2016年7月にリリースされ、爆発的な人気を博した「ポケモンGO」。
このゲームの大ヒットがきっかけで、現実の世界をコンピューター技術によって拡張する「AR(Augmented Reality)」が広く知られるようになりました。

ARは主にゲーム分野で話題になることが多い技術ですが、最近ではビジネスでの活用が増えてきたことはご存知でしょうか。まだ導入事例も少ないため、具体的な活用のイメージがつかない方もいるかもしれません。

今回は、ARのビジネス活用事例を5つご紹介します。

ARがビジネスに活用される理由

急成長するAR市場

AR市場は、仮想現実の技術であるVR(Virtual Reality)市場とともに、世界的に急成長を遂げています。

IDC Japan株式会社の調査によると、AR/VR市場は2018年には178億ドル前年比95%成長すると予測されています。2016年から2021年の年間平均成長率は、98.8%だともいわれています。

参考:
世界AR/VR関連市場予測を発表|IDC Japan株式会社

VRのビジネス活用とARのビジネス活用の違い

前述した調査結果にもあるように、ARはVRと一緒に語られることの多い技術です。VRとARは、どのような違いがあるのでしょうか。

VRは、仮想の現実を構築する技術です。

現実にはない状況をまるで現実であるかのように作り出したり、遠方の風景をまるでその場所にいるかのように再現したりできます。

VRはリフォーム後の部屋のイメージの確認や、遠方の観光名所の疑似観光体験などに活用されています。ユーザーがその場で体験できない状況や環境を構築することで、価値を提供しているのです。

参考:
販促にVR活用 戸建て建築や観光で疑似体験 臨場感たっぷりに顧客アピール|産経WEST

一方、ARは現実に存在しているものとバーチャルな情報を組み合わせた技術です。

ある空間に存在しなかったものを、コンピューター技術を使って視覚的に表示させることができます。

最近では、ユーザーにとって身近なデバイスである、スマートフォンを使ったARのサービスが増えていますユーザーはスマートフォンのカメラを通して、目の前に存在していない情報や映像を見たり、サービスを体験したりすることができます。

企業にとっては、ユーザーの身体を動かす手間や負担をできるだけなくした形でサービスを提供できるようになります。

参考:
今だからこそ知っておきたい!VR・AR・MRの違いは?|ferret

ARのビジネス活用例5選

1.AR技術で飛び出す名刺を作成

AR_-_1.jpg
Araddin

「Araddin」は、ICTechnology株式会社が提供するAR技術を搭載した名刺サービスです。

専用アプリを起動し、名刺をカメラにかざすと画面に映像が飛び出します。動画の再生やホームページへのリンクも可能です。

商談の前段で交換するだけだった名刺を、相手とのアイスブレイクや自社の分かりやすい説明のために活用できます。AR技術がまだ普及していない今だからこそ、注目を集める存在にもなり得るでしょう。

2.商品ごとに違うビジュアルを楽しめるバーチャル恋人

AR_-_2.jpg
恋人はポッキー

「恋人はポッキー」は、江崎グリコ株式会社の商品ポッキーを活用した、2018年のバレンタインキャンペーンです。

専用アプリのカメラをポッキーのパッケージにかざすと、パッケージごとに異なる外見のアニメキャラクターが登場します。

同社はTwitterにも投稿しており、ユーザーに好きなキャラクターについてコメントしてもらうことで話題を広げました。

ユーザーにとっては、AR技術で現実の世界にキャラクターが映し出されるのは目新しい経験です。特にビジュアルが魅力の大きな要素を占めるキャラクターを用いたサービスでは、活用の幅が広がるでしょう。

3.自宅で家具をバーチャル設置

イケア・ジャパン株式会社は、イケアの家具を自宅やオフィスに実寸で設置したように表示できるアプリを配信しています。

ユーザーは専用アプリをダウンロードし、設置したい部屋の床をスキャンします。そのままアプリ内で商品を選び、設置したい箇所に画面上の商品を移動させます。

家具などの大きな商品は、購入前にサイズを正確に測っておかなくてはなりません。また安い買物でもないため、頭の中でその家具を部屋に設置した状況を思い浮かべる程度の具体性では、すぐに購買行動に結びつかないことも少なくないでしょう。

AR技術を導入することで、実際のサイズ感だけでなく、部屋の他の家具との色合いなども確認できます。ユーザーが具体的に購入後の商品をイメージしやすくなれば、検討時の背中を押してくれることでしょう。

参考:
「IKEA Place」アプリ|IKEA

4.カメラをかざすだけで部屋を採寸

AR_-_3.jpg
LIFULL HOME’S

不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」を運営する株式会社LIFULLは、iPhone向けに「LIFULL HOME’S」、Android向けに「LIFULL HOME'S Room Style AR」というARアプリを配信しています。

このアプリでは、スマートフォンのカメラをかざすだけでその部屋を採寸できます。採寸した部屋はメモ機能で保存できるため、内見後に比較する際の検討材料にもなります。

また、Androidアプリでは、カーテンなどのアイテムをバーチャルで取り付けることができ、実際に住み始めた様子をイメージできる上、そのサイズまで計測します。

住宅はユーザーの生活に深く関わってくるため、どれだけリアルなイメージをもって検討できるかが購買意欲に大きく影響します。また、手間がかかりやすい採寸を手軽に行えることは、ユーザーだけでなく同行する営業担当にとっても工数削減につながります。

時間のかかる単純作業をAR技術で代行し、その分をコミュニケーションにあてるという使い方も可能です。

メイベリン・ニューヨーク

Maybelline New York社は、コスメブランド「Maybelline New York(メイベリン・ニューヨーク)」のネイルアートをバーチャルで試用できるプロモーションを行いました。40種類ものカラーを、自分の爪で試すことができます。

ネイルアートは、容器に入っているときと実際に塗布したときの色味が若干異なることが多く、好みの色合いなのか、自分の肌色に馴染むのかといった不安を抱きやすい商品です。加えて、他の化粧品のように簡単に試して落とすこともできません。

しかし、AR技術を活用することで、手を汚さず、時間もかけずに自分自身の爪でネイルアートを試せます。

今回はプロモーションの一環ですが、この技術が普及すれば、将来的にはネットショップなどでも活用の範囲は広がるはずです。ユーザーが家の中で、何種類ものネイルアートを試用しながら検討できるため購買率の向上を期待できるでしょう。

まとめ

ARのビジネス活用は、顧客にとっては購買後のイメージを持たせやすく、企業にとっては来店時の接客業務削減などにメリットがあります。

また、まだ普及していないARは顧客にとっても“新しい体験”となり、他社との差別化にも繋がるでしょう。これまで導入していなかった企業でも、一度検討したい技術です。