近年、頻繁に耳にするようになった「人工知能(AI)」という言葉。この人工知能という技術は遠い未来の話ではなく、すでに実際のサービスにも活用され始めており、マーケティングの領域にも大きく関係してくるものだということはご存知でしょうか。

東京を拠点に活動しているCOLORFUL BOARDは、人工知能を用いてスタイリストとしてアイテムを選んでくれる「SENSY(センシー)」というファッションアプリを開発しており、多数のメディアからも注目されるスタートアップです。

2014年11月に「SENSY」をリリースしたCOLORFUL BOARDは、新たに約1.4億円の資金調達を実施。さらに人工知能技術の開発に注力し、アパレル業界の課題を解決しようとしています。

人工知能はユーザーにどのような体験もたらすのか、アパレル業界には現在どのような波が押し寄せているのか。COLORFUL BOARD代表の渡辺祐樹氏に話を伺いました。

人工知能が専属スタイリストに

ferret 飯高:まずはじめに「SENSY」とはどんなアプリについて教えていただければと思います。

渡辺氏:「SENSY」は1,600以上のブランドと連携しており、ユーザーにアイテムを表示します。ユーザーは表示されたアイテムに対して、「好き」か「嫌い」かを選んでいきます。そうすることで人工知能(AI)がユーザーのセンスを学習し、集めてくるアイテムをよりユーザーの好みに合ったアイテムを世界中から集めてくるようになります。

気に入ったアイテムをお気に入りに入れることができ、お気に入りにしたアイテムは提携先から購入できるようになっています。お気に入りのアイテムの発見と購入をサポートするアプリです。

人工知能が人のセンスを学習するので、モデルや雑誌のスタイリストなどの仕事をしている方のファッションセンスを学習させることもでき、ユーザーはセンスの良い人が好むアイテムは何なのかということも知ることができます。

「SENSY」アプリ

ferret 飯高:現時点でのダウンロード数はどれくらいなんでしょうか。

渡辺氏:ダウンロード数は約3万ですね。アプリ自体はベータ版のような段階で、夏には正式版をリリース予定です。今は、アクティブ率を向上させつつ、アプリを使って商品を購入するコンバージョン率を上げていけるように取り組んでいます。

ファッションにおいてユーザーが抱える課題

ferret 飯高:どういったきっかけから「SENSY」を立ち上げることに?

渡辺氏:現代は、インターネットで情報が溢れている時代です。たとえばファッションで言うと、「黒いジャケット」と楽天で検索すると、約90万件がヒットします。さらに、2005年くらいからネットで消費されるアイテム数と、提供されているアイテム数を比較すると、圧倒的に需要が上回っている状態。ユーザーと商品を提供する側の乖離がどんどん大きくなってきています。

そうした時代に、ECモールだけでは自分のお気に入りのアイテムと出会うことが難しい。人と情報が出会うためのプラットフォームは、インターネットの発達とともに変化してきました。最初はポータル、次に検索エンジン、SNSが広まり、キュレーションサービスが登場。私たちは次に必要になるのは、よりユーザー側に立ったパーソナルなプラットフォームだと考えました。

そのため、ソリューションとして人工知能に自分のことを理解してもらって、情報を集めたり、他の人工知能に問い合わせたりすることで求めている情報を得られるようにするために「SENSY」を開発しました。

SENSYアプリ画面

「SENSY」のビジネスモデル

ferret 飯高:「SENSY」ではどういったビジネスモデルを描いているんですか?

渡辺氏:大きくは3つを考えています。まずは、アパレルブランドなどコンテンツパートナーとユーザーの間をつないで、メディア的な役割を果たしていきます。その際、パートナーのECサイト等に誘導することで成果報酬か広告での売上を考えています。

また、「SENSY」の人工知能エンジン自体をパートナーのECサイトに提供したり、今年3月に「THE EMPORIUM 新宿ミロード店」で実証実験をしているように、店舗での接客用にシステムをお貸しするということを行っています。

最後が少しユニークなのですが、他の人の人工知能と接続するところに課金していく予定です。事務所などと提携してモデルやタレントの人工知能を作成し、ユーザーに有料で提供可能にして、売上をレベニューシェアしていくことを考えています。

大学と共同で人工知能を研究

ferret 飯高:人工知能にはいつごろから関わるようになったんですか?

