「ポッと出の急成長ベンチャー」から「CtoCマーケットのインフラ」へ(株式会社メルカリ)

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株式会社メルカリからは、PRグループマネージャーを務める矢嶋聡 氏が登壇しました。同社では、月間UUが1,054万人、ダウンロード数が7,100万を超えるフリマアプリメルカリ」を運営しています。

2013年に設立してから急成長を遂げてきた同社では、サービスだけでなく企業としても、社会から信頼を得るための広報活動に奔走してきたそうです。矢嶋 氏は、広報活動における社内と社外それぞれの課題と、その課題を解決した方法について語りました。

チームの基盤を強化し「攻めの広報」を実現

矢嶋 氏は、「攻めの広報」ができていなかったことを課題として挙げています。

「当社の広報メンバーは、プレイヤーとして非常に優秀です。ただ属人的な働きが多く、チームとして核となる方針や軸がないことが課題でした。その結果、慢性的な人員不足に陥っており、取材や問い合わせに追われるだけで、こちらから何か仕掛けるということができていませんでした。(矢嶋 氏)」

そこで実施した解決策が、「広報チームの方針の明確化」と「業務効率化」の2つです。

「まずは広報グループの方針を決め、優先順位を明確化しました。メンバーが広報の目的と優先順位を理解した上で業務を進めたことで、受け身ばかりだった対応から、戦略的な「攻めの広報」ができるようになりました。(矢嶋 氏)」

業務においても、ツールを積極的に活用することでルーチンワークを自動化し、優先度の高い業務に注力できる環境を整えました。

サービスへの理解と新しい価値観を広めるために

同社は、サービスが急成長し、上場も視野に入ってくるにつれ、メディアに大きく取り上げられるようになりました。その中で、ネガティブな内容を報道されることもあったといいます。

社外に対して売上増加といった一面的な要素だけでなく、企業の理念や世界観、サービスがつくる新しい価値などポジティブな要素も理解してもらえるよう、矢嶋 氏は次の3つに取り組みました。

・重点メディアとのリレーション構築
・「テックカンパニー」「メルカリ消費」などの文脈でのポジティブな露出の強化
・コーポレートストーリーの発信強化

広報戦略では、まず目指すべき態度変容の在り方を定義することが重要です。理想の状態から逆算して、詰将棋のように課題解決の打ち手や伝えたいメッセージを積み上げていく。一発の大きな打ち上げ花火でパーセプション(認識)が変わることはありません。

大きな方向性を組み立てた上で、世論の動き、自社の動き、競合他社の動きを見ながら四半期ごとに見直すくらいのイメージがちょうどいいかもしれません。」(矢嶋 氏)

まとめ:ブランディングは一朝一夕では完成しない

自社で決めた「こんな風に思われたい」という理想を、そのまま世間に映すことは簡単ではありません。理想を明確にした上で、それに伴う活動を着実に重ねていくことで少しずつ変えていくことが大切です。敢えて変えないという選択も、時には必要かもしれません。

自社が大切にしたい理想とユーザーにとっての価値を再度振り返り、“ブランド”について考えてみてはいかがでしょうか。

前回開催された「PR TIMES カレッジ」の記事もferretに掲載しておりますので、参考にしてみてください。

参考:
「まずは社内の共感を得ること」カルビー広報が語る、消費者の共感を生み出す商品開発とは|ferret
ゆうこす流、共感されるSNSの作り方|ferret