テクノロジーを導入する企業の苦労や成果

コンカーもSmartHRも、それぞれITにより業務を効率化できるサービスです。これらのツールを導入する企業にはどのような特徴があるのでしょうか。

「どのような会社がサービスを積極的に取り入れようとしているのか。また、導入の際に企業がぶつかるポイントや導入後の成果についてお聞かせください。」(日比谷 氏)

「働き方改革の広がりと共に、生産性改善のために導入する企業が増えています。しかし、企業によっては経費規定をなかなか見直せず導入できないという問題もあります。」(三村 氏)

三村氏によると、以前は経費精算の不正防止のためにサービスを導入する企業が多かったと言います。現在は、不正防止よりも生産性向上のためにサービスを取り入れる企業が増えていると話します。しかし、「経費精算」という業務の都合上、製品のメリットを理解してもらっても経費規定を見直すことが困難な企業もあり、スムーズにサービスを導入できない場合もあるそうです。

一方、宮田氏が提供しているSmartHRは、すんなりと導入を決める企業が多いと話します。社会保険周りの業務は未だに紙ベースが基本で時間がかかります。それらの業務を全てデジタル化することで、人事総務の負担が大きく減るからです。

「勤怠管理はソフトウェア入ってるけど、社会保険周りは紙が多いから、製品を知ってもらえばすんなり導入してもらえることが多いです。人事業務の方は残業や休日出勤が多かったが導入後減ったと言ってもらえます。その分、制度改革に費やせる時間が増えているそうです。」(宮田 氏)

人事労務の負担が減ることで、社内の制度改革に取り込める時間が増えます。結果として、人事労務の負担軽減だけではなく、会社全体の生産性向上にも繋がります。

「以前は仕事が減ってもタバコ吸う時間が増えるだけという考え方が多かったです。近年は仕事を効率化できれば従業員を休ませることができる、早く帰らせることができるという捉え方が増えてきました。」(三村 氏)

働き方改革の広がりにより、社員の労働環境の改善に取り組む企業は増えています。そういった企業を中心に、業務を軽減するためコンカーやSmartHRが積極的に導入されているようです。

「政府から働き方改革などの題目が降りてくるわりに、休み方改革や会議の仕方改革など、仕事の純減ではなく時間の使い方を考える方が多いのが現状です。仕事の純減という観点ではITを使って減らす取り組みが不可欠になるんです。」(三村 氏)

ITは人事の仕事を奪うのか

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テクノロジーを導入することで、人事や経理が行なっていた一部業務は不要になります。テクノロジーがこれらの仕事を行うことで、人材が不要になることを心配する声も上がっています。

「人事の労務を効率化すると仕事がなくなってしまうのではという話もありますがどうなのでしょうか。」(日比谷 氏)

「サービスを出した当初、我々は社労士さんの仕事を奪うのではという論調もありました。実際には、SmartHRを使ってクライアントを支援する社労士さんもいらっしゃって、売り上げが3倍伸びたという事例もあります。使い方次第では売り上げを伸ばすことができるのだと思います。」(宮田 氏)

テクノロジーを導入することで、人がやらなければならない業務は少なくなります。その空いたリソースどのように使うかが重要であると宮田氏は話します。空いた時間をうまく活用することで、売り上げを伸ばす企業もあるそうです。

テクノロジーは仕事を奪うのではなく、新たなサービスを生みだすための時間を作るツールと考えるべきでしょう。