これらのサービスが生まれた背景

このようなサービスが生まれた背景としては、情報サービスにおけるトレンドと、その中で規制を受ける金融産業がどう進化してきたのか、というところに分けて考えられるのかなと思います。

例えば、人間がどんどん検索をするようになって、サービスもクラウドで使えるようになって、それを手元のスマートフォンで使えるようになるという、それがさらにビッグデータ分析すると、どんどん有利なサジェストが簡単に得られるようになるという、大きな情報の流れがある訳です。

この流れの中で、金融産業がどのように対応してきたのかを見ますと、90年代の後半は大手の会社もインターネットに対応する時代でした。

しかし、2000年前後になると、例えば証券業とかが分かりやすいのですが、松井証券やSBI証券、マネックス証券といった、オンライン専業業者が、ディスカウンターとして台頭してきました。
純粋な機能提供であれば、非常に安い選択肢を消費者は選べるようになりました。

その後15年くらいかけて、安いだけではなく、中立的なレコメンデーションであるとか、自分のための情報選びといった特色が出る中で、より使いやすく、より簡単に問題を解決できる
サービス選別が行われてきた形になります。

お金に保守的な層こそがFintechのコアユーザー

また、これはアメリカ側のトレンドではあるのですが、ミレニアル世代という層が存在します。
最近私は、ミレニアルのことを草食系とも呼んでいるのですが、従来のように株式投資をどんどん行い、不動産も学費もたくさんローンを借りて、という強いアメリカ人像から一転して、リーマンショック以降は20代30代の人たちが、借金返済や貯金にいそしむ傾向が見られています。

昔ほど景気が良くない点もありますし、自分たちが大人になって2回も経済危機を経験している世代ですので、実直な貯蓄をしたいし、できるだけお金は金利を安く借りたいという節約志向が強くなっています。

こういう人たちこそ、Fintechの強みである情報産業としての性質を、一番評価している層になります。

Fintechの今後

政府は今後、2020年のオリンピックに向けて、現金取引をできるだけ少なくする政策を進めていきます。

現金の代わりに、例えばApple Payをスマホではなくて時計などで使ったりする他にも、通常のデビットカードとかクレジットカード、電子マネーの使い勝手もどんどん高まっていく見込みです。

この流れの中でポイントになってくるのが、ATMがなかなか使われなくなるという観点です。

月に4回ATMを使っていた人が、ひと月やふた月に1回しか行かなくなる、そういったことが想起されるわけです。

そうなると、ATM自体の価値や、銀行さんにとって顧客との接点とかCRMのあり方とか非常に変わってきますよということが言えるのかなと思います。

アプリを使っていただくO2O的なサービスを考えなければならないですし、店舗を仮に減らす方向になるのであれば、従来の接客をタブレットでビデオチャットを使う、といったところもでてくるかなと考えているわけでございます。

ただし、このような危機感もある中で、日本のFintech企業は、まだ数が非常に少ないのが現状です。

アメリカで1,000を超えるプレーヤーがいる中で、日本では30社ほどにもならないんです。

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日本はまだFintech元年と言われていますが、プレーヤー数的にはこれから始まっていくようなフェーズでもあります。
そういった中で自分たちも含め、着実にいろんな大きいプレーヤー事例を作っていくのが重要なことかなと思います。