近年、スマートフォンは若者だけではなくシニア層の利用者も増えるなど、多くの人の日常生活になくてはならないものです。以前は利用者が少なかったシニア層でも、シニアのスマートフォンの利用者が2012年の12.7%から継続的に増加し、2018年には61.5%となっていることがMDM研究所の調査で明らかになっています。

参考:MDM研究所シニア調査

スマートフォンの普及が進むとともに、私たちにとって身近な存在になっているのが音声検索です。Webマーケティング担当者の中には、音声検索の普及によってユーザーの検索環境が変化し、どのようにSEO対策を行うべきか悩んでいる人も多いでしょう。そこで今回は、音声検索のSEO(VSO)をテーマに、最近の音声検索の傾向や今後行うべきSEO対策について解説します。今後さらに増加する音声検索への対策としてお役立てください。

2020年には50%の検索が音声検索になると言われている

インターネット調査会社comScoreの調査では、2020年には音声検索が全体の50%になると予測しています。

参考:campaign:Just say it: The future of search is voice and personal digital assistants

GoogleGoogle Homeをはじめ、AppleのSiri、AmazonのAlexa、MicrosoftのCortanaによる音声対応は、世の中に自然と音声指示や音声検索を普及している言えるでしょう。検索においては、スマートフォンといったモバイルデバイスの所持により、テキスト入力よりも音声検索の方が便利なケースもあるはずです。日々発達する人工知能の活用は、音声検索をスマートに行えるように進化を続けており、ユーザーの意図を理解した検索が可能になっています。

音声検索はどうやってするのか?

音声検索への対策を行うためにも、ユーザーの立場を理解するべきです。ユーザーが音声検索を行う方法について説明します。また、どのようなシーンで音声検索が行われるかも説明しますので、ユーザーの行動をイメージしてみてください。

スマートフォンを使う場合

Androidの場合

Android端末であれば、Voice Matchでアシスタントに音声でアクセスできます。Googleアプリを開き「OK Google」と声を掛けるか、マイクのアイコンをタップすれば、音声検索が可能です。

ただし、利用には、端末に「Googleアプリ」がインストールされている必要があります。動作しない場合は、Googleアプリの設定画面で、「音声」の中にある「Voice Match」をタップしてください。「OK Google」がオンになっていれば利用できますので確認しましょう。

iPhoneの場合

iPhoneのSiriを利用して音声検索をする場合は、サイドボタンを長押しすることで、Siriを起動させられます。「ご用件は何でしょう?」と表示されたら音声検索が可能です。ただし、Siriが起動するには、「設定」の中にある「Siriと検索」の画面で「サイドボタンを押してSiriを使用」がオンになっている必要があります。ちなみに、「”Hey Siri”を聞き取る」をオンにしていれば、呼びかけてSiriを起動することも可能です。

PCを使う場合

ここでは、ブラウザを使った音声検索を紹介します。Googleが提供するブラウザ「Google Chrome」なら、検索窓の右側にあるマイクのアイコンをクリックするだけで、音声検索が可能です。ノートパソコンの場合は、マイクを内臓しているものが多いと思いますが、デスクトップPCの場合はマイクが外付けになっている場合もあるでしょう。マイクを使用できれば音声検索が可能になります。また、PCを使った音声検索としては、Macであるならばブラウザを使わずともスマートフォンと同様にSiriを使うといった方法もあります。

スマートスピーカーを使う場合

Google HomeやAmazon Echoを使って音声検索を行う人もいるでしょう。音声検索の方法は各機器により異なりますが、「OK, Google」という掛け声や「Alexa」という呼びかけから、音声検索がスタートします。スマートスピーカーは改善を重ねながら、どんどん性能が向上し、今後ますます日常生活に溶け込みそうです。

音声検索はどこでするのか?

