 飯髙悠太が伺いました。

佐藤友美氏 プロフィール

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日本初、かつ唯一のヘアライター &エディター。15年の間にファッション誌やヘアカタログで「髪を変えて変身する企画」で撮影したスタイル数は4万人ぶん(約200万カット)を超える。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、セミナーや講演を聞いた美容師はのべ2万人を超え、これは全国の美容師の20人に1人の割合にあたる。日本最大のヘアスタイルフォトコンテストの審査員をはじめ、美容業界での活動は多岐にわたる。近年は女性向けのヘアスタイルアドバイス、その人にマッチする美容院の紹介なども手がけ、高い満足度を得ている。

著書には、『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、最新著作のノンフィクション『道を継ぐ』(アタシ社)などがある。

プロフィール | SATOYUMI.COMより引用

「著者になるつもりは、もともとなかった」執筆のキッカケと著者になるという葛藤

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飯髙:
友美さんとは結構仲良くさせていただいているんですが、話していると「本」と「Web」って読者への広まり方が結構違うなって思うんですよね。

僕はWeb領域の人間なので、友美さんの著書のお話から「本」の広まり方についてお聞きしたいなと思っているんです。そもそも、どういったキッカケで『女の運命は髪で変わる』を執筆されたんですか?

佐藤氏:
飯髙さんとは色々お話したけれど、改めてこんな話をするのは初めてですね!

この本は、サンマーク出版さんが開催している「本気で著者になる出版ゼミ」という著者養成講座を経て出来ているんですよ。

私はもともとヘアライターであり、著者にインタビューして書籍のライティングを行うブックライターでもあります。なので、私は著者になるつもりは無くて、「本を作る」勉強をしたかったんですね。サンマーク出版さんでライターとして仕事をさせていただくキッカケにならないかなという気持ちもあって、「書きたいコンテンツがあるわけでは無いんだけど、それでもよければ入れてください」と履歴書を送ったら「いいですよ」と言ってもらって、受講することになりました。

でも講座に入り、いざ蓋を開けてみたら講座のリーダーを担当している編集者の綿谷翔さんに「書籍の企画書を書いてください」って言われたんです。(笑)

他の著者さんを私がブックライティングするんじゃだめですか?って聞いたら、「駄目です」と。(笑)

「うーん、私が書けることといったら、髪のことしかないしなあ…」と思って立てた企画が『女の運命は髪で変わる』でした。綿谷さんが企画を通してくださって本を出せるとなったので、こんな機会は無いと思って頑張りました。

それまで美容師さん向けに4冊本を出版していましたが、一般の読者さん向けというのは初めてです。せっかくなら、一般の方々に広く読んでいただけるものにしたいと執筆をはじめました。

飯髙:
そうだったんですね!友美さんが「ライター」から「著者」になるとき、葛藤みたいなのは無かったんですか?

佐藤氏:
ありましたよ!初めはすごく抵抗がありました。人の話をまとめることは好きなんだけれど、自分の考えを書くというのは抵抗があるというか。

いままで、美容師さん向けに書いてきた書籍は、自分が過去に積み上げてきたことだから「ちゃんと言える」という自信があった。でも、この本は「本当に私が書いていいのかな?」ってずっと思っていたほどです。

飯髙:
でも、友美さんだからできた本だなと感じます。今回も色々な美容師さんとの関わりがあったからこそ生まれた背景があるんですよね。

佐藤氏:
もちろんです!実は、企画書を作る段階から、応援してくれる人たちと一緒に作っていければいいなと思っていて、「こういう本を出そうと思っているんだけど、どういう事が書いてあれば読者に役立つと思う?」って色々な美容師さんにヒアリングさせてもらったんです。

具体的には、いま、世の中の書店には「髪」を扱う棚がないから、「髪」にまつわる本がたくさん出るような世の中にしたい。「髪の分野にはこんなに需要があるんだ」って思ってもらえれば、いつか美容師さんたちも本を出せるようになると思うから、まずはこの本を成功させたい。協力して欲しいと話して相談にのってもらいました。

執筆する過程でも、編集者の綿谷さんに、「本は編集者さんのものだと思うから、原稿をどう変更していただいても良いけれど、美容師さんを敵に回す表現だけは絶対に避けてほしい」ってお願いしていたんです。

一般の読者さん向けの本ですが、最初にこの本を応援してくださるのは美容師さんだと思っていたので、そこは神経質なくらいにこだわりました。