ライターや編集者など文章に携わる方であれば、文章の誤字脱字、表記揺れチェックなど「校正」や「校閲」を丁寧に行うことが大切です。校正や校閲は、文章の読みやすさや正確性など「文章の質」に直結するためです。

とはいえ、文章のチェックは1単語単位で行う必要があるため、一定の時間を要します。企画や取材など、その他のスケジュールが立て込んでいる場合、十分に時間を割けないこともあるはずです。

「チェックの精度を保ちつつ、効率的に校正ができれば…」と感じている方もいるのではないでしょうか。そういった悩みを解決する手段として挙げられるのが、文章作成の支援ツールを利用することです。

今回は、文章の校正を自動化できるツール「文賢」の基本的な使い方を紹介します。ライターや編集者であれば、ぜひ参考にしてみてください。

文賢とは

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https://rider-store.jp/bun-ken

文賢とは、Webマーケティング支援を行う株式会社ウェブライダーが提供するツールです。作成した文章を入力するだけで、自動的に文中の不備に対して指摘やアドバイスを受けられます。

また、不備のチェックだけでなく文章表現の支援機能も搭載されています。詳細は後ほど紹介しますが、慣用句やことわざを検索し文中に挿入できるため、執筆中の表現に悩んだときなどに活用できるでしょう。

クラウド型のサービスなのでPCにインストールする必要が無いため、環境を選ばず利用できるという特徴があります。

文賢が活用できるシーンとは?

文賢は、ライターや編集者など出版・メディア業界の方から、ブロガー、広告やWeb制作担当者、広報、研究職まで、文章を用いる領域であれば幅広く活用することができます。

単語の正誤だけでなく、文末の処理や漢字の「開く・閉じる」など“読みやすさ”までチェックできるため、既存のワープロソフトの校正機能に物足りなさを感じる方にオススメと言えるでしょう。

また、管理アカウントに対して複数の利用者アカウントを紐付けられる設計になっているため、メディアの編集部など組織単位で統一表現を用いたい場合に導入するのも良いでしょう。

一方で、文賢は有料ツールなので、フリーウェアの校正ツールと比べ導入のハードルが高いと感じることもあるはずです。自身が求めている機能があるかどうかを確認した上で検討してはいかがでしょうか。

利用料金と基本機能

文賢は、初期費用と月額費用が必要なツールです。料金は2017年10月時点では下記の通りです。初期費用はリリース時のキャンペーン価格となっており、12月より10,800円になるため、料金の変動については公式サイトを必ずご確認ください。

【料金】
初期費用:5,400円(税込)
月額費用:1,980円(税込)

文賢の機能は下記の通りです。文章の誤字脱字から商標、不快語、重複など様々な視点から表現をチェックできます。

【基本機能】
・誤字脱字チェック
・商標・固有名詞チェック
・差別語・不快語チェック
・重複表現チェック
・文末表現チェック
・慣用句やことわざの入力支援
・推敲アドバイス

次に基本的な使い方についてご紹介します。

文賢の基本的な使い方

1.「校閲支援」機能で文章の誤字脱字や不備をチェックする

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文賢の機能を利用するには、管理ページからユーザーページへログインすると、「校閲支援」機能が表示されます。ページ中央左側にあるフォームに文章を入力することで、文中に不備があればページ中央右側に指摘項目が表示されるという仕組みです。

また、入力フォーム上部にある「チェック項目」から、チェックする範囲を設定できます。たとえば、小説や取材など口語体を活かした文章に仕上げたい場合、あえて「ら抜き言葉」のチェックを外すこともできます。

ただし、現状は校正の精度が高いとは言えず、「○○です、、。(句読点の不備)」「○○になています。(“なって”の不備)」など一部の不備が指摘されない場合もあります。今後アップデートによって精度の向上を期待できますが、必ず目視でチェックしましょう。

2.文章表現の幅を広げる「たとえ表現」を挿入する

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「たとえ表現」という文章の表現方法の支援機能があります。上部メニューの「たとえ表現」をクリックすると、入力フォームの右隣に「慣用句」や「ことわざ」が一覧で表示されます。

「うれしい・好き」「絶望・残念感」と感情によってカテゴリ分けされているため、表現したい感情を選択してみましょう。すると、感情に合わせた表現が表示されます。この一覧から利用したい文章をクリックするだけで本文中に挿入できます。

3.「推敲支援」機能で文章の読みやすさをチェックする

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誤字脱字や表現のチェックを終えたら「推敲支援」機能を利用してみましょう。上部メニューにある「推敲支援」をクリックします。使い方は上述の「校閲支援」と同様です。

フォームに文章を入力すると、「○○です。そして、○○です」のような文末表現の重複や句読点を無視した不自然な改行、漢字の「開く・閉じる」など、文章の読みやすさに関わる不備を確認することができます。

4.文章の不備を目視で確認する際に便利な「アドバイス」機能

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上部メニューの右端にある「アドバイス」は、文章の最終チェックで活用できる機能です。アドバイスでは、フォームの右側にチェックリストが表示されます。

チェックリストには「もっと短くシンプルに表現できる文章はありませんか?」「指示代名詞を使い過ぎていませんか?」と本文の内容に関する質問が一覧で表示されます。自身で文章を読み直し、問題がなければチェックボックスをクリックしていきましょう。

5.Chrome拡張機能で公開されたホームページ上の校正を行う

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文賢にはChromeの拡張機能もあります。これは、Chromeで表示しているホームページの文章を文賢の文章入力フォームに挿入するための拡張機能です。

文章を選択し右クリックすると「文賢に送る」という項目が表示されるのでクリックしてみましょう。自動的に文賢が開き、選択した文章が入力されています。すでに公開されているホームページのチェックを行うときに活用できるでしょう。

参考:
【文賢】文章の校閲・推敲支援ツール - Chrome ウェブストア

まとめ

「文賢」は、文章の校正業務を自動化できるツールです。フォームに文章を入力するだけで自動的に誤字脱字や表記ゆれなど不備のチェックができます。校正だけでなく「たとえ表現」など、文章作成の支援を行う機能も搭載されているため、執筆中に表現に悩んだ場合にも活用できるでしょう。

とはいえ、一部の表現や特定の固有名詞などのチェックには対応していない場合もあります。自動化できるからとはいえ、ツールを過信しすぎないことも大切です。文賢はあくまで校正や表現のチェックを支援するツールなので、最終的なチェックは担当者自身が目視で行うようにしましょう。

文賢は初期費用と月額費用が発生する有料ツールです。フリーソフトと比べ導入のハードルが若干高いと言えます。そのため予算や目的に応じて導入を検討してみてはいかがでしょうか。