2017年11月中旬、全く新しいFirefoxブラウザ「Firefox Quantum」がリリースされました。

今回のアップデートは、これまで以上に革新的な機能を搭載しているため、エンジニアやWebデザイナーなどのWeb界隈の職業の方をはじめとして、多くの方の注目を集めています。

実際のところ、ウェブレッジによる日本のブラウザシェアの調査によれば、2017年11月20日現在でGoogle Chromeのシェアが約34%なのに対し、Firefoxは約11%と、3倍もの差をつけています。

しかし、米メディアのDigital Trends「より高速になり、一層のミニマリズムを追求したFirefox Quantumを使うと、Chrome が古臭く見えてしまう」と批評しているように、理由なくGoogle Chromeを使うユーザーは、Firefox Quantumの魅力を知ると乗り換えたくなるに違いありません。

そこで今回は、Firefoxの新バージョンであるFirefox Quantumについて、従来のブラウザと比較しながら、このブラウザの注目すべき点を紹介していきます。

毎日開くブラウザだからこそ、ちゃんとこだわりたい。
そんな人にこそ、使ってほしいブラウザです。
  

「Firefox Quantum」いよいよ登場

11月中旬にリリースされた、Firefoxの新バージョンがFirefox Quantumです。超高速パフォーマンスのために開発された強力な新エンジンや、よりシンプルになったUIなど、注目すべき点がたくさんあります。

ここではまず、Firefox Quantumのどんな点がすごいのか、確認していきましょう。
  

1. 超高速表示

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強力なブラウザエンジンにより、新しいFirefoxではより高速なページ表示が可能になりました。

Mozillaによれば、Google検索結果ページを表示するのに、Google Chromeは3.9秒かかったのに対し、Firefox Quantumでは2.9秒で表示できたことが検証されています。

もちろん、ページによって得手不得手があるため、中にはChromeのほうが素早く表示できるサイトもありますが、概してFirefox QuantumはChromeに肩を並べるものとなっています。
  

2. 省メモリー化

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Firefox Quantumは、省メモリー化も実現しています。メモリー量は、コンピュータが滑らかに作動する余裕があることを示しており、使用メモリー量が少なければ、ほかのプログラムを立ち上げていても素早い処理が可能になります。

Mozillaによる実験の結果、MacOSではChromeと肩を並べているものの、Windows 10においてはChromeに比べて約30%、Ubuntu 16においては約半分ものメモリー消費量を実現しています。
  

3. 痒いところに手がとどく!便利な機能

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Firefox Quantumでは、便利な機能がたくさん搭載されています。ブラウザから直接撮影や共有ができるスクリーンショット機能や、ブラウザに直接組み込まれた「Pocket」の「後で読む」機能、お気に入りなどを整理・同期できるブラウジングライブラリー機能などがあります。

また、Firefox Quantumは、ある意味ではゲーミングブラウザとしても最適化されています。WASMやWebVRといった技術に標準で対応しているので、追加でソフトウェアをインストールする必要も一切ありません。
  

Firefox Quantumの「速さ」の秘密

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Firefox Quantumの「Quantum」とは「量子」を意味しますが、実際に量子を使って動いているわけではなく「量子コンピュータ」に代表される高速処理のイメージを重ね合わせて命名されたものです。

その一翼を担うのが、Quantum CSS(別名Stylo)とも呼ばれる新しいCSSエンジンです。

CSSエンジンはレンダリングエンジンの構成要素の1つで、CSSパーサーとスタイルシステムから構成されており、HTMLパーサーが生成したDOMノードが樹状に連なったDOMツリーに対して、CSSを解釈してスタイルを計算した結果を当てはめていきます。

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Quantum CSSは、Rust言語で書かれた約8.5万行のコードで構成されます。旧来のCSSエンジンがC++で書かれた16万行のコード構成であったことを考えると、半分程度のコンパクトさであると言えます。

Quantum CSSの最大の特徴は、あらゆる処理を並列化することです。近年、インタラクティブなWebサイトが増加の一途を辿っていますが、インタラクティブ性が増すほど、これらを下支えする処理による負担は重くなる一方です。

Quantum CSSでは、DOMツリーを瞬時に分割して各CPUコアに割り当てを行うので、コンピュータのCPUの数が多ければ多くなるほどスピーディーな処理が可能になります
  

超高速なFirefox Quantumを倍速で使う方法

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「量子エンジン (Quantum Engine)」によりページの読み込み速度が軽快になったFirefox Quantumですが、さらに高速にする方法Mozilla Blogによって紹介されています。

それは、Firefoxの「プライベートブラウジング」機能を使うことです。

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プライベートブラウジング機能は、スマートフォンやデスクトップなど、利用している端末にCookieや検索履歴、一時ファイルなどを残さずにWebページを閲覧する機能です。
Google Chromeにも「シークレットモード」(Incognito Mode)が搭載されていますが、それと基本的には同じ機能を指します。

実際、この機能を有効にすることで、どれくらい速くなるのでしょうか。

以下は、13インチのMacBook Pro 2017で、Alexa.comの上位200ニュースサイトでページの読み込みを計測した平均秒数を表したグラフです。

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このグラフによれば、「プライベートブラウジング」機能をオンにしたFirefox Quantumが、ほかのブラウザに比べて約半分の読み込み時間になっていることがわかります。

一方で、Google Chromeでは「シークレットモード」をオンにしても読み込み速度が変わっていません。

また、6秒以内に読み込まれたページの割合を確認してみましょう(6秒というのは、これを超えることでユーザーの直帰率が70%を超えてしまうという調査に基づいています)。

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この実験でも、「プライベートブラウジング」機能をオンにしたFirefox Quantumのほうがよい成績を残していることが明らかになりました。

ZDNetでの調査でも、いくつかの項目でGoogle Chromeを追い越していることがわかっています。人工的なベンチマークを離れた使用感としては速度の差異を感じることはないにしても、Firefox QuantumはGoogle Chromeに肩を並べるできになっています。
  

まとめ

近年のブラウザ間のスピード競争は非常に激化しているので、もしかしたら体感的にはGoogle ChromeとFirefox Quantumに劇的な差異を感じないかもしれません。
しかしながら、Firefoxは着実にコンマ数秒単位で最速ブラウザに近付いており、今回のQuantumへのアップデートで大きな一歩を踏み出したと言えます。

なお、Web開発者にはQuantum CSSを搭載した開発者向けブラウザ、Firefox Developer Editionがリリースされています。通常のブラウザにはない便利な機能が満載ですので、こちらも合わせて使ってみてはいかがでしょうか。