サイバーエージェントの市場調査によると、2017年の動画広告市場は昨年比163%の成長規模で1374億円になる見とおしです。

事実、動画広告が配信できるフォーマットが増え、企業によっては媒体やフォーマットに合わせたメディアミックスを活用した動画クリエイティブを作成するなど、市場はこれまで以上に活性化しています。しかし、動画広告の可能性を感じているものの、どのように作成をすればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

Googleでは、2013年以降YouTubeで人気の動画広告を選出するYouTube Ads Leaderboardと題して、話題になった動画広告を表彰しています。

そこで今回は、日本を代表するクリエイティブエージェンシーによる、2017年下半期のYouTube広告トップ10【国内編】をお届けします。
  

2017年下半期のYouTube広告トップ10【国内編】

10. セブンイレブン・ジャパン「ありがとうおでん」

楽器を持たないというロックバンドこと「BiSH」がセブンイレブンとタイアップしたのが、こちらの動画広告「ありがとうおでん」です。

「ロールキャベツは41キロカロリー!」「おでんのチカラであしたは明るい!」など、メリットや強力なメッセージで、おでんの合う季節に流している点がポイントです。

2017年下半期の視聴回数:1,302,781
投稿者:セブン‐イレブン・ジャパン
エージェンシー:株式会社東急エージェンシー

  

9. Perfume「Everyday」MV - AWA DANCE 360°VR ver.

こちらの動画広告は、音楽アイドルユニットPerfumeパナソニックが洗濯機の「泡」をテーマにしたオリジナルムービーとして公開されています。

ステージセンターの視点から360°で楽しめる新感覚のMVは、抽象空間に浮かぶ円形ステージを舞台としていて、Perfume の新曲「Everyday」に合わせて、洗濯機に搭載の独自機能「泡洗浄」や洗い方をモチーフにした振付を楽しむことができます。

11月1日に公開され、12月10日現在では330万再生を突破しており、全世界で話題を呼んでいます。

2017年下半期の視聴回数:1,486,332
投稿者:Panasonic Japan
エージェンシー:株式会社電通

  

8. 月桂冠「つき」

たった15秒ながらも、意外なところで話題を集めたのが、月桂冠「つき」の動画広告「『すき、つき、レシピ』キッチンおいしい編」です。

モデルの千梨ちりさんが出演しているこちらの動画広告。何が話題になっているのかというと、千梨さんの木べらの持ち方です。

木べらは通常、握るようにして、手の甲を上に向けて持つのですが、こちらのCMで千梨さんは、スプーンを持つように親指と人差し指で木べらを挟んで、中指を支えにして使っています。SNSでは、「その持ち方じゃ力が入らない!」「表面を撫でているだけ!」といったコメントが散見されましたが、結果的に広い告知効果を得ることのできたCMとなりました。

2017年下半期の視聴回数:1,864,732
投稿者:月桂冠/GEKKEIKAN
エージェンシー:株式会社博報堂

  

7. グリコ「アーモンドピーク」

お笑い芸人であるロバートの秋山竜次さんを起用したCMで話題を呼んだのが、グリコ「アーモンドピーク」の動画広告です。このCMでは、小さなズボラな行為を「マイクロズボラ」と呼び、秋山さんが熱唱しているという内容です。

「黒い靴の修理は油性ペンでぬりぬりすればいいよ」と様々なマイクロズボラが登場する中で、最終的にはマイクロズボラとアーモンドピークが「レディーのライフハック」だという意外な締めくくりで終わってしまいます。チョコをコーティングしていない「アーモンドダケ」が当たるキャンペーンも、話題をさらっています。

2017年下半期の視聴回数:1,948,626
投稿者:Glico Japan(グリコ)
エージェンシー:株式会社電通

  

6. Nintendo「スーパーマリオ オデッセイ」ミュージカルムービー

Nintendo Switch用ソフト「スーパーマリオ オデッセイ」のCMとして作成されたこちらのプロモーション動画は、1分41秒の長編CMながらも、再生回数200万を超えました。リズミカルな音楽に合わせて、マリオが現実世界に飛び出して、歌って踊ります。老若男女に受け入れられやすいテーマ性により、SNSを中心にシェアが広がっていました。

ほかの動画広告とは違って、1曲をまるごと使うことで、観ていても負担にならない動画広告になっています。

2017年下半期の視聴回数:2,223,755
投稿者:Nintendo 公式チャンネル
エージェンシー:任天堂株式会社

  

5. Apple「iPhone 7 - The Rock x Siri 今日を支配せよ」

こちらの動画広告はiPhoneなどでSiriに「ロック様と何するつもり?」と話しかけるとプロモーション動画が観られるキャンペーンの一環として配信された動画です。

WWEのレスラーやハリウッドスターとしている「The Rock」ことドウェイン・ジョンソンが、ふと見かけたテレビ番組で「多忙なのでこれ以上何もできない」と言われたのに触発され、リマインダーに入れていた「人生でやりたいことリスト」を、Siriの助けを借りて一気に片付けるという内容になっています。

