今や、どんな企業もSNSアカウントを運用していると言っても過言ではない時代を迎えています。しかし、いざSNSの担当になってみると、どのように運用してくことが「正解」なのか、暗中模索しながら日々の業務に当たっている担当者も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、SNSを中心としたマーケティング支援を専門とするテテマーチ株式会社に「SNSプランナーの企画力とは?」「SNSプランニングに求められる視点とは?」という切り口でお話を伺ってきました。マーケターや、企業のSNS担当者の方はぜひ、参考にしてみてください。

「SNSプランナー」とは、どんな仕事?

ferret:
まずは「SNSプランナー」とはどんな仕事なのかを教えていただけますか。

テテマーチ三島氏:
「SNSプランナー」とは、SNS施策を中心とした戦略設計・企画をしていく仕事です。そもそもSNS施策には「正解」がなく、お客様の課題に対して、いかようにもアプローチができるものです。よってクライアントが抱えるさまざまな課題やミッションに対し、SNSを駆使してどうプロモーションしていくか。生活者とどうコミュニケーションをとっていくか。そういったことを日々、想像力を働かせながらさまざまな企画立案に取り組んでいます。

基本は、クライアントに対してのヒアリングから始まります。ビジネスモデルに対しての課題や今の状況などを把握した上で、SNSで解決できる企画を立案したり、全体のロードマップを策定したりします。

弊社の「SNSプランナー」の場合、言わば「設計士」のような要素が強いですね。

テテマーチ福間氏:
弊社ではSNSを活用した企業のマーケティング支援に取り組んでいるのですが、そのプランニングですね。アカウントの運用から、インフルエンサーキャスティング、広告運用、キャンペーン運用、そこから派生するLP作成など……SNS施策にもさまざまな手法がありますが、弊社では今述べたような手法を多く使っています。

「目的」に近づくためには、どの手法を使ったら良いか?ということを考えてプランニングを行います。ひと口に「企業アカウントの運用」といっても「目的」によって実施すべき施策はまったく変わってきます。

例えば、「フォロワーを増やす」とか、「いいね!数を増やす」などありますが、最初のヒアリング段階で「目的」のすり合わせをし、方向性が間違っていないかを確認したうえでプランニングをしていくことがポイントです。

ferret:
結構クライアントにより違うところが大きいのですね。

テテマーチ三島氏:
はい、それは非常に大きいです。例えば、クライアントから「フォロワー数を増やしたい」と相談を受けてよくよくヒアリングしてみると、相談内容と目的が全然違うといったことはよくあります。「何のためにフォロワーを増やしたいですか?」と「目的」をヒアリングをしても、「ただフォロワー数を増やしたい」という企業も実際にはいらっしゃいます。

他には「情報発信した際にそれが届く母数としてフォロワー数が欲しい」という考え方もありますし、「ブランド好意度を図る指標としてフォロワー数を置いている」考え方もあります。

クライアントへのヒアリングを通して、まるでパズルのように隠れたピースを見つけ出してはめていく、そして設計図を作り上げるような感じです。その点が「SNSプランナー」の面白味のあるところだとも言えます。

ferret:
フォロワー「数」より、フォロワーの「質」を重視してほしいという企業もありますよね。

テテマーチ福間氏:
そうですね。本質的なところで言うと、「フォロワー数」だけではなく、日々のエンゲージメント、お客様との信頼関係をどれだけ深めていけるかがポイントでもあります。

しかし、まだまだSNSマーケティングに対して世の中の理解が得られていない部分もあります。

「フォロワー数」はひとつの指標として置くけれども、「では、質はどうでしょう?」という点は、私どもが専門会社として指摘すべき意義だと思っています。

「SNSプランナー」として、普段から意識している視点は?

ferret:
「SNSプランナー」として、普段から意識している視点を教えてください。

テテマーチ三島氏:
SNSの情報が届く先には、一般の生活者がいます。よって「生活者がどう思うか?」という視点はとても意識しています。

企業のSNSを運用・プロモーションしていく上で「フォロワーがこれだけ増えて、エンゲージメントがこれだけ高まるといいよね」とクライアントに言われるような企画はもちろん大事です。

さらにその先で生活者がどう思うか、喜んでくれるか、楽しんでもらえるか、といった点まで設計できると良いと思い、日ごろから意識しています。

テテマーチ福間氏:
私も同じように考えています。

生活者にどう思われるか意識する際、まずは自分もいち生活者であることを踏まえて考えます。企画を立てた時、いち生活者として面白いと受け止められるかどうかをとても大事にしています。

クライアントへの提案の際には「こういう論理でフォロワー数が増える」などと考える訳ですが、本当に自分が消費者として見た際に「面白そう」と思えるかどうかが重要です。

本当に自分が良いと思える企画でないと、大衆には刺さらないと思います。

また自分の個人的な感覚だけでなく、周りの人にも「こんな企画あったら面白いと思う?」「刺さる?」と確認をするようにしています。

あとは、自分たちがSNSで施策を展開していくためには、まずは自分たち自身が普段からSNSにどっぷり入ってその世界観を理解するよう意識しています。

設計企画をする際のポイントは?

 
ferret:
クライアントによって、そして目的によって、企画は千差万別と伺いました。では、企画の道筋を立てる際のポイントを教えていただけますか。

テテマーチ福間氏:
まずは、「SNSを使った過去のプロモーション事例のインプット」ですね。どんな企業様が、どんな施策に取り組んで、どんな広がりがあったのかをメンバーで共有するためです。弊社では、毎週「事例共有会」を実施しています。

