コンビニで買う日用品、旅行に持っていく一眼レフ、ローンを組んで手に入れるマイホーム……。
日常の生活の中で幾度となく直面する「買い物」という行動を、普段あなたはどういった基準で行っていますか?

一昔前であれば「CMで見た」「雑誌で読んだ」という単純接触による認知、それに伴う購買という流れが一般的でした。

しかし今は、クチコミサイトやモールのレビュー、SNSでの反応、インフルエンサーの発信と様々なチャネルから多種多様の情報を取得できる時代。これだけ情報が溢れていると、事前に何も調べず購買行動に移ることの方が珍しい世の中になってきています。

本連載では私、株式会社ドリップCEO堀口英剛が「第三者が語ることの重要性」と「他社から見た新たなインサイトの発見」をテーマに、全三回に分けて株式会社ドリップで実践しているマーケティング施策について紹介します。

広がる「クチコミ」の範囲

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Amazonや楽天の商品ページの下部に表示されているカスタマーレビュー。商品を購入をする前に、ついつい覗いてしまうのではないでしょうか。

NTTレゾナント株式会社が調査した「『購買行動におけるクチコミの影響』に関する調査」によると、商品選定時にクチコミの影響を受ける人は全体の8割、その内クチコミが購入の決め手になる人は4割という結果が出ています。

参考:
「購買行動におけるクチコミの影響」に関する調査 - 調査結果 - NTTコム リサーチ

購買の参考とされる情報は商品ページのレビューに留まらず、検索エンジン検索結果にまで及びます。

「Think with Google」の「検索がこれまで以上に重要な理由」によると、生活者が商品を購買する前に検索をする回数は平均6回です。

検討を要する個人金融のような高額商品、ベビーケアのような毎日使う生活用品、どちらの場合でも約半数の人が検索を経て、その結果を元に判断をし購買へと進んでいます。

ECモールのレビュー機能や、検索エンジンという技術の進化によって、生活者が自ら商品の情報を取得でき、それが当たり前になった今の時代。

メーカーの公式HPや製品に封入する説明書と同じくらい、ネット上の「第三者の声」をどのようにマネージメントするかが重要になってきているのです。

参考:
検索がこれまで以上に重要な理由

意思決定を促す第三者の意見

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多様な選択肢や情報が広がる情報化社会の中で、生活者の意思決定に大きな影響を与えているのが「信頼できる第三者の意見」です。

人は情報に納得し、共感をし「自分ゴト化」をして初めて行動に移ります。

その「自分ゴト化」を進めるためには、メーカー本人ではない「第三者」からのリコメンドが必要です。

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引用:Instagram時代の消費行動モデル「CREEP」

上記は株式会社トライバルメディアハウスによる「Instagram時代の消費行動モデル『CREEP』」の中で紹介をされている「自分ゴト化」を進める仕組みです。

「どこかで見たことある、聞いたことがある」という”認知”を促す「世の中ゴト化」と「自分の周りで話題になっている」という「仲間ゴト化」。

この図の中に生産者やメーカーのような情報の発信者は登場しません。生産者と生活者の間に存在する「第三者」がメディアとなって、生活者の「自分ゴト化」が進んでいくのです。

上記から、ただ闇雲に情報を広げるのではなく、いかに生活者の身近な「信頼できる第三者」達に商品やサービスを魅力的に語ってもらうかを考えていく必要があります。

参考:
Instagram時代の消費行動モデル「CREEP」