Twitterやインスタグラム、FacebookなどのSNSアカウントを作成し企業活動に利用するソーシャルメディアマーケティングは、多くの企業で取り入れられています。

とくに、SNSの利用率が高い10代〜20代をターゲットとした商品・サービスを提供している企業のWeb担当者にとって、SNS運用は力を入れたい項目の1つでしょう。

しかし、SNSでどのような投稿をすればユーザーに関心を持ってもらえるのか、日々頭を悩ませているWeb担当者は多いのではないのでしょうか。

2月26日に「PR TINESカレッジ」にて、「共感を生むコミュニケーション」をテーマとした登壇イベントが行われました。

今回は、10代~20代の若者にSNSで圧倒的な支持を誇るゆうこすこと、株式会社KOS 代表取締役 菅本裕子氏(以下、菅本氏)が語る「SNSで共感を生むコミュニケーション」についてレポートします。

登壇者紹介

株式会社KOS 代表取締役 菅本裕子(ゆうこす)

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1994年、福岡県生まれ。2012年にアイドルグループ「HKT48」を脱退後、タレント活動に挫折しニート生活を送るも、2016年に自己プロデュースを開始、「モテクリエイター」という新しい肩書きを作り自ら起業。現在はタレント、モデル、SNSアドバイザー、インフルエンサー、YouTuberとして活躍中。10〜20代女性を中心に自身のInstagramやYouTubeチャンネルで紹介するコスメ等が完売するなどその影響力は絶大であり、またライブ配信中に商品を販売する"ライブコマース"におけるパイオニア的存在。
Instagram、Twitter、LINE@、YouTubeなどのSNSのフォロワー約100万人。近著に『SNSで夢を叶えるニートだった私の人生を変えた発信力の育て方』。
引用元:PR・コミュニケーションのトレンドを学ぶ「PR TIMESカレッジ」

共感と拡散は直結している

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「SNSでは共感が重要だと私は思っています。共感と拡散は直結しています。」(菅本氏)

「SNSでは共感が重要」
これは菅本氏に限らず、多くのインフルエンサーが口にする言葉です。
菅本氏はSNSで共感を大事にすべき理由として以下のように語っています。

「特にTwitterはRTがあるのでわかりやすいと思うのですが、SNSは拡散によって多くの人に知ってもらえる場所です。そして、拡散は共感がないとしてもらえません。
『わかるわかる、いいね!』という投稿や『本当は思っているけど自分じゃ言えないんだよね』という投稿。そういう共感してもらえるツイートができると拡散につながります。ニッチな世界であればあるほど、分母が少なければ少ないほど、実は拡散力が高いんです。」(菅本氏)

共感されるアカウントになるために意識したい5つのこと

菅本氏は、SNSで共感を生むには以下の5つを意識すべきだと話します。

1.どんな人に共感してもらいたいかを明確にする

菅本氏の場合は、モテたい、ぶりっ子がしたいという人に共感してもらえるように発信しています。SNSで投稿するときは、まずどのようなユーザーに共感してもらいたいかターゲットを絞るのが大切です。

2.言いたいけど言えないことを発信する

自分が言いたいけれど言えないことを発信しているアカウントは共感を生みます。誰かのの代弁者になれるような投稿をしましょう。

3.人に広めたくなるような有益な情報を発信する

「私の場合はモテたいと思っている人たちに対して発信をしたら、その人たちが拡散してくれました。さらにその拡散してくれた人たちのフォロワーもモテたいと思っている人たちなので、また拡散します。そうやって投稿はどんどん拡散されていきました。」(菅本氏)

価値観の近いフォロワーに対して有益な情報を発信できれば、そのフォロワーのフォロワーにも共感され、さらに拡散されるようになります。

4.ストーリー性がある

企業アカウントは無機質な投稿ばかりしてしまいがちです。しかし、中の人を感じられるような投稿をすると、情報は拡散されやすくなると菅本氏は語っています。

「企業アカウントに言えると思うのですが、“人”を感じられるアカウントは愛着が湧きます。私の場合は失敗エピソードなどもあえて投稿するようにしています。」(菅本氏)

5.フォロワーのために発信するのではなく、フォロワーの立場になって考える

菅本氏のファン層である10代〜20代は、生まれた頃からデジタルが身近な存在であり、SNSも幼い頃から利用しています。

その「スマホネイティブ世代」の人々は、情報に対する高い見極め力を持っていると菅本氏は話します。

「今の10代、20代の子達は、情報を取捨選択する力が息をするのと同じような感覚の子が多いです。なのでこちら側から『“いいね”してください!』というような一方的な発信をしても、面白くないと言われてしまいます。なので相手のために発信するのではなく、相手の立場になって考えるのが大事だと思います。」(菅本氏)

「これは良い商品です」という一方的な情報を届けるのではなく、常にユーザー目線に立ち「自分だったらどのような投稿をRTするか」を考えながら投稿する必要があるのです。