また、「手法=How」「なぜやるか=Why」「何をやるか=What」と組み合わせて立案することを意識しています。デジタルマーケティングの業界では、「手法=How」の部分に施策・提案が寄りがちな気がしています。

例えば、リスティング広告などでキーワードに数字を入れたらクリック率が上がったとか、LTV、インプレッション数が上がった、などの手法があると思いますが……。

SNSアカウント運用でも「Instagramのクリエイティブをこんな風にしたらよく見られる」とか「フォロー&リツイートキャンペーンを投入すればフォロワー数が増える」とか、さまざまな「手法」があります。でも、手法の部分だけではなく、「なぜやるか=Why」そして「何をやるか=What」の部分も大事なんです。

「フォロー&リツイートキャンペーン」はひとつの「手法」ですが、例えばわかりやすいものだと「会員◯人突破記念!フォロー&リツイートキャンペーン」だとか、「こどもの日記念!フォロー&リツイートキャンペーン」だとか、手法の前に伝えたいことがあると捉えています。 

つまり「なぜやるか=Why」と、「何をやるか=What」の部分を組み合わせて考えることですね。その点を弊社では大きく意識して企画を作っています。

ferret:
クライアントへのヒアリングを重要視されているんですね。

テテマーチ福間氏:
クライアントからすると、私どもは「なんで?マン」だと思いますよ(笑)「なんでこれやりたいんでしたっけ?」「何のためにやろうとしてるんでしたっけ?」とか。目的・理由をまず突き詰めたうえで、ではそのクライアントだったらこの企画を投入すべき、といった考え方をしています。

テテマーチ三島氏:
ちゃんと「目的」を設定したいんです。

よくあるのは「TwitterやInstagramのフォロワー数増やしたいんですよね」とか「いいね!数増やしたいんですよね」「エンゲージメント数上げたいんですよね」「目標フォロワー数1万」といった依頼が寄せられます。

目標達成はしたものの、その結果「良いんだっけ?悪いんだけっけ?」みたいなブレがSNS施策には結構ありがちです。だから「そもそも何をしたいんだっけ?」「1万フォロワー達成したいけど、それってどうしてでしたっけ?(なぜやるのか=Why)」は追求、深堀りするようにしています。

ferret:
三島さんが「設計士」とおっしゃいましたが、最初の設計部分が大事、ということですね。

テテマーチ福間氏:
そうですね。弊社には、三島のようにビジネス目線を豊富に取り入れてストーリーを描く、フレームワークを大切にする「設計士」タイプのプランナーも在籍していますし、「これやったら面白そう!」というアイデアも大事にする「企画屋」タイプのプランナーも在籍しています。

「SNSプランナー」に必要なスキルとは?

ferret:
「SNSプランナー」は「設計士」「企画屋」というお話が出ましたが、総合的に言うとどういうスキルが必要だと思いますか?

テテマーチ三島氏:
生活者のことを考える、自分が生活者だったらどう思うかを考える、つまり自分ゴト化できるスキルですね。

例えば私は、女性向け化粧品メーカーのプロモーション案件を多く担当しています。コスメについては非常に勉強していますし、自身でもスキンケアなどは試したりしています。

要は、まず自分自身がブランドに興味を持ったり「もっとこうだったらいいのに」とか、自分ゴト化して考えられる力を養ったりすることが必要だと思います。クライアントからも強く求められている点だと私は考えています。

テテマーチ福間氏:
ブランドを理解することは、プランナーだけでなくそのブランドに関わるすべての人に必要なことだと思います。

あと「SNSプランナー」に必要な資質は、まずはSNSが好きであることが大前提。SNSとは、新機能追加など日々のアップデートが非常に激しいものです。また、Twitterには固有の世界観があり、InstagramにはInstagramの世界観があります。

例えばシャープさんのTwitterアカウントは、ラフな感じの運用をされています。でも、Twitterを全く知らない人に「企業アカウントで、こういうラフな感じの投稿をしていきましょう」という話をしても、「え?こんなラフな投稿無理でしょ」といったように、世界観を理解してもらえません。理解できないということは、提案もできません。だから、SNSの世界観を知る必要があるんです。世界観を知るためには座学ではなくて自分自身が常にそこのメディアプラットフォームにいないと、深くは理解できないと思います。

だからそのためには、「SNSが好き!」という点も必要だと思っています。

テテマーチ三島氏:
マーケターも同じで、SNSが好きなマーケターが在籍している会社は、自社のSNS運用に強いんですよね。さまざまなトライ&エラーを繰り返していて、支援会社が入らないでインハウスでSNS運用をされている会社様には、SNS好きなマーケターが必ず居るものです。

まずは、SNSを好きになることが大事です。

まずはSNSを好きになろう 

SNSプランナーとして活動されているお二人の、「SNS企画設計は、前例や手法だけを考えるだけでなく、なぜやるのか?何をやるのか?といった、目的を突き詰めることが大事」といった視点がとても印象に残りました。

また、まずはSNS担当者自身がメディアプラットフォームの世界観を理解すること、自分ゴト化すること、生活者視点を常に考えること、といったポイントもお話しいただきました。
企業のマーケターや、SNS担当者の方は、ぜひ今回の記事でご紹介した切り口を日々の業務に取り入れてみてください。