非IT業界にも広がる「複業」の潮流

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飯髙:
とはいえ、いま文化として浸透しているのはIT業界が殆どかもしれませんね。

西村 氏:
実は、徐々に飲食とか不動産とかにも浸透し始めているんですよ。日中の飲食店などアイドルタイムが多い業種です。

それで、飲食業とWebマーケティング業の両方の事業をやっている会社があるんですよね。飲食業とマーケティング両方やっていて、昼間のお客さんが来ない時間帯は、Webマーケターとして企業のFacebookの運用とかをしながら、夜になったら本業の飲食店のスタートをするという。

社内複業みたいな感じですよね。これも新しいシェアリングエコノミーの形だなと思います。

飯髙:
飲食店とかにも広まりつつあるんですね。ところで、「副業解禁」と騒がれて結構経ちますが、どれくらい認知され取り組まれているのでしょう?

西村 氏:
2016年6月に、ロート製薬が複業解禁したというのが一つのティッピングポイントになりました。

IT業界は複業やパラレルワークに対して当たり前という風潮こそありますが、それはあくまでIT業界の話であって、製造業には関係がありませんといった暗黙の空気みたいなものがありました。

そういった領域にいたロート製薬という会社が「副業解禁」を発表し、急速に製造業に波及し、結果的に厚生労働省がモデル就業規則を改定する流れになりました。

経団連はさすがに「副業解禁すること」を強制はしないという声明は出したものの、各社の検討は進んでいて、今年の5月からJR東日本のグループ会社で副業解禁が進みました。あと、他に大きな出来事といえば、新生銀行の副業解禁ですね。従来型のトラッドな企業や業界でも解禁が進んでいます。

僕は自分の会社のミッションとして2020年までに上場企業における複業解禁率を100%にするというものです。決して不可能じゃないかなと思っています。

参考:
「副業解禁」に潜むワナ。どう乗り越える? | COMEMO

複業によって「働き方の選択肢」が増える

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飯髙:
銀行などが解禁したのは良い流れですよね。

もし、「2020年までに上場企業における複業解禁率を100%」という状態が達成されたら、どういう未来が待っていると思いますか?

西村 氏:
今って「複業ができない」ことを言い訳できちゃうんですよね。

例えば、「うちの会社複業禁止なんで」みたいなことを聞くことがあります。複業が全て解禁になったら、やるかやらないかというのは本人の自由だし、全ての人が複業やるべきだとは思いません。

ところが、「今の仕事がめちゃくちゃつまらなくて」とか、「上司がめちゃくちゃ嫌なやつで」とか、「全然つまらないんですよね」みたいなことがあったときに、やりたいことを「複業でやる」という選択肢が生まれる。

とりあえず複業で始め、芽が出たら複業をベースに転職をするとかあるいは起業独立をするという選択肢が生まれるので、不満を言うビジネスパーソンが減るだろうなと思います。

例えば、新橋の居酒屋で上司の悪口をひたすら言いまくって1日を終えるサラリーマンが減るとかね(笑)

飯髙:
確かにそうですね。やっぱり外を見て中を知ることができるのが複業の良いところでしょうね。もしかしたら「うちの会社って良いところじゃん」と再認識することもできますからね。

西村 氏:
そうなんです。複業によって初めて自分の居る環境の良さを知ることができるようになります。「隣の芝生は青く見える」という現象も無くなっていくのではないでしょうか。