渡辺氏:元々、慶應大で人工知能の研究をしていました。現在は、慶應大と千葉大の研究室と三者で人工知能の共同研究を行っています。

今はアパレル業界において「SENSY」というアプリを提供していますが、他の業種にも同じような課題が存在していることがわかっています。人々が感性で好き嫌いを決めていて、情報量が膨大になっているところであれば、人工知能を用いたソリューションは相性が良いので、アパレル業界以外でのソリューション提供も視野に入れて動いています。

消費者向けに人工知能を活用したサービスを開発しているところはまだ多くないので、色々なメディアに取り上げていただいています。アパレル業界において人工知能を活用したソリューションを提供しているところはないので、そういった側面でも注目していただいています。

アパレル業界の各プレイヤーの動き

ferret 飯高:アパレル業界で同じようにソリューションを提供しているプレイヤーはほとんどいないとのことですが、競合になり得るプレイヤーなどは存在しないんでしょうか?

渡辺氏:大手ECサイトやアパレルブランドなどは、基本的に協業していくモデルとなっているので、競合にはなっていません。また、アパレル業界は全体的に技術力がそこまで高くないため、自社で開発するには技術的なハードルが存在しています。

「SENSY」のようなソリューションはプラットフォーマーとしてやることで価値が高まります。仮に開発ができたとしても、一社だけで提供するプレイヤーよりは優位に立つことができると考えています。

ferret 飯高:「SENSY」が現在アプリで提供しているスタイリング提案以外で、ファッション業界で注目している部分は何かありますか?

渡辺氏:リアルな領域との融合はまだ解決できていない課題だと考えています。ECサイトと実店舗の両方でシームレスに商品を検索したり、リアルな店舗での接客をECサイト上で実現することなどは可能性があると考えています。

「SENSY」では、人工知能を活用してB向け4つのソリューションを提供しています。EC接客、店舗接客、マーチャンダイジングの最適化、マーケティングへの反映の4つです。これらを提供することで、アパレル業界におけるバリューチェーンを、人工知能をベースにしたものへとシフトさせていきたいなと。

アパレル業界のバリューチェーンをシフトさせる

ferret 飯高:アパレル業界のバリューチェーンを人工知能ベースのものへとシフトすると、どういったことが起こるのでしょうか?

渡辺氏:アパレル業界はとても在庫が多い業界です。これは他の業界と比較すると顕著に現れていて、かなり問題となっています。これには「モノづくり」と「売り方」の2つに問題があると考えています。

モノづくりでは、どの商品が売れるかわからないため、デザイナーが作りたいものを色々作り、商品が多品種になってしまい、ユーザーと出会いにくくなってしまっている状態になっています。出会いにくくなっているため、売れないまま在庫になってしまっている。

先ほどお話したように人工知能を活用してユーザーをもっと理解し、マーケットにフィードバックしていくようにバリューチェーンをシフトさせることができれば、ユーザーがほしいと思うものを作って販売していくことができます。そうすれば、在庫の数も減らすことができるため、資源の無駄もなくなると考えています。

「SENSY」の今後の展開

ferret 飯高:「SENSY」は今後どのようになっていくのでしょうか?

渡辺氏:いまは人工知能の技術が差別化要因になっていますが、将来的にはそれだけでは厳しくなってくるので、ユーザーを理解して情報を引っ張ってくることについて強化していきたいと考えています。

そのためには、ファッション以外の領域でもソリューションを提供してデータやノウハウを蓄積したり、味覚のようないままでにはないデータをデータ化するところなどにもアプローチしていきたいですね。

ferret 飯高:個人に最適化させた提案がより重要になるヘルスケアやスポーツなどとも相性が良さそうですね。

渡辺氏:そうですね。ヘルスケア、スポーツ、メディカルといった分野は特化したウェアラブルデバイスも登場してきているので、データ化も進んでいくと思いますし、十分可能性がありますね。

人工知能とマーケティング

ferret 飯高:色々と人工知能が持つ可能性についてお話を伺ってきました。最後に、人工知能はマーケティングにどのような影響を与えると考えているかを聞かせていただきたいと思います。

渡辺氏:これまでのマーケティングは、クッキーデータを元にリターゲティングを実施することなどが中心でした。人工知能が発達すればよりユーザーパーソナルに情報を届けることが可能になります。そうなると、広告ユーザーが求めている情報を提供することにより近づけるはずです。

私たちも新しいデジタル広告の配信プラットフォームを作ろうとしています。マーケティング領域においても、人工知能が入ることで変革が起こる余地は十分にあると考えています。

ferret 飯高:ありがとうございました!

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