あえてトラフィックを追わないという決意

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久志氏:
実は僕たち、2015年頃からトラフィックのKPIを追うこともやめました。

ferret:
それは驚きです。一般的にトラフィックの数字はコンテンツの良し悪しを判断するのに欠かせないものですよね。なぜその数字を追わないことにしたのでしょう?

久志氏:
トラフィックの高い記事が、必ずしも人の記憶に残る良い記事ではないと気付いたからです。

いくらたくさんの人に届いても、本質的にいいものでないとすぐに忘れ去られてしまう。だったら、トラフィックのKPIに惑わされず、価値あるクリエイティブを生み出せる会社になろうと思いました。

ferret:
たしかに。バズっているのにも関わらず、印象に残らないコンテンツも山ほどありますもんね。逆に全く広がりはないけれども、何度も手にしたくなるようなコンテンツもありますし……。

久志氏:
そういうことです。僕たちは本質的にいいコンテンツを作るために、写真や動画、イベントなどチーム体制を整えていきました。その結果、コンテンツも自分たちが本当にやりたいものだけを選ぶようになりましたし、自分達の思いに反して意図的にバズを狙ったものも作らなくなりました。

ferret:
愚直にいいコンテンツを作り続ける。それが、TABI LABOの真髄なんですね。

アルゴリズムに惑わされず、世の中へバリューを提供し続ける

ferret:
「いいコンテンツを作る」のはもちろん大事なことですが、とはいえビジネスとして、成果に結びつけなければいけないというのは事実です。

トラフィックを追わないコンテンツ作りは、ビジネスの面から見て、TABI LABOにマイナスな影響は与えなかったのでしょうか。

久志氏:
それこそトラフィックが下がったことくらいですかね。でもトラフィックは下がったのですが、結果的に売り上げは上がったんですよ。なので、どんな手段を使ってでもトラフィックを集めようとするのは、やらなくてもいい努力だと実感しました。

ferret:
いま追っている数字はないのでしょうか?

久志氏:
もちろんトラフィックは見てますけど、トラフィックってGoogleやFacebookのアルゴリズムの変動で、いくらでも上がったり下がったりしますよね。

だから、そこの数字の上下に一喜一憂するのは、あまり意味がないような気もするんです。

ぶれないアプローチで世の中へのバリューを提供し続けることができれば、それで十分だと思いますね。

みんな幸せになる業界構造を目指して

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ferret:
久志氏さんのお話を聞いていて、TABI LABOは利益よりも思い先行なメディアである印象を受けました。

サービスを始めた当初から事業が成長することは予想していましたか?

久志氏:
思い通りにいっている部分とそうでない部分がありますが、僕たちのなかには、世の中の課題を解決したり、世の中を一歩前に進めたいという思いがあります。しかし、そのためには圧倒的な力がなければいけない。その力にはいくつかの要素がありますが、事業が成長していく、お金があるということも、大切な要素のひとつです。

「こういう世界を創りたい」だけだと、世の中は成立していきません。思いと同じくらい、世の中に対してインパクトあるスキルや自分たちの実力をどうしていくか。本当に、この2軸です。

ferret:
単に利益を出すことが最終目的ではなくて、利益を出したうえで新たな価値を世間に提供していくことが目的ということですね。 

久志氏:
そうですね。ずっと続いてますが、喜ばれない広告を、「とりあえず出しておけば大丈夫」ってする人たちも沢山いますよね。そして、ユーザーには「すみません」って鬱陶しい広告を表示して。

だったら僕らはクライアントと全部話して、ユーザーが本当に求めている広告コンテンツをつくったほうがいいよねって思っているんです。