少子高齢化に加えて、人口減少社会へと突入し、人材市場は売り手市場へと変化してきています。売り手市場において人材を採用していくには、採用の仕方も変化させていかなければなりません。

とはいえ、中小企業にとっては予算や元々の知名度などの違いから、採用に関して大手企業と争うのが難しいのが現状です。

今回は、採用に関してのヒントとなる「採用ブランディング」について、情報発信の観点から紹介していきます。
  

「採用」のためのブランディングがなぜ必要?

「採用ブランディング」は、企業が人材採用を目的に情報発信に取り組み、自社のブランドの認知度拡大や価値を高めていく手法のことを指します。

自社製品やサービスの売り方を考えるプロダクトのブランディングとは異なり、領域としては企業全体のイメージや価値を向上させる「コーポレートブランディング」に近い活動になります。

なぜ、プロダクトやコーポレートのブランディングだけでは足りないのか。一般生活者向けの製品やサービスを提供している企業でも、製品のイメージが企業イメージに影響を与えている可能性はあります。

ですが、製品のイメージだけでは、その会社で「働く」ことを伝えることは困難です。どんな人が働いているのか、どんな環境で働いているのか、といったことも伝えていかなくては、「働く先の候補」として見てもらえるようにはなりません。
  

潜在層にアプローチするために継続的な情報発信が必要

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採用ブランディングには、企業からの情報発信が欠かせません。従来の求人広告といったアプローチだけでは足りないのです。

採用においては、「リファラルリクルーティング」といった、知り合いづてに転職する手法も注目されるようになりました。その結果、優秀な人材であればあるほど、転職サイトや人材紹介会社に登録する 「転職顕在層」 になることなく、転職してしまうケースがでてきています。

これまでは転職サイト等を通じて「転職顕在層」にリーチしようとするものがほとんどでした。顕在化する前に転職を決めてしまうこともある時代においては転職活動を始める前から自社の存在を認知してもらえるようにしなくてはいけません。

また、現代では人々が会社に、仕事に求めることは多様化しています。従来の広告等で顕在層にアプローチする方法では、限られた期間で多面的に会社のことを伝えることは難しい。

様々な観点における自社の魅力を、実際に転職活動に入る前から伝えていくために、継続的な情報発信を行っていくことが採用市場における差別化の重要なポイントとなります。

参考:
リファラル採用なくして採用戦略なし!今注目を集める採用手法を紐解く|ferret
  

「採用ブランディング」を実践するための準備

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採用ブランディングでは、共感や支持を得るためのストーリーテリングが重要です。効果的にストーリーを伝えていくために、いくつか整理しておかなければならないことがあります。

1. 自社の魅力やカルチャーの深掘りと言語化を行う
2. どんなターゲットに届けたいかを明確にする
3. 採用の「競合企業」を知る

基本的には、以前 「注意すべきポイントは2点!企業が新規メディアを立ち上げる際に準備すること ~競合、自社、ターゲット分析編~」で紹介したことに近く、情報発信をするにあたっての前提となる条件を整理します。

人材・HR領域の情報を発信する「HR NOTE」では、採用競合の理解のために「3C」や「4P」といったマーケティングフレームワークを用いた方法を解説しています。

近年では、人材採用に消費者マーケティングの視点を活かす「採用マーケティング(Recruitment Marketing)」という言葉も登場しており、採用に関してもマーケティングの観点を取り入れていく必要が出てきています。フレームワークの活用は、その第一歩と言えるかもしれません。

参考:
注意すべきポイントは2点!企業が新規メディアを立ち上げる際に準備すること 〜競合、自社、ターゲット分析編〜|ferret
3C分析とは〜マーケティングの基礎を覚えて競合と市場を分析しよう|ferret
マーケティングミックス(4P)|ferret マーケティング用語辞典