ビジネスチャットとの相性と3つの議論ポイント

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BYODになくてはならない概念としては、コミュニケーションツールをどうするかという点です。

単にメールを見るだけでいいのか、チャットのコミュニケーションをさせるのか、社内ポータルの掲示板へのアクセスをさせるのか……など、必ず検討すると行っても過言ではありません。

業務効率化や情報管理の統一という面で、BYODの目的意識とビジネスチャットは非常に相性が良いと考えられています。

もともとプライベートで利用しているSNSとビジネスでの利用を切りわけたいという強いニーズもビジネスチャット導入の大きなモチベーションです。それをBYODで実現することで、様々な利便性の向上が見込まれることになります。

ここでは、ビジネスチャットだけではなく、コミュニケーションツールをBYODで導入する際のポイントをあげていきます。
  

1. 個人用端末のセキュリティ

1番最初に検討する必要があるのはセキュリティ面です。企業のビジネスコミュニケーションはまさにインフラとも言え、実に様々なやり取りが展開される場です。その中には単純な業務連絡、お客様からの電話メモ、会議の議事録などセンシティブな情報がやり取りされることも珍しくありません。コミュニケーションそのものが企業の大事な資産でとなりうる時代だからこそ、セキュリティ面をしっかり検討する必要があります。

以前から、スマートフォンやタブレット端末に "外部からロックを掛けたり中身のデータを削除したり、現状を把握する" MDM(Mobile Device Management)サービスというものが存在し、数多くの世の中にリリースされていますが、BYODの個人端末にそれらを入れるのはハードルがあります。

だからこそ、コミュニケーションツールの機能や管理メニューでセキュリティ面を担保できるソリューションを選択することが重要になってきます。

ビジネスチャットもIPのアクセス制限や携帯端末固有のIDを使った端末ID制限、アプリ自体にロックする機能、送信した内容を取り消す機能など多種多様なシステムが利用できることも多く、選定時の参考として検討する企業が多いです。

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アプリロック機能と端末IDの制限機能のイメージ画面

しかしながら、セキュリティは利便性とトレードオフになることも多く、会社のポリシーに合わせてセキュリティを”緩める”ことも柔軟に対応できるソリューションを選択することで、管理側の負担も軽減されます。

柔軟にセキュリティポリシーが設定でき、自社にとって最適化されたツールになることでスムーズな導入に役立つことになります。
  

2. 業務時間外の通知

業務時間外の通知の問題は、アルバイトや派遣社員などで問題になる議論ポイントです。ビジネスチャットは、すぐにどこでもコミュニケーションが取れることがかなりの利便性を感じていただける点になりますが、業務が終わった後も通知を受け取れることが社内の基準として問題ないのか、という点はクリアする必要があります。

ビジネスチャットもそういったニーズに配慮が可能なソリューションも多く、ユーザーが自分で通知をオフにしたり、個別のグループごとに通知を定期的に切ることもできる場合も多いです。

しかし、この場合、問題となるのが”緊急時”に連絡がとれるのかどうかという点です。ビジネスチャットに寄っては、通知がオフの状態でも通話はかならず通知される、メンション機能で送信先を指定した時は必ず通知されるなど工夫している製品もあります。

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個別のグループの通知オフ、メンション機能のイメージ画面

いずれにしても、業務時間外の配慮と緊急時の対応の両面でバランスが取れるビジネスチャットをBYODでは検討することが大事になってくると考えています。
  

3. 責任分岐点と導入時の配布について

疎かになりがちなのが、運用面の課題として、配布範囲と責任分岐点の考え方についてです。

社用端末を利用する場合、コミュニケーションツールを利用する際は社用端末を配った分の運用費が発生します。

仮に、私用携帯を業務利用する場合は、発生した通信パケットの負担をどうするのか、万が一インシデントが起きた時の対応はどうするのか、など利用者と企業間での取り決めが非常に重要になってきます。

企業によっては一律の通信費を支払う場合もありますし、使いたいと手を上げた人だけにIDを配布するといった対応を取っている企業もあります。コンプライアンスにもかかわるので、あらかじめBYODで社内のコミュニケーションを行う際は、運用上の取り決めと運用中の責任分岐についてよく考える必要があります。