スマートフォンのAIアシスタントの利用など、音声検索の利用が日常的になる中、検索エンジン対策においても取り組みが変化しつつあります。Webマーケターは、音声検索の検索エンジン最適化であるVSO対策(Voice Search Optimization)に早いうちに着手すべきです。しかし、VSO対策といっても何から始めるべきかわからずに困っている方もたくさんいることでしょう。そこで今回は、VSO対策で重要だと言われている「FAQ」の作成にスポットをあてます。

VSO対策で重要なもののひとつがFAQページの充実と言われている

音声検索は、テキスト検索と異なり「話し言葉」が用いられます。そのため、VSO対策はユーザーが実際に検索に使う「話し言葉」をコンテンツテキストづくりに考慮する必要があると言われているのです。音声検索を想定してみましょう。「~とは何?」といった言い方や、「~は、どこ?」、「~は、いつ?」といった言い方も多そうです。このような「5W1H」を含んだ尋ね方は実生活でよく使うでしょう。FAQのページを作成し、このようなユーザーの質問に対する回答を掲載すると、音声検索の際に優位になるのではないかと考えられています。

また、Backlinko社によるボイスサーチの調査結果においても、音声検索結果となったコンテンツは「シンプルで読みやすい」ということや「簡潔な回答である」という傾向があります。これらの傾向はFAQに適していると言えるでしょう。

参考:“音声検索最適化”「VSO」これからこの対策が必要不可欠に!?|PINTO!

そもそもFAQとは

FAQとは、Frequently Asked Questionsの頭文字で構成された略称です。日本語では「よくある質問」を意味し、ホームページに掲載されているのを見かけることが多いでしょう。頻繁にユーザーから聞かれることを、過去にあった質問の中からピックアップして掲載するものです。そのため、多くのユーザーが実際に知りたいと思っていることに答えられるので、ホームページの中でも重宝されるページという位置付けです。多くの人が閲覧するため、FAQには、内容の濃さが求められます。具体的でなければ意味がなく、FAQを読めばそれ以上疑問に思うことはないという状態がゴールと言えるでしょう。

例えば、携帯電話や電化製品などコールセンターが大活躍している分野に関しては、FAQが充実しているケースが多いのです。それだけ、多くのユーザーが同じ質問をすることが多く、FAQが必要とされていると言えます。

Q&Aとの違い

FAQと混同しやすいのがQ&Aです。違いがよくわからないという人は、意外と多いのではないでしょうか。Q&Aは、Questions and Answersの略称です。日本語で表すと「質問と回答」という意味になります。つまり、質問と回答がセットになった一問一答形式のものが多いのです。内容はユーザーから質問されそうなことを想定して作成していることから、実際に質問されることは少ないものも含まれているでしょう。

Q&AとFAQの違いを整理します。様々な想定や経験から導き出した多くの質問と回答集がQ&Aであることに対し、FAQは、Q&Aの中から実際によく尋ねられることだけをピックアップして掲載したものになるのです。ただし、企業によっては、FAQとQ&Aが同一のように解釈されているのではないかと感じるケースも存在します。FAQはQ&Aの一種であることは確かですが、FAQであることを意識したページづくりを意識しましょう。

参考:FAQの作り方は「お客様視点」がポイント!疑問に先回りして答えよう|株式会社WOWOWコミュニケーションズ 公式ブログ

FAQを設置するメリット

WebサイトにFAQを設置するとどのようなメリットがあるのか解説しました。VSO対策はもちろん、コンテンツとしてFAQが必要であることがよくわかります。

SEO対策およびVSO対策になる

ユーザーが検索に使うキーワードをFAQに盛り込むことで、テキスト検索に対してSEO効果を発揮できることがあります。キーワードの使い方などテキストの内容に工夫が必要ですが、よく検索されるキーワードで上位表示ができれば、企業にとってもユーザーにとってもメリットがあります。また。多くのユーザーの手助けになるFAQになれば、ユーザーからナチュラルリンクを得られることもあるでしょう。自然発生の被リンクであるナチュラルリンクは、SEO効果をもたらすものの、望むだけでは得られない貴重な存在です。

そして、前述したようにFAQに掲載したテキストは実際にユーザーが音声検索で用いる「話し言葉」に近いため、VSO対策として有効に働くと考えられます。実際に話しかけるフレーズを考慮したテキストが生きてくるのです。

ユーザーの満足度が高まる

ユーザーが企業に問い合わせをすると回答を得るまでに多くの時間がかかってしまう場合があります。電話による問い合わせはコミュニケーターにつながるまでに時間がかかったり、メールによる質問は翌日になったりとスムーズに回答を得られない場合、ユーザーはその企業に対して不満を感じてしまうでしょう。FAQはユーザーから頻繁に寄せられる質問なので、ホームページに掲載すれば、問い合わせをせずに済む人が多くなるはずです。不明点・疑問点の解決にストレスがかからないことで、ユーザーの満足度が高まると考えられます。

ユーザー対応にかかる人件費を削減できる

利用者数の多い製品やサービスほど、ユーザーからの問い合わせが多いため、対応には多大な人件費が必要になります。FAQを設置することで、ユーザーからの電話やメールの問い合わせが減少すれば、カスタマーサービスに必要なコストは減少するでしょう。特に、解決が簡単でありながら多くのユーザーから寄せられる質問ほどFAQページがあれば、ユーザーの自己解決率が高く効果的だと考えられます。カスタマーサービスに余裕が生まれれば、ミスを軽減することにもつながるなど、他にも多くのメリットが得られるでしょう。

ナレッジ共有や改善につながる

FAQは実際にユーザーから尋ねられることをピックアップします。そのため、FAQに掲載する内容を整理すると、ユーザーにとって何がわかりにくいのか、どんなサポートが必要なのかを気づかせてくれるでしょう。この情報を社員間でナレッジとして共有できれば、カスタマーサポートの面だけではなく、営業、企画などあらゆるポジションにとってメリットが生まれます。FAQの設置をきっかけに社内全体がユーザーの気持ちを理解し、社外の人の視点で自社を見つめた改善ができるのです。

参考:企業サイトでFAQを作成する3つのメリットと注意点【ユーザビリティUP】|Tayori Blog

VSO対策はメリットの多いFAQから取り組もう

FAQを活用したVSO対策は、話し言葉を意識した内容にするので、準備には高度な技術を必要としません。誰にでもすぐに取り組みやすいと言えるでしょう。

さらに、FAQはVSO対策だけではなく、ユーザビリティの向上やカスタマーサービスの対応コスト削減などメリットの多いコンテンツです。しかし、メリットを得るにはFAQの品質が大切なのは言うまでもありません。このことは、FAQのみならず、すべてのコンテンツに共通です。FAQを読んだユーザーが、他の情報を探す必要がない的確なコンテンツを作成してください。

音声検索は、これからさらに増えるでしょう。様々なメリットを持つFAQの設置からスタートしてみてください

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