システム開発には大きなコストがかかるため、予算を十分に確保しなければならないというイメージを持っている人は多いでしょう。しかし、ローコード(Low Code)という開発手法を使うことで、コストを抑えた開発を実現でき、様々な恩恵を受けられます。

この記事をご覧いただければ、ローコード(Low Code)のメリットとデメリットのほか、利用するべき開発ツールも把握できます。

ローコード(Low Code)とは?

ローコード(Low Code)は、必要なパーツを簡単な操作で組み合わせてシステムが作れる開発手法です。ローコード(Low Code)の活用による利点はとても大きく、プログラマーは必要に応じて最小限のコードを書くだけで済みます。その結果、従来のシステム開発では難しかった低コストかつスピーディーな作業が実現できるのです。ローコード(Low Code)が提供する生産性の向上がシステム開発の現場に与えた影響は計り知れないものだと言えるでしょう。

ローコード(Low Code)のメリット

1.開発にかかる時間を短縮できる

すべてのソースコードを作成せずに、アプリを組み合わせてシステムを構築するため、開発期間を大幅に短縮することができます。システム開発というと長い期間が必要だというイメージを払拭させてくれるのがローコード(Low Code)です。

2.開発コストを削減できる

開発期間が短くて済むということは、プログラマーの工数が減少することになります。すなわち、開発にかかる人件費が削減されるのです。ゼロから構築するシステム開発が高価であるのは、単価の高い優秀なプログラマーたちが長い期間をかけて開発に取り組むためです。

3.ミスの少ない開発ができる

プログラミングを行う部分が少ないので、その分、ミスが少なくなります。人間である以上必ずミスが発生しますので、自分で書くコードの量が少なくなると精度は上がるでしょう。バグの修正にかかる時間やコストの軽減にもつながります。

4.人員を確保しやすい

スキルの高いエンジニアを用意するのが難しい状況でも、ローコード(Low Code)を使えば、エンジニアに高度なスキルが備わっていない場合でも開発に貢献できるでしょう。新人エンジニアの起用なども可能になり、人員不足で進められないという事態に陥らずに済みます。

ローコード(Low Code)のデメリット

1.すべてをプログラミングするより自由度が低い

ローコード(Low Code)は、大規模な開発には使えないでしょう。複雑な要件の場合は、ローコード(Low Code)を使わずにプログラミングを行うことになります。あくまでも、小さな規模の場合に利用できる手法であることを理解しておく必要があります。開発ツールによりできることが異なりますので、ツールに依存してしまう部分があるのです。

2.誰にでも使えるわけではない

ローコード(Low Code)はプログラミングの知識がない人にとっては使用しにくいものです。ノーコードの開発ツールのように誰でも使えるわけではないので、基本的にプログラマーの開発現場でなければ使いにくいでしょう。

3.プログラマーの意欲を損なう可能性がある
ローコード(Low Code)の活用により、ゼロからシステムを構築してきたプログラマーは工数が減る反面、クリエイティビティを発揮する場面も少なくなるかもしれません。プログラマーの醍醐味であるシステムをゼロから作り上げる喜びを損なったと感じる人が出てきてしまう恐れもあります。

ローコード(Low Code)のおすすめ開発ツール

さて、ローコード(Low Code)の開発ツールの中で、おすすめのものをピックアップしました。それぞれに特徴がありますので、興味があるものはオフィシャルサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。

OutSystems

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出典:OutSystems

OutSystemsは、短納期でアプリを開発できるローコード プラットフォームです。アプリのビジュアル開発やシステム連携がスムーズにでき、ドラッグ&ドロップで直感的に作業を進めることができます。Webアプリとモバイルのネイティブアプリを一元的に開発できるのです。ローコード開発ツールとして高い評価があり、数千社のクライアントから支持されています。無償トライアルが用意されているので、まずは試してみることが可能です。

Kintone

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出典:Kintone

Kintoneは、サイボウズが提供するローコードプラットフォームです。視覚的に分かりやすい画面上でドラッグ&ドロップをしながらアプリを作成できます。様々な分野のサンプルアプリが用意されており、スムーズなアプリ作成が可能です。JavaScriptCSSファイルをプラグインとして使いカスタマイズすることもできます。クラウドサービスなので、インターネットにつながれば、場所を問わずいつでも利用できる人気ツールです。

Magic® xpa Application Platform

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出典:Magic® xpa Application Platform

Magic® xpa Application Platformは、Web、モバイル、デスクトップのアプリをワンソース・マルチユースで簡単に作成できるローコード開発ツールです。実際のデバイス画面を表示しながら作成を進められるので、スピーディーな開発ができます。プロトタイプ製作からレビュー・フィードバック、修正・改善の流れをスムーズに繰り返すことが可能です。

KISSFLOW

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出典:KISSFLOW

KISSFLOWは、企業に発生するルーティン業務の自動化に適したローコード開発ツールです。優れたユーザーインターフェースは操作性が高く、使用する上であまり困ることはなさそうです。休暇申請や旅費精算など、企業で必要になる業務がテンプレートとして用意されており、簡単にアプリを作成できます。多数の大手企業を含む10,000社以上に愛用されています。

SPIRAL®

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出典:SPIRAL®

SPIRAL®は、アプリを簡単に作成できるクラウド型のローコード開発プラットフォームです。データベースを中心に様々なコンポーネントがあり、組み合わせるだけでアプリが構築できます。顧客管理やWeb給与明細などのテンプレートの用意もあり便利です。様々な業界のシステム開発に役立ちます。また、アクセス権限を設定して、IDや外部アクセスを規制することもでき安心して使用できます。

ノーコードとローコードの違い

ノーコードはプログラミングを一切使わずに行う開発手法です。ローコードは、ノーコードと違ってコードを書き足して自分の思うように開発ができるため、プログラミングに関する知識が必要になります。対象とする利用者はプログラマーです。そのため、ノーコードよりも自由度が高く、スキルが高いエンジニアにとっては開発がしやすいでしょう。それに対し、ノーコードは、ノーコードはプログラミングの知識がまったくない人が主に利用しやいものです。また、ノーコードによる開発は、作成したアプリの拡張が思うようにできない可能性がありますが、ローコードは、拡張が柔軟に行えるので便利です。

ローコード(Low Code)がモノづくりを変える

ローコード(Low Code)を使った開発が世の中に与える影響は大きいはずです。以下の2つの影響がモノづくりを変えるのではないでしょうか。

過剰なカスタマイズがなくなる

これまでユーザーの業務にぴったり合わせた仕様を用意し、コスト高になっても開発をするというシーンは幾度もあったでしょう。ローコード(Low Code)のメリットを優先し、ローコードで済む範囲で開発を行い、業務をシステムに合わせる動きが増えるかもしれません。

小規模な開発が増える可能性がある

システム開発のハードルが下がったことで、これまで積極的にIT導入をしていなかった企業も開発を望む可能性があります。ローコード(Low Code)の恩恵を大きく受けられる小規模システムの開発が増えるのではないでしょうか。

ローコード(Low Code)を使いこなすには開発ツールの動向チェックを

ローコード(Low Code)は、多くのシステム開発のパフォーマンスを向上させる魅力的な開発手法です。このメリットを活かすには、自社にとってベストな開発ツールを使用しなければいけません。ローコード(Low Code)の開発ツールの動向を把握し、無料体験をしてみるなどの積極性も重要になってくるでしょう。時代にマッチした合理的な手法としてローコード(Low Code)を使いこなす企業が増え、多くのソリューションが世の中に誕生すると考えられます。さあ、ローコード(Low Code)による開発を導入してみてはいかがでしょうか。