エッジコンピューティングの活用事例

自動運転技術

国内でも自動運転への期待が高まるなか、来る5Gによっていよいよコネクテッドカーが実現すると予想されています。コネクテッドカーを実現させるために重要だった「自動運転」の問題も、エッジコンピューティングの普及によって解決すると見込まれているのです。

エッジコンピューティングによって高い処理機能をもったデバイスが誕生し、それを車に搭載すれば、先ほど紹介した「リアルタイム性」が叶います。車の運転では、即座にブレーキを踏んだりハンドルを切ったり、リアルタイムの反応が求められるため、遅延が生じる可能性はゼロにしておかなければなりません。

その点、5Gとエッジコンピューティングの技術を合わせることで、リアルタイムの通信と高機能なデバイス側で処理を行うことが可能になります。私たちが当たり前のようにコネクテッドカーに乗る時代もすぐそこまで来ているのかもしれません。

参考:盛り上がるエッジコンピューティング、トヨタが開発に着手

顔認証システム

エッジコンピューティングのソリューションを手がける日本電気株式会社(NEC)では、通り過ぎるだけでセキュリティをパスできる、ウォークスルータイプの顔認証システムを開発しています。

ウォークスルーの顔認証を実現するためには、高い顔認証の精度と素早い処理速度が必要不可欠。さらに、実際に顔認証のデバイスで行われている処理は「素早く正確に顔認証を行う」だけではありません。

カメラ前に来たタイミングで顔認証の処理開始だと、ウォークスルーのスピードで認証できないため、カメラから離れた位置にいる社員の顔の特微量を事前に生成しておき、顔認証のデバイスに顔つきの社員証をかざした瞬間に、社員証の顔と紐づく社員データベースの顔を検索。データベースに登録された情報と、あらかじめ生成していた顔の特微量を照合することで、本人であることを認識します。

NECの顔認証システムは、複雑な処理を可能にするエッジコンピューティングの機能が活かされた事例と言えるでしょう。

参考:エッジコンピューティングのソリューション事例

ますます注目の高まるエッジコンピューティング市場

エッジコンピューティングが注目されている理由は、データの数や種類の増加に、現代のデータ処理機能が追いついていないことです。また、5Gの実現に併せて高機能なデバイスを作ることで、メリットが生まれるようになったことも注目される理由と考えられます。

アメリカの有力調査・コンサルティング企業のMarketsandMarkets (マーケッツアンドマーケッツ)社が2019年に発表したデータによると、エッジコンピューティングの市場は2019年時点で28億ドル、5年後2024年には90億ドルにまで成長すると見込まれています。

マーケットの拡大によって各社が参入に意欲的であることを踏まえると、エッジコンピューティングは今後日本でもさらに注視していきたいキーワードであると言えるでしょう。

参考:エッジコンピューティング市場、2024年に90億ドル