2017年下半期の視聴回数:2,215,333
投稿者:Apple Japan
エージェンシー:TBWA \ MEDIA ARTS LAB

  

4. はじめてのチュ~診断

「一体何の広告?」と疑問が湧いてくるのが、8月9日に公開され、公開2ヵ月後の11月には220万再生を突破したWebCM「はじめてのチュ〜診断」です。YouTubeで話題を集めた同動画は、10代後半から20代前半の若年層を中心に幅広い年代で視聴されました。

これは一体何の動画広告かと言うと、ジャパンネット銀行の「はじめてのネット銀行」プロモーションの一環で作成されたCMだと言います。

「3月生まれ:アイデアとユーモア発揮チュ〜!」「9月生まれ:ときめき求めて爆走チュ〜!」​というように、面白さを交えながらついつい観てしまう内容です。

銀行という、若者にとって馴染みのないものだからこそ、誰もがドキドキするファーストキスを誕生日月別性格診断するという意外性共感性の高い企画・動画を制作したと、動画マーケティングコンサルティングを行うブルークスがPRタイムズにコメントをしています。

2017年下半期の視聴回数:2,280,394
投稿者:Japan Net Bank
エージェンシー:株式会社プルークス

  

3. ポケモン「ウルトラサン・ウルトラムーン」

3位にランクインしたのは、大人気「ポケモン」シリーズの最新作「ウルトラサン」「ウルトラムーン」のプロモーションビデオです。10月4日に公開されながらも、ハイスピードで再生回数を増やしています。

ポケモンシリーズの集大成とも言われている同作では、「闇の予兆は確かにあった」との一文から始まるこの映像には、ゲームの舞台であるアローラ地方で起こるであろう異変や出来事を断片的に収録し、同作への期待を高めてくれる内容になっています。

2017年下半期の視聴回数:3,539,271
投稿者:ポケモン公式YouTubeチャンネル
エージェンシー:株式会社電通 関西支社

  

2. アンダーアーマー「I WILL. MASAMI NAGASAWA」

7月17日に公開されて以来、話題をさらっているWeb限定CMがあります。それが、スポーツメーカー・アンダーアーマー(Under Armour)のスペシャルムービー「I WILL. 私の意志 長澤まさみ」です。

銭湯で、長澤まさみさんが何とも言えない表情で濛々しく踊り狂う姿は、露出度が比較的高い服を着ながらもセクシーというキーワードとは程遠く、まさにタイトルどおりの自由奔放な「意思」を感じさせる動画広告となっています。

動画に寄せられたコメントは「カッコいい」「さすが女優!」というポジティブなコメントも寄せられる一方で、「どうしてこうなった」「意味不明」といった批判も集まっています。しかし、女優が「女性らしさ」を演じる動画広告が多くなっている中で、炎上されながらも大暴れする長澤さんのCMがここまで注目を集めているのは、製作者の狙い通りになったとも言えるのではないでしょうか。

2017年下半期の視聴回数:3,553,801
投稿者:Under Armour JP
エージェンシー:CONNECTION

  

1. HONDA「Go, Vantage Point.」

7月30日に公開され、瞬く間に再生回数が伸びたCMが、HONDAのプロモーション「Go, Vantage Point.」の動画広告です。

広告にはロックバンドONE OK ROCKが起用され、『シン・ゴジラ』や『新世紀エヴァンゲリヲン』シリーズを指揮した庵野あんの秀明ひであき監督とコラボレーションをしています。

この動画広告には、実は前置きがあります。
6月16日に東京のSHIBUYA109に「#10969GVP」という屋外広告が張り出され、ONE OK ROCKとHondaが公式SNSアカウントにこのハッシュタグ付きで、この屋外広告の画像を投稿。各投稿には様々なリアクションが集まり、ONE OK ROCKとHondaのコラボレーションCMを匂わせていたのです。

7月末に公開された動画広告では、ONE OK ROCKと庵野監督が、7月27日にHondaが発表した新モデル「NEW CIVIC」を運転し、「Go, Vantage Point. 自分を、もっともっと連れ出すんだ。」というメッセージを伝えています。

ちなみに、1972年の初代モデル発売から45年経ったCIVICは、世界で累計約2,400万台を販売し、Hondaを代表するグローバルモデルとなっています。

2017年下半期の視聴回数:5,867,425
投稿者:本田技研工業株式会社 (Honda)
エージェンシー:株式会社電通

  

まとめ

話題になっている動画広告は、なぜ話題になっているか、その理由を掴むことで、自社の動画広告作成にも役立てることができます

スーパーマリオやポケモンといったスタンダードな動画もさることながら、歌を歌ったり意外性から話題をさらったりする動画など、様々な動画が参考になるのではないでしょうか。

注:「2017年下半期の視聴回数」は2017年7〜11月の有料動画の視聴回数、オーガニック検索の視聴回数、視聴者維持率(動画再生に対して視聴された割合)など、様々な要素を加味してYouTubeが算出した回数であり、リアルタイムの数値と異なります