ダークウェブはなぜ生まれたか?

ダークウェブに使われている「オニオン・ルーティング (onion routing)」という技術は、米海軍研究所によって開発されたものです。オニオン・ルーティングは、暗号化通信の通信経路を匿名化することができます。「オニオン(たまねぎ)」に例えられたのは、たまねぎのようにたくさんの層を使いユーザーを隠すということからです。

オニオン・ルーティングは、「Tor(トーア)」という名前で知られるようになりました。Torとは、The Onion Routerの頭文字をとった略称です。Torを使用すれば、自分の情報を明らかにせずに通信が可能になるため、インターネットの閲覧規制がある国でも利用されるようになりました。この匿名化機能は、自分の情報を出したくない闇の取引において、非常に利用価値の高いものだったのです。Torの知名度が上がるとともにダークウェブは広がった歴史があります。

ダークウェブに使われることでマイナスな印象があるTorですが、一方で匿名化できる通信ツールとして重宝されており、政府やスポンサーからの支援による機能の改善が現在も続けられているのです。

参考:「ダークウェブ」とは一体なにか|ASCII.jp

ダークウェブの今後

ダークウェブを使う一番の理由は、匿名であることです。日本ではあまり馴染みがない状況ですが、中東地域、アフリカ地域、BRICsの国々のユーザーは、「政府のネット検閲回避」や「アクセス制限がある自国のコンテンツの閲覧」などを理由に、北米ユーザーは「インターネット企業や海外政府からプライバシーを保護する」という理由でダークウェブにアクセスすることが多いようです。

このように、個人を特定できないようにしたいという考えが強まると、ダークウェブの利用がますます多くなる可能性も考えられます。また、今後に注目されている量子コンピューティングに関連する新たなテクノロジーにより、ダークウェブ自体も急速な動きがあるかもしれません。スピードの早いIT分野のため、現状では予測できない進化が起こり得るでしょう。

近年、ダークウェブ調査を行う会社では、サイバーテロを危惧した企業からの相談が増えており、企業のリスクヘッジの動きが強まっているようです。セキュリティは企業存続のためにも欠かせないテーマの一つだと言えるでしょう。

参考:ダークウェブに関する現状(2020年1月)|JETRO
「ダークウェブ」への危機感、企業で広がり|ITmedia ビジネスオンライン

基本の知識を持ちリスクを想定しておくことが大事

ダークウェブは、検索をしても迷い込むことがないため、一見関わることはないと思っていた人も多いでしょう。しかし、企業や個人の情報がリスクにさらされる可能性も考えておかなければいけません。ダークウェブについての知識を持ち、セキュリティに関しては細心のリスクヘッジを講じていきましょう。

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