アンチクライマックス法とは

アンチクライマックス法とは、先にご紹介したクライマックス法とは逆に「プレゼンテーションを行う際に最も相手に伝えるべき重要な箇所を最初に話す」話法です。
特に話の結論を最初に求めて「Yes・No」をはっきりさせる欧米人が無意識に日常的に使用しています。
プレゼンテーション時に有効なフレームワークのひとつである「PERP法」に類似した話法で、ビジネスの場でも比較的多く使用されています。

重要な箇所を最初に伝える話法ですので、スピードさが求められる商談の場やダラダラと結論を後回しにすると電話を切られてしまいがちな営業などのテレアポなどではこの話法が適切です。
また、プレゼンテーションの相手が論理的・合理的な会話を好むタイプである、初対面に近くまだそれほど親しくない相手である、なかなかこちらの話を前のめりで聞いてもらえる状況にない、と行った場合にはこの話法が効果を発揮してくれます。

アンチクライマックス法が有効になりやすいケース

1.相手がこちらの話に興味をしてしていない場合

プレゼンテーションを行う前の相手の様子を判断してこちらの話に興味をしてしていないと見受けられる場合は、結論を先に述べて興味・関心を惹き付けるアンチクライマックス法が有効です。
先にご紹介したクライマックス法を使用して順序だてて話してしまうと結論を伝える前に相手が離脱してしまう可能性もあります。

例:
今回の新商品のポイントは3つです。「価格が前モデルより2000円下がっていること」「作業能率が2割上がっていること」「カラーバリエーションが7種類もあること」。ではそれぞれのポイントについて詳しくご紹介いたします。

プレゼンテーションの冒頭で商品やサービスの強みを大々的にアピールすることで、相手の興味・関心を惹くと同時に特に聞いておくべきポイントを示します。ポイントを示すことで相手は話を聞きやすくなるため、より印象に残りやすくなります。

2.電話でセールスをかける場合

基本的に電話でのセールスでは、最初の数十秒でいかに相手の興味・関心を惹き付けることができるかが重要なポイントとなります。
アンチクライマックス法では最短ルートで相手に話のポイントを伝える話法ですので、最初の数十秒が勝負となるテレアポでは非常に有効です。

例:
あなたの家の電気代が、今よりもさらにお安くなる可能性のあるプランをご紹介させてください。3分で構いませんのでお時間をいただけませんでしょうか。

冒頭からプラン内容の説明をしてしまうと、相手は話を聞くメリットを感じずに電話を切られてしまう可能性があります。
そこで「電気料金が下がるかもしれない」という興味・関心を惹き付ける情報を最初に出すことで、話を聞いてもらえるよう可能性を高めることができます。

3.記事やニュースなどを書く場合

アンチクライマックス法は、ホームページなどで記事やニュースなどを記載する場合でも有効です。
インターネット上には把握しきれない程の情報が溢れている上に、現在はスマートフォンの普及により誰でもいつでも手軽に情報に触れることができます。
情報過多の中でいかに自社の発信する情報に興味を持ってもらうためには、重要な情報や結論を先に出してユーザーの興味・関心を惹き付ける必要があります。
記事やニュースの冒頭でユーザーの興味・関心を惹き付けることができればその後の詳しい内容を読んでもらえる可能性が高まり、滞在時間を伸ばすことにもつながります。

例:
(タイトル)株式会社Aの成功の秘訣は「チームビルディング」にあった

今回のインタビューでは、近年成長著しい株式会社Aの社長であるB氏に、社内で特に意識していることについて伺った。
「より短期間で高い成果を出すために御社が特に意識していることを伺えますでしょうか」
「そうですね、弊社ではチームビルディングに重きを置いて組織作りを行っています。具体的には年齢や社歴などよりもチームメンバーの性格の相性やメンバーが得意なこと、これまでの業務に対する貢献度などを総合的に見てチームを組むようにしています」

タイトルで「チームビルディング」に関する記事であることを提示することで、この分野に興味のあるユーザーの興味・関心をひきつけています。
記事内容でも先に結論を述べてから具体的な解説を行うことで、株式会社Aのことを知らない読者でも読み進めやすい工夫が見られます。