アプリに位置情報サービスを提供する企業とペルソナ

アプリにおける位置情報機能の実装は、各アプリで独自に開発していたものが中心でしたが、ここ数年、アプリ事業者に対して位置情報サービスやプラットフォームを提供する企業も増えてきています。

電通が米国の位置情報マーケティングの大手GroundTruth社と提携したほか、株式会社サイバーエージェントのAirTrack、株式会社ブログウォッチャーのProfilePassport、Cinarra Systems Japan 株式会社のREAL PEOPLE/REAL SIGHT、インターメディアプランニング株式会社の39Geoplaなどのサービスがあります。

これらの企業は、アプリに対してSDKを提供することで、アプリに位置情報に関連する機能を提供したり、アプリユーザーの位置情報ログを収集してマーケティング分析や位置情報連動広告を配信したりするサービスを提供しています。

アプリの利用者をプロファイリングするには、これまでアプリ内で個人の属性をマイページに登録してもらうことが中心でした。

しかし、個人情報に属するデータを登録することに拒絶反応を持つユーザーも多いことから、こうしたプロセスを経ずに、これら位置情報サービス提供企業は、ユーザーの位置情報を匿名で収集し、そのプロファイルを分析することで、個人を特定せずにユーザーのペルソナを推定できるようになっています。

例えば、新規のスーパーマーケットやショッピングモール、コンビニの出店に当たって、出店候補地の住民がどのような生活移動を行なっているか、どの範囲のエリアをどのように回遊しているかがわかれば、非常に有意義な事前検討資料になります。アプリを用いて位置情報を計測する背景には、こうしたニーズも大きいと考えられます。

参考:
電通、世界最高レベルの位置情報マーケティング会社「GroundTruth社」と資本業務提携 - ニュースリリース一覧 - ニュース - 電通

まとめ:位置情報サービスの進化は今後も続く

今回見て来た広告配信やマーケティング分析、ゲーム以外にも、防災時のナビゲーションや高齢者・子供の見守りサービス、ポイントサービス、クーポン配信、観光地ナビゲーション、屋内位置測位、盗難防止など多岐にわたるサービスなどが生まれて来ています。

2018年は「位置情報元年」とも言われるほど、多彩なサービスが一気に立ち上がって来ています。広告配信・分析系のサービスもここ数年で格段に成長して来ました。個人情報に対するナーバスな扱いが求められる中で、匿名の位置情報によってユーザーの動向を捉えるロケーションサービスの進化は、今後も続くことが予想されます。

静止衛星「みちびき」の打ち上げにより、GPSの精度も今後は格段に良くなっていくでしょう。こうした背景の中で本連載では位置情報マーケティングとサービスの多様な側面について、次回以降伝えていきたいと思います。