VAZ森氏×渡辺氏が思い描く「Mel」の成功の法則、そして未来
若年層に影響力のあるインフルエンサーを多く抱える株式会社VAZ。
なかでも美容系ガールズYouTubeチャンネル「MelTV」は、 YouTubeチャンネル登録者数47万人を誇ります。
VAZはなぜ女性だけのYouTubeチャンネル「MelTV」を作り、どのようにしてMelを人気にしたのでしょうか。
株式会社VAZの森泰輝社長と、Melを手掛けるゼネラルマネージャー渡辺広輝氏に話を伺いました。
プロフィール
森泰輝
株式会社VAZ代表取締役社長。1990年生まれ。和歌山県出身。早稲田大学中退。同大学在学中の2013年10月、動画アプリ「vine」を活用したグルメサイト「@mikke」を起業。2015年7月、主にYouTuberを活用したインフルエンサーマーケティングを手がける、株式会社VAZを設立。
渡辺広輝
株式会社VAZ執行役員。1994年生まれ。鳥取県出身。早稲田大学卒業。同大学在学中に代表取締役社長の森と出会い、2016年10月にVAZ入社。美容系YouTubeチャンネル「MelTV」をプロデュースするほか、次世代のインフルエンサーの発掘と育成を行う。
Melのモデルは女性誌
(株式会社VAZ 森泰輝氏)
ferret:
まずはMelを立ち上げたきっかけを教えてください。
森氏:
モデルにしたのは、10代女性向けの雑誌です。雑誌には、様々なハウツーやファッション、文化などが紹介されていますが、その軸には「専属モデル」の存在があります。
MelTVを立ち上げた時、メンバーを雑誌の専属モデルのようなカタチでアサインしながら「Melメンバー同士の掛け合いを軸に様々なカルチャーを紹介していしていこう」と渡辺と話していました。
(最適化の1つとして)MelTVでは、出演者は2人以上と決めています。美容系YouTuberを見ていただくとわかりやすいですが、多くの美容チャンネルでは、出演者はひとりのことが多いです。しかしそれは、役に立つ動画かもしれないけれども、エンタメ的なおもしろさはありません。
視聴者は、おもしろくなければ自分の興味があるハウツー動画しかみないんです。
逆におもしろい動画であれば、普段なら自分に興味のない世界のものでも、「とりあえず毎日観よう」となります。
だからMelTVは、絶対に2人以上。そのふたりの「掛け合い」が存在することを大切にしています。口でいうのは簡単ですが「掛け合い」から、どうエンタメ要素を入れていくかが大切であり、これが結構難しいんです。
(株式会社VAZ 渡辺広輝氏)
渡辺氏:
2人以上で出演してもらうというのが本当に大きいと感じています。単純なことですが、あまりやっている動画メディアは多くありません。
僕らのターゲットは中高生などの若年層です。「中高生が喜ぶものは何か?」を軸に考えた時、その1つのカギがエンタメ性だと思いました。だからこそ2人で出演してもらい、美容のハウツーだけじゃなくて、ふたりの掛け合いを楽しめるメディアにしようと思ったんです。
MelTVでは、このほかにも様々な仕掛けをしています。例えば、中心メンバーとサブ的なメンバーのペアを作ること。まずは中心メンバーをおぼえてもらい、「その中心のメンバーとこの子の掛け合いが好き」と、なるように仕掛けていくのです。
AKB48さんでも、小さいグループがいくつかあるじゃないですか。まずは小さいグループを好きになり、そこから派生してグループ全体を好きになっていく、という仕掛けは人気アイドルグループでもたくさん行われています。
ferret:
確かにそうですね。ひとりの子やグループがきっかけでそのアイドル自体が好きになることはよくあると思います。
渡辺氏:
もう一つ注力したのは、外部のキャスティングをうまく使うことです。
立ち上げの時、MelTVはチャンネル登録10万人以上の人や著名なゲストの方しかキャスティングしないと決めていました。今まで出て頂いたゲストの方には、板野友美さんなどの芸能人の方やポップティーンの専属モデルの方など、ターゲット層の中高生がよく知っている方がほとんどです。また、Melに所属している女の子たちも、人気 YouTuberでもあります。
そうすることで、「Mel」というブランドの認知があがっていきました。
森氏:
掛け合いの話に戻るけど、出演させるふたり組を認知してもらうために「あいさつ」作ったよね。
YouTuberって、冒頭で名前を言って「シャキーン」とかやるじゃないですか。MelTVでは、Melメンバーのねおちゃんときぬちゃんがいたら「ねおきぬです!」とやるんですよ。
渡辺氏:
それは大きいですね。細かいところですが、ふたりででるときは全ペア分のあいさつを決めて撮影していました。
森氏:
初期メンバーでいえば10通りくらいかな。
そうすると、 YouTubeのコメント欄に「ねおきぬ」がどうこうとか、自然とあいさつに紐づいたコメントをしてもらえるんですよね。
渡辺氏:
浸透は早かったですね。ペアであいさつを作って毎回それを使うことで、認知されやすくなっていたのはあると思います。
なぜMelTVは美容メディアなのか?