複数のSNSを使い分ける

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Twitterやインスタグラム、FacebookにYouTubeなど、SNSといっても様々な種類があります。1つのSNSだけではなく、複数のSNSを運用している企業も多いでしょう。

菅本氏は、それぞれのSNSの特徴を知り、それぞれに合った投稿をすることが重要だと話します。

「私も複数のSNSをやっていますが、1番やってはいけないと思っているのが“とりあえず発信”です。インスタグラムで投稿したものをそのままTwitterでもシェアしたりするのはもったいないと思います。Twitterのフォロワーから手抜きしてると捉えられてしまいますし、同じ投稿をシェアするだけなら見る意味がないのです。」(菅本氏)

菅本氏はTwitterを拡散型SNS、インスタグラムとYouTubeを掘り下げ型SNSと位置づけ、それぞれの投稿に変化をつけています。

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例えば、YouTubeにハロウィンメイクの動画を投稿した際、インスタグラムではメイクに使用したコスメすべてにハッシュタグをつけて投稿し、ハッシュタグ経由の流入を狙ってYouTubeに誘導します。Twitterでは一目で拡散されやすいように、メイク方法を簡単にまとめた画像を付けて投稿し、YouTubeへ誘導します。

このように、それぞれのSNSに合わせて別々の投稿をすると、情報は拡散されやすくなるのです。

Twitterで共感を生むには

菅本氏は、Twitterの共感には2種類あると語っています。

1つはユーザーの本音を代弁して得られる共感。もう1つは有益な情報を共有することで得られる共感です。

具体的には、以下のようなツイートです。

本音代弁系

情報を共有系

どちらのタイプにも共通して言えることは、ユーザーが拡散したくなる内容になっているかということです。

とくに情報共有系のツイートに関しては、

・ツイート内に見出しを作る
・自分なりの説明や解釈がある
・行き先(店舗情報や申し込みページなど)がある

の3点を意識すると良いと菅本氏は語っています。

Twitterは短い言葉の世界なので、なんとなく投稿してしまうことも多いです。でも、ちゃんと編集して文章に力を入れると、確実に目立てる世界なんです」(菅本氏)

インスタグラムは共感を生みやすいSNS

菅本氏は、インスタグラムはTwitter以上に共感を生みやすいSNSだと話します。その理由は「ハッシュタグ」を利用した「タグ」文化があるからです。

タグる」とは、ハッシュタグを検索してインスタグラムの投稿を探すことです。

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上記は菅本氏のインスタグラムインサイト(インスタグラムの分析ページ)を比べたものです。左の投稿はハッシュタグを2個付けた投稿、右の投稿はハッシュタグを15個付けた投稿です。

アクション数に10倍近くの差があり、ユーザーの反応が全く違うことがわかります。ハッシュタグをつけることで、自分のフォロワー以外がハッシュタグを検索し、投稿を閲覧してくれる機会が爆発的に増えるのです。

インスタグラムのエンゲージメントを高めるには

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インスタグラムのエンゲージメントを高めるポイントとして、以下の4つをあげています。

1.投稿の最後は疑問形にする

投稿文の最後を疑問形にすると、ユーザーはコメントがしやすくなります。コメント数を増やしたいと思ったら、化粧品なら「どの色が好きですか?」食品なら「どれが食べたいですか?」 など、文末を疑問形で締めてみてください。

2.有益な雑誌の編集長になる

インスタグラムを1つ雑誌と捉え、世界観を統一しましょう。プロフィールページを閲覧し、プロフィール文と最新の投稿写真数枚を見ただけで、「何を発信しているアカウントなのか」がわかるようにしておくことが重要です。

3.長文を投稿する

菅本氏は「インスタグラムこそ長文がいい」と話しています。長文を投稿すると、「後からじっくり読もう」と“いいね”を付けるユーザーが多いそうです。
インスタグラムは写真共有SNSのため短い文章で投稿している人も多いですが、なるべく長文を投稿するよう心がけてみてください。

4.不要なハッシュタグはつけない

ハッシュタグを複数付けるのは大事なことですが、何でもかんでも付ければ言い訳ではありません。例えば、「#fashion」など、全世界的に使われているようなハッシュタグだと、使用している人数が多すぎて、投稿が埋もれてしまう場合があります。

ブランド名や商品名などに絞ってハッシュタグを付けた方が有効です。

まとめ

自分の強みを理解し、それを各種SNSの傾向に合わせて文章を作り丁寧に発信する。菅本氏がSNSで行なっていることは、決して難しいことではありません。しかし、それを実施できているアカウントは多くないでしょう。

Twitterでもインスタグラムでも求められるのは共感力です。企業のSNS担当者は、ユーザーの同意が得られる投稿やユーザーのためになる有益な情報を投稿を心がけることが大切です。