今や企業がSNSを活用してマーケティングを行うことは特別なことではありません。

「フォロー&RTで応募完了」というキャンペーンは、多くの企業がフォロワーやエンゲージメントを獲得するために行なっています。

しかしこのようなSNSを活用したマーケティングは、効果測定やそもそもの設計の難しさから、どれだけ事業へインパクトを与えているのかを明確にすることが難しくなっています。

そこで今回は、2019年のクリスマスに合わせて実施された15社合同 #企業公式サンタチャレンジ キャンペーンに参加した株式会社すかいらーくホールディングスの吉田氏と、キャンペーンの支援を行なったテテマーチ株式会社の有賀氏に、キャンペーンの効果について伺いました。

主要KPIはインプレッション

ferret:
すかいらーくさんが、ガストのTwitterアカウントを運用し始めたきっかは何だったのでしょう?

吉田氏:
新聞折込チラシやTVなどを中心に活用していましたが、可処分時間はどんどんスマートフォンへと流れてしまっているので、広告以外にお客様に情報を届ける手段は無いかと考えて、2017年ごろから、Twitterの運用を本格的に始めました。

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株式会社すかいらーくホールディングス
マーケティング本部 統合コミュニケーショングループ ソーシャルメディア&コンテンツチーム リーダー
吉田啓介氏

ferret:
なぜそこで選んだのがSNSだったのですか?

吉田氏:
ガストは目的的な来店よりも、ささいなきっかけで訪れてくれるお店だと思っています。多くの方が行ったことがあり、メニューも知っているし、場所も知っている。その中でいかに来店してもらうかを考えると、ふとした時に「あ、ガストがあるじゃん」と想起してもらうことが重要だなと考え始めたんです。

その「想起」に相性が良いのがTwitterなのでは、と思ったんです。

ferret:
なぜそこで今回のキャンペーンに参加したのですか?

吉田氏:
*Twitter運用のKPIをインプレッションと定めており、*フォロー&RTキャンペーンは効率的にインプレッションを伸ばせるので、参加しました。これ以外のキャンペーンも以前から実施していたんです。

インプレッションが増加するとどうなるのか?

ferret:
KPIをインプレッションにしている理由はあるのですか?

吉田氏:
やはり多くの方の目に止まるほど、想起してもらいやすくなり、来店にも繋がりますね。

Twitterの投稿を目にした方がどれくらい来店しているのかを実数値として出すことはできないのですが、他のプラットフォームで計測できる来店率を参考にしていますね。

バナー広告を目にした人のうちどれくらいの方がガストに来店したのかをGPSを用いて計測できる仕組みがあります。そこから算出した来店率を基準として、Twitter上での1インプレッションあたりの来店率を定めて効果検証を行っています。

年に1回程度、外部の調査会社にお願いして、媒体ごとの広告効果を検証する取り組みをしているのですが、その調査結果も、我々が算出した来店率とほぼ同じだったので、おおよそ正しいと考えています。

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ferret:
1インプレッションがどれだけの来店をもたらすのかを来店率として算出して効果検証をしているのですね。

吉田氏:
そうですね。あとは、日常的な情報発信をする際に情報を届けられる方が増えるため、インプレッションの源泉となるフォロワーさんの数も見ていますね。

有賀氏:
少しずれますが、SNS上のUGCが購買のきっかけになることって当たり前になってきているんです。

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株式会社テテマーチ プロダクト推進室
有賀歩美氏

有賀氏:
2019年のInstagram Day Tokyoというイベントでは、Instagramの投稿を見てすぐに行動を起こした日本の利用者は83%であったとFacebook社が公式に発表しています。

それだけ、SNSの投稿は消費者の行動を引き起こすきっかけになっていますね。

キャンペーンの効果

ferret:
今回のこのキャンペーンはどれくらいの効果があったのですか?

