私たちの日常生活において、チャットボットに触れる機会が、以前よりかなり増えたと感じている人は多いでしょう。チャットボットの活用は世界の色々なところで行われています。オムニチャネル戦略により、消費者のチャットボットへの支出金額は2024年までに1,420億米ドルの売上になると予測されており、2019年から4年間の平均年間成長率は400%と大きな成長が見込まれているのです。

参考:チャットボット市場、オムニチャネル戦略により2024年までに1,420億米ドルの売上を達成 株式会社グローバルインフォメーションのプレスリリース|value press

世界に目を向けると、あまり馴染みがないチャットボットの利用事例もあり、今後は日常生活からビジネスシーンまでさまざまな方向からチャットボットの活用が見られるはずです。そこで今回は、海外でどのようにチャットボットが活用されているのか、事例をいくつかピックアップしてみました。チャットボットが自社に効果的なソリューションをもたらすイメージができるかもしれません。

海外で活用されるチャットボットの事例

日本よりもチャットボットの活用が進んでいる海外では、チャットボットが利用者のさまざまな行動を効果的にサポートしています。簡単には参考にできないものもありますが、いろいろなチャットボットの活用事例を見てみましょう。

Amazon(アマゾン)

米国のAmazonはAIを使い、カスタマーサポートのパイロットプログラムをスタートしています。新しいチャットボットを利用し、さらにハイレベルなサービスを実現。人が関わることなく機械学習を行い顧客対応をするものと、既存エージェント(人)の効率を高めるものの2つです。

また、チャットボットのみで顧客対応を最後まで行えない場合は、有人のカスタマサポートにエスカレーションするフローも用意しています。テンプレートを活用しつつも、商品や日付、価格などの必要な情報を含め、自然な顧客対応を実施するものです。

新しいチャットボットは、人間がサポートせずにチャットボットだけで問い合わせを完結でき、24時間以内に再度問い合わせが行われる可能性を低くすることに成功しました。2020年末までに85%を新しいチャットボットに切り替えようとしており、Amazonのサービスはますます向上することが期待されています。

Amazonのチャットボット活用は、世界中の企業にとって刺激となるはずです。有人対応を減らし、カスタマーサポートにかかる予算削減を実現する動きは、次世代の経営手法の一つとも言えるのではないでしょうか。

参考:米AmazonのカスタマーサポートはAIにおまかせ、新たな試験プログラムを開始|BRIDGE

SEPHORA(セフォラ)

フランスのコスメ販売店のSEPHORAでは、「Kik(キック)」で動作するチャットボットを利用し、ユーザーとコミュニケーションをとります。Kikとは、スマートフォン向けのメッセンジャーであり、米国などの10代に人気のあるアプリ。このKik上で、SEPHORAはユーザーへの質問の結果からレコメンド商品を提示することが可能になりました。

バラエティに富んだコスメ商品の中から短時間で購入商品を決めるのは、ユーザーにとても難しいことです。店舗ならスタッフに相談すれば済むところですが、オンライン上では問い合わせがスムーズではないため、チャットボットによるサポートは効果的でしょう。商品の紹介動画を再生できるなどのPR力の高さも魅力的です。

また、SEPHORAはFacebook Messengerでも同様にチャットボットを導入しており、来店予約の獲得に関しては、11%もの増加を実績として誇っています。チャットボット導入は、ユーザーのモチベーションを人間の力を使わずに高めることができ、実売につなげる強いサポートを実現していると言えるでしょう。

参考:アメリカの若者の40%が使用しているメッセージアプリ「Kik」とは?|HummingBirdblank

Starbucks(スターバックス)

米国のStarbucks(以下スターバックス)は、2017年に「My Starbucks Barista」というアプリを利用して、ユーザーがスマートフォンを使って予約注文ができる仕組みを試験的にスタートしました。

オーダーには音声を利用でき、チャットボットが実店舗の店員のようにオーダーを受け、個数やサイズの確認から支払いまで対応可能です。オーダーが完了した後、ユーザーが店舗に訪問すれば、すぐに商品を受け取ることができるので、待ち時間の短縮や店内の混雑の解消に役立ちます。ユーザーとスタッフの接点を最小限にできるため、新型コロナウイルス対策としても、このシステムは有効でしょう。さらには、オーダーミスを防止する役割など付随するメリットはさまざまです。

音声対応のチャットボットではなく、モバイルオーダー&ペイの仕組みに関しては、すべての店舗で利用できるわけではありませんが、日本のスターバックスにも導入されており、利用できる店舗は随時拡大中です。

音声を使ってオーダー内容を話しかける、というチャットボットの利用方法は、飲食業界から注目を集める仕組みでしょう。比較的共通要素の多い飲食店のオーダーなどの場面において、このようなチャットボットの活用が増えていくのではないでしょうか。

参考:店員に代わるスタバ店舗のAIアシスタント|JNEWS

KLMオランダ航空

2018年にKLMオランダ航空が導入した航空券検索も話題を集めました。Googleアシスタントを利用し、音声によりチケットを検索するというものです。検索には、チャットボットと会話し、出発地、目的地、フライト日などの情報を提供します。

そもそもKLMオランダ航空は独自開発のチャットボットを有しており、Messenger上でチケットの検索をする仕組みを作っていました。その後、Googleアシスタントを使い、旅に付随したアドバイス提供を可能にするなど、チャットボットの活用には力を入れてきたのです。(対応言語は英語・オランダ語)

旅行業界は、チャットボットの活用が目立つ業種の一つ。大型連休など繁忙期が顕著にわかる業界であるため、今後もさまざまな効率化と精度向上への期待がチャットボットに向けられるでしょう。

参考:KLMオランダ航空が音声コマンドで航空券を検索できる新機能をリリース|TECHABLE

Orbita

新型コロナウイルスが世界に脅威を与えている中、Orbitaは医療情報提供に役立つチャットボットを開発し、AIによる患者との対話の精度向上を目指しています。病院に行きにくい状況でのオンライン診断は、新型コロナウイルスに関わらず、今後もさまざまなシーンで必要とされるでしょう。

患者が病状についての質問することや医療機関に関する情報を聞くことが、Orbitaの使い方として想定されています。電子カルテとの連携など、実用化が進行中です。

ベンチャーファンドからの投資が集まり、オンライン診療の発展に期待が集まっています。ヘルスケア分野に期待されるチャットボットの活用として、今後もさらに多くの注目が集まる事例と言えるでしょう。

参考:ヘルスケア向けチャットボットOrbitaがオンライン診療を促進する|TECHABLE