実施中の注意点や使えるテクニック

いよいよインタビューの実施です。ユーザーの潜在的な意見を引き出すことは簡単ではありません。
適切な質問や会話のテクニックなどを駆使して、時間をかけて深掘りする必要があります。

ユーザーの意見を深掘りすることが求められるデプスインタビューの際、質問や、注意する点はたくさんあります。具体的には以下のようなポイントを抑えておきましょう。

  • まずは相手との信頼関係を築く
  • 質問は決めすぎず、臨機応変に掘り下げていく
  • 深掘りはするが、「なぜ」を使いすぎないこと
  • 回答を得るのが難しい場合、他の方法と併用するのもアリ

まずは相手との信頼関係を築く

ユーザーの潜在的な感情を引き出すためには、インタビュアーとの間に信頼関係を築くことを意識します。

インタビューが始まると同時に、いきなりサービスの質問を投げかけるのは良くありません。緊張などから本音を話してくれない可能性があるためです。

なのでまずは、和やかで話しやすい雰囲気を作ることを意識します。相手の話にしっかりと耳を傾けたり、共感の意を示してみましょう。
簡単なことのようで、意外と忘れがちで、難しい部分です。

質問は決めすぎず、臨機応変に掘り下げていく

デプスインタビューの際は、質問内容を決めすぎないようにしましょう。
質問内容をマニュアル化し過ぎてしまうと、表面的な意見にしか触れられないことが多いためです。

ある程度決めた大枠の質問について、相手の回答を受け臨機応変に掘り下げていくことが重要になります。

この調査の目的は、あくまでもユーザーの行動を具体的に聞き出し、その裏に隠された欲求・ニーズを分析することであるのを忘れないようにしましょう。

深掘りはするが、「なぜ」を使いすぎないこと

質問を深めていこうとすると、どうしても「なぜ」という表現を多用してしまいがちです。
「なぜ」を問うことはもちろん大切ですが、行き過ぎると相手に負担をかける原因にもなります。

インタビューで得るべきものはあくまでも分析のためのデータです。
「答えを得る」というよりは「材料を集める」感覚で質問をするのが良いでしょう。

例えば「なぜその行動を取ったのですか?」という表現ではなく、「その行動を取ったとき、どのようなことを考えていましたか?」と、詳しい状況を聞くように変えてみます。

これだけでも質問を受ける側の印象もだいぶ変わり、リアルな感情を引き出すことが出来るでしょう。

行動観察法との併用

質問の際の注意点について述べてきましたが、相手によってはなかなか意見を引き出せないこともあります。

そうした場合は、行動観察法との併用も1つの手です。
行動観察法とは、デプスインタビューと同じく定性分析の一種です。質問に対する回答ではなく、実際の行動を観察することで、ユーザーの行動の特徴・その裏にある潜在的な心理を推測します。

インタビュー相手が、話すことを苦手としていた場合は、この方法を併用することで有効な情報を得られる可能性があります。

例えば、ユーザーが商品やサービスを利用する状況を実際に観察することで、リアルな使い方などの情報を得ることが出来るでしょう。

参考:
ユーザーインタビューを行う際に気をつけたい4つのポイント|ferret [フェレット]
デプスインタビューとエスノグラフィー調査の違いと使い分け | リサーチ・市場調査 | クロス・マーケティング
行動観察で分かる! ユーザー行動の「なぜ」