有賀氏:
5日間でのユニークの参加者は17万人以上となっており、多くの方に参加してもらえました。

今回は、15社が同時に「RTしたら当たりはずれの返信がその場で届くキャンペーン」を実施しているという施策でしたが、複数社で送客しあい相乗効果が出せるように工夫をしました。具体的には、A社からの返信をタップすると、そのままB社に遷移できるという仕組みです。

これがユーザーにとって操作性もよく簡単にリレーできたということもあり、高い効果につながったと思っています。

また、フォロワーも平均で1社あたり9,000人程度を獲得できていたため、そちらも非常に良い結果となりました。

ferret:
なぜ今回のキャンペーンは複数社でのリレー形式としたのですか?

有賀氏:
正直、*1アカウントのみでのキャンペーンの効果が伸びにくくなっているので、複数社でタイアップして相乗効果を生み出せれば、*という思いでした。

ferret:
複数社でタイアップのキャンペーンを行うことによる弊害などはなかったのでしょうか?

有賀氏:
きちんと次の企業のアカウントへ遷移してくれるのか、アカウントのフォロワー数によって効果がばらつくのでは、といった懸念はありましたが、結果としては「フォロワー数が少ないほど、キャンペーン期間中のフォロワー増加数が多い」や、「フォロワー数が多いアカウントからリレーがつながるタイミングで効果が高い」のような傾向は今回のキャンペーンにおいては特に見られませんでした。

もちろん、日によってリレーでつなげる順番を変えて毎日新しい効果を生み出せるようにする、といった細やかなチューニングが必須ではありますね。

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ferret:
すかいらーくさんは実際に参加してみていかがでしたか?

吉田氏:
今回の参加企業の中には、ガストのフォロワーさんとは全く異なる層のフォロワーさんがいる企業も参加していたため、*1社では実現できないくらいの新規の方へ情報を届けられましたね。*結果として想起や来店にもつながったと考えています。

座組と連携がこれからのポイントに

ferret:
SNS上の投稿が消費者の行動につながるとのことですが、今後の取り組みについて考えていることはありますか?

有賀氏:
やっぱり*単純な座組だとユーザーも慣れてきているので、参加しようと思ってもらえないんです。*ですので、今回のリレーのような形式だったり、おみくじだったりと、まず面白そうだと感じてもらえる座組を今後も考えていきたいですね。

吉田氏:
Twitterってもうアカウント数がたくさんあるので、私は宇宙のようなものだなと思っているんです。その中で自社のアカウントの存在を知ってもらうために、今回のような新たな取り組みを今後もつづけていきたいですね。

特に企業同士が連携することは、規模だけでなく意外性の意味でも効果があるのではと考えています。

ferret:
よりユーザーの記憶に残るキャンペーンを実施していきたいということですね。

本日はありがとうございました!

プロフィール

吉田 啓介氏
株式会社すかいらーくホールディングス IT・マーケティング本部統合 コミュニケーショングループ ソーシャルメディアコンテンツチーム リーダー
出版社などを経て2005年に株式会社すかいらーくに入社。バーミヤン・ガストの店舗マネジャーを務めたのち、インストアメディア事業、ブランドプロモーションに従事。2017年11月より現職。すかいらーくアプリTwitter公式アカウントの企画運用を中心に、オウンドメディア「タベル」やキャラクターコラボなどのコンテンツを活用した業務を担っている。

有賀 歩美氏
テテマーチ株式会社 プロダクト推進室
前職では、デジタルマーケティングにおけるアドテク領域にて、企業の広告運用・コンサルティングに従事。 2018年2月に企業のソーシャルメディア活用支援事業を行うテテマーチ株式会社にジョインし、 SNSマーケティング事業部にて、マネージャーとしてディレクターチームの立ち上げフェーズに携わる。 自身もプレイヤーとして大手企業のSNS運用に従事したのち、プロダクト推進室に異動。自社開発ツール2件のPMを兼任。