ferret:
そもそもMelTVは、なぜターゲットが「JK」の美容メディアにしたのでしょうか。
森氏:
単純な話ですが、 YouTubeをみている層のボリュームゾーンが女子中高生だからです。たくさん見られる層に向けて作るとなると、おのずと女子中高生向けのメディアになっていきます。
渡辺氏:
それに加えてVAZに所属する YouTuberに女子高生ファンが多かったこともありますね。
ferret:
なるほど。それで言えば、 YouTubeの視聴者層には男子高生もいますし、男子高生のファンを多く持つインフルエンサーもいますよね。
その中で「女子」に注目していることに理由はあるのでしょうか?
渡辺氏:
それについては、「再現性」に違いがあります。
ターゲットが女性と男性の場合、女性の方が再現性が高い点も見逃せません。
例えば、 YouTuberのヒカルさんがやっている〇〇やってみたと言う企画って、ヒカルさんじゃないとできないものが多いんですよね。でも美容系 YouTuberのきぬちゃんが韓国の化粧品を紹介する企画なら、きぬちゃんじゃなくてもできることです。
そういった意味で、美容系を含む女性系コンテンツの方が再現性があるんです。
森氏:
じつは渡辺は、伸びる企画のフォーマット化をたくさんしているんですよ。「だれだれのポーチの中身を紹介します」の企画もそのひとつですね。新しい出演者が入る度に毎回やって、毎回伸びる。
YouTubeの人気動画でトップ7に入っているのは、大体毎日メイク動画です。伸びる企画は大抵決まっています。そういう意味で再現性があるので伸びる企画が作りやすいというのは大きいですね
以前ファッション紹介を同じフォーマットで、週1回ペース、13回ぐらいやったことあったよね(笑)
渡辺氏:
ありましたね!
森氏:
さすがに8回目くらいから下がってきましたけど(笑)。
その時は対策として、7回目くらいからプロのカメラマンをいれて、キレイな映像をつかうようにしました。
ちょっとアレンジして、出演者が自分でメイクをして、ペアの人がそのメイクについて人が解説したり、自分のポーチを使って相手にメイクをする「ポーチ交換メイク」などもやったりしました。結局毎日メイクとポーチの中身紹介の組合わせた企画なのですが、それも毎回好評です。
再生数が伸びる動画を毎日投稿するのは大変なこと。だからこそ、フォーマットをたくさん開発して対応するようにしています。
どこをKPIとするか? こだわり過ぎると本質を見失う
ferret:
「公開した動画の評価が良かったか」というのはどこで判断しているのでしょうか。
渡辺氏:
再生回数がほとんどです。ただ再生数が伸びていないくても、もう一度やればバズるだろうという動画もあります。
例えば学生のテスト期間中などは、 YouTuberの多くは再生数が低い傾向にあります。再生数が平均より低い時期に、エンゲージメントが高い時は、もう一度やればバズる傾向にあります。10万再生で普段はコメント欄が100つくとして、その時の動画は10万再生に対して5倍ついているような場合です。
そういう数字はチェックしますが、基本的には再生回数を見ています。
ferret:
平均再生回数は、どれくらいですか?
