この記事は株式会社Asobica 取締役・小父内信也氏からの寄稿記事となります。

自社にとって優良な顧客とは誰なのか?

その解像度をどれだけ上げられるかが、競争に打ち勝つ上で非常に重要な鍵となってきます。そのためにさまざまなアプローチで顧客情報を集め、個人の人物像を浮き彫りにしていかなくてはなりません。代表的な方法がCookie(クッキー)の活用でした。

Cookie規制が進む中、いま企業と顧客との関係は大きな変革期に突入しており、企業は早急にマーケティング、プロモーション活動のあるべき姿への舵きりを迫られています。

本記事では、Cookieレス時代に抑えておくべき考え方と顧客との関わりかたについてお伝えし、その対策として話題になっているコミュニティ」についてご紹介していきます。

「Cookie規制」でマーケティングはどう変わるのか?

最近ニュースなどでも話題になっている「Cookie規制」。マーケティングの担当者ではなくても耳にすることがあると思います。これまで企業のプロモーション活動においては当たり前のように扱われていた「個人に関する情報の利用が制限されるというものです。

Cookie利用についての変化

「Cookie」とは、Webサイトに訪れたユーザーの情報をサイトに一時保存することで、その情報を企業の事業活動に利用できる仕組みのことを指します。企業は、ユーザーから直接情報を取得しなくても、そのCookie情報をもとに自社のWeb広告を表示するなどマーケティング活動に利用することができていたのです。

ユーザー側の視点で見ると、自分の意図せぬ形で自身の情報を流用されているということも頻繁に発生していました。近年のプライバシーやセキュリティに対する意識の高まりなどを背景に、Cookieの利用が制限される「法規制」と「ブラウザによる規制」が進んでいます。

企業のマーケティング活動の変化

これまで企業は、さまざまな場所に散らばっていた情報をCookieとしてフル活用し、あらゆるデータをかけ合わせて個人の人格や性向を浮き彫りにすることが容易にできていました。

今後はCookie規制によって、そうした情報を集約することが難しくなってきます。そのためCookieに依存していた企業は、マーケティングや消費者との向き合い方を大きく変えなくてはいけない事態となりました。

Cookie規制が進む中で、今後の企業のマーケティング活動は2つのポイントで変化していくと考えられます。

1、顧客体験最適化の動きが加速する

氏名や年齢などの属性情報に留まらず、顧客自らが積極的に共有する質の高い情報を蓄積し、個々人のニーズに合わせたコンテンツを提供するなど、顧客体験を最適化する動きが加速していきます。企業は、オウンドメディアやオンラインコミュニティを構築し、顧客との直接的な接点を自ら運用していく傾向が強まっていくでしょう。

2、信頼関係の構築が求められる

個人情報の取り扱いや利用について透明性/公平性を担保し、これまで以上にプライバシーやセキュリティに配慮した姿勢が強化されます。ユーザーが安心できるよう、出来る限り不安や不信を取り除き、企業と顧客が互いに信頼し合える関係性が求められていくでしょう。

上記2点の流れから、今後は顧客と向き合う場としてオウンドメディアオンラインコミュニティの構築が選択肢の1つになっていくはずです。企業公認の場であれば、顧客自身も情報を開示しやすくなるものです。

そもそも消費者や顧客は、互いに信頼できる関係性を求めており、情報を搾取されるようなことは避けたいと考えているのです。