音声検索の利用者が増えているとはいえ、公共の場で検索するシーンを頻繁に見かけるわけではありません。音声検索をしやすい環境としては、自宅や車の中といったプライベート空間が多いのではないかと予想できます。

ハンズフリーで利用できる音声検索は、プライベート空間であれば躊躇なく使えるでしょう。外出中に車の中で音声検索を行い、目的地までのナビゲーションにもデバイスを利用するのは、自然な利用シーンの一つです。また、入力による検索が日常化していない可能性があるシニア世代においては、外出先に限らず、自宅での音声検索が多くなるとも考えます。この他にも、スマート家電などの普及とともに音声検索の利用シーンは増えていくでしょう。

音声検索の傾向

音声検索には、どのような傾向があるのでしょうか。Backlinko社が2018年に発表した音声検索の傾向についてご紹介します。10,000件もの音声検索結果のデータをまとめている有力なデータです。原文は英語によるものですので、以下に日本語でポイントを紹介します。

1:ページ表示速度が主要な役割を果たしている
2:HTTPで保護されているサイトが検索結果に多い
3:短く簡潔な回答が選ばれる
4:構造化マークアップは音声検索にはあまり影響がない
5:ドメインオーソリティーの高いサイトが選ばれやすい
6:ソーシャルメディアで人気であると選ばれやすい傾向がある
7:シンプルで読みやすいコンテンツが評価されやすい
8:titleタグに検索クエリが含まれている必要はない
9:長いテキストコンテンツから回答を選ぶ場合がある
10:デスクトップPCによる検索で上位にあるコンテンツは回答として選ばれることが多い
11:強調スニペットとして表示されているサイトが選ばれやすい

参考:Backlinko「We Analyzed 10,000 Google Home Results. Here’s What We Learned About Voice Search SEO」

音声検索のSEO(VSO)でしておくべきこと

音声検索の対策として、どのようなSEOを行うべきなのでしょうか。これからさらに進化を遂げる音声検索に対し、今行うべき施策を紹介します。

簡潔かつ明確なコンテンツにする

「いつ」「どこで」「誰が」「何を」といった要素を明確に含んだコンテンツにする必要があります。文脈に違和感がなく、ユーザーの問いかけに対し、シンプルに伝わる回答が書かれていることが重要でしょう。まわりくどい文章になっている部分は修正をしておくべきだと考えます。しかしながら、テキスト量は多い方がよい傾向もあるため、明快な文章でありながら、内容の深さは必要です。

会話を意識したテキストを作成する

音声検索は会話調の検索語句が使用されます。例えば、これまでのような「札幌 リノベーション 相場」という検索ではなく、「札幌でリノベーションをするときの相場はいくら?」といった検索になるでしょう。ページ制作時に掲載テキストを検討する際、問いかけを意識した回答文を作成しましょう。その際、キーワードを含めた自然な回答を記載した方がよいと考えられます。

ローカル検索を意識する

音声検索が多く使われるのは、地域のショップや施設を探すためのローカル検索でしょう。実店舗があるなら、ローカルSEOを意識した対策をするべきです。Googleマイビジネスに登録しておきましょう。様々なメディアで自分の店舗名が言及されるサイテーションの増加や、店舗名・所在地・電話番号を正確に記載するNAPにも取り組むとよいです。

ページの表示速度をできるだけ改善する

Backlinko社の傾向分析にもあったようにページ表示速度は改善した方が評価は高いでしょう。通常のSEOにおいてもページの表示はできるだけスムーズにするべきです。Googleが提供するPageSpeed Insightsを使うなど、表示が遅くなる要因を明確にして改善に取り組みましょう。

コンテンツの見直しからスタート

音声検索のSEOとして行うべき対策をいくつか紹介しましたが、この他にもBacklinko社の傾向分析を参考に取り組めそうなことはいくつもあるでしょう。デスクトップPCによる検索で上位にあるページが、音声検索でも選ばれやすいということを考えると、やはり通常のSEOへの意識も欠かせません。

また、ローカル検索が音声検索のケースとして多く考えられるなら、MEOも行うべきです。まずは自社のコンテンツで改善するべき点を具体的にピックアップするところから、始めてみるべきです。SEO対策とともに、ユーザーが実際に音声検索を行うシーンを考えながら、GoogleアナリティクスやSearch Consoleを使って、音声検索のクエリを確認してみましょう。さらに具体的なユーザーの検索シーンが見えてくるはずです。まだ未知数の音声検索ですが、できるだけデータを集めてSEOの成功を目指しましょう。

参考:新時代のSEO?音声検索の最適化(VSO)に必要な対策とは?|ホームページシード

「音声検索」が急増中!これからやるべきSEO対策まとめ - リスマガ【Web集客の教科書】

音声検索でSEOが変わる?Googleアシスタントでできること!|Enazeal Engineer BLOG

音声検索に対応するSEOとは - ハブスポットの担当者による見解

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