渡辺氏:
月間の平均再生回数は、1000万ほどです。
MelTVが爆発的にのびたのは、最初の動画を公開して2日後くらいですね。いきなり再生が伸びて、チャンネル登録数は2日で数万人登録。そのまま伸び続け、2週間で5万登録をいただきました。
MelTVは、立ち上げ当初からそこそこ有名な子はいる状態。ですがそれだけではあまりうまくいかないとは思っていましたし、今でも思っています。
有名なインフルエンサーを出してメディアを伸ばす方法で失敗しているところってたくさんありますよね。それにはいろんな理由があるとは思いますが、MelTVは初期の段階から「おもしろくてタメになる」というロジックを大事にしていたところは大きいと思います。
森氏:
基本的には再生数が指標ではありますが、再生数をKPIにし過ぎると、再生数が跳ねるコンテンツに寄りがちです。結果として「美容を紹介する」「役に立つコンテンツを紹介する」から遠ざかってしまうんですよね。
遠ざかりそうになったら、あえて再生数があまり出ないとわかっていても、ちゃんと美容を紹介する動画を週に何本か入れるようにしています。MelTVをみれば、キャッチフレーズである「カワイイをアップデートする」コンテンツが見られると認識してもらうことが大切ですから。
とにかくブレない。そういうところを意識しています。
渡辺氏:
今は選択肢が多い時代ので、「中学生になったら○○の雑誌をみんな買う」と小学生に教えて、みんなが同じ雑誌を買うような構造ではないと思っていて。
次の世代にちゃんと新たな価値を提供していかないと。ずっと続いていかないと感じています。挑戦を繰り返して獲得していかないといけないですね。
第2フェーズへと歩みを進めるVAZ
ferret:
VAZさんは、インフルエンサーを活用したビジネスを得意とされています。しかし世の中には、「インフルエンサービジネスは続かない」との声もありますよね。
今後、インフルエンサービジネスはどうなると思いますか。
森氏:
インフルエンサービジネスは、ある意味トレンドではあると思っています。そして、動画媒体も数多くでていて今後、どう変化していくかは正直わかりません。
ただ、ひとつ言えることはあります。それは、「ネットで有名人が生まれる」ということです。
以前は「大手芸能プロダクションに所属して映画や朝ドラに出る」など、何かしらのフックがないと有名になるチャンス得られませんでした。
しかし今は、インターネットから一夜にして有名になれる。そしてこの市場規模自体は、100%伸びていくはずです。
YouTubeだから、TikTokだから、ということではありません。要はタレントの新しいかたちなんです。そういう大きなテーマでいうと伸び続ける分野といえます。
普遍的な要素を価値として提供できる会社が、長期的に考えてインフルエンサービジネスにおいて勝てる会社になると思っています。
ferret:
最後に今後のMelについて教えてください。
渡辺氏:
女性メディアをYouTubeで展開しているといく点では、第1フェーズは成功したかなと思っています。ある程度アドセンス収益もあって、タイアップというかたちでクライアントさんからお仕事いただくこともできる、というかたちでの成功です。
次のフェーズとしては、メディア力を活かしたお仕事をできるかに焦点を合わせています。 YouTubeを使ったビジネスをどう展開ができるか挑戦しているメディアはまだありません。なので開拓していくつもりです。
そうすればパイオニアになれます。Melの挑戦ですね。
森氏:
挑戦においても、Melの今の影響力を保っていきながら、新規ユーザーに入れ替えていき、どんどん歴史を紡いでいくメディアにしていかないといけないと思っています。安定的なメディアにしていく。Melはそういうフェーズです。
Mel以外にも、また新しく伸びるメディアを作るということもしていきたいです。
ferret:
新しいメディアについてはもう構想が?
森氏:
最近でいうとキャラクターをつくりたいですね。
例えばサンリオさんは、新しいキャラクターをつくってプロモートして認知、グッズで著作権として稼いでいます。ライセンスで稼いでいるというビジネスモデルです。
それを YouTube上で、やってしまうんです。着ぐるみのキャラクターチャンネルを作って、そのキャラクターを有名にしたらキャラクター自体が、サンリオのキャラクターみたいに機能するという話を、渡辺としていまして……。
既存の概念は新しいメディアにおいても、そのフォーマットに合わせながら、同じ概念でできるかなと思っています。
MelTVとは全然違うかもしれないけど、彼からするとそれはMelTVの延長。第2フェーズの展開としては、こんなふうに考えています。
ferret:
とてもおもしろそうです! ぜひ実現させて欲しいですね。
森氏:
手前味噌なんですが、渡辺は天才なので(笑)
タレントとしての価値、そして「人に基づいたメディア」を作るVAZ
いわゆるインフルエンサーと呼ばれているMelの「タレント」たち。そこには、タレントの個性を伸ばしていく、派手ではないですが「効果のある工夫」が徹底されていました。
印象的だったのは、渡辺氏がインフルエンサービジネスなどについて語り出すと、森氏が例え話などを使い、さらにわかりやすく説明するところ。この仕事をする以前からの知り合いという、おふたりのコンビネーションを垣間見ることができました。
普段からタレントである中高生にも、わかりやすく説明するように心がけ、緊張をほどいているのでしょう。
深い洞察力と先見性、人を安心させる雰囲気づくり、そしておふたりのコンビネーションの良さが、VAZの強味と言えるのはないでしょうか。
今後のVAZの展開が楽しみでなりません。
- アプリ
- アプリとは、アプリケーション・ソフトの略で、もとはパソコンの(エクセル・ワード等)作業に必要なソフトウェア全般を指す言葉でした。 スマートフォンの普及により、スマートフォン上に表示されているアイコン(メール・ゲーム・カレンダー等)のことをアプリと呼ぶことが主流になりました。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
- エンゲージメント
- エンゲージメントとは、企業や商品、ブランドなどに対してユーザーが「愛着を持っている」状態を指します。わかりやすく言えば、企業とユーザーの「つながりの強さ」を表す用語です。 以前は、人事や組織開発の分野で用いられることが多くありましたが、現在ではソーシャルメディアなどにおける「交流度を図る指標」として改めて注目されています。
- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
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