コンテンツ至上主義化

ferret:
アルゴリズムによるコンテンツ至上主義化、というのはどういうことでしょうか?

テテマーチ三島氏:
Instagramのメディアとしてのポリシー、ユーザーに届ける全体的なメッセージとして「大切な人や大好きなことと、あなたと近づける」を掲げています。

つまりInstagramは、ユーザーひとりひとりに最適なコンテンツを届けられるようなアルゴリズムを組んでいて、特に「発見タブ」はパーソナライズ化が進んでいるんですね。「発見タブ」ではユーザーが探している情報をレコメンドして表示するようになっています。「この人はこういうコンテンツを普段から見ているから、もっとこういうコンテンツを届けてあげよう」という仕組みになっている訳です。

ストーリーズもフィードも、時間軸表示ではありません。その人がよくコミュニケーションする方、親密度が高い方の情報を優先度高く届けるようになっています。

つまりそれは、Instagramが届けたいメッセージを体現していると思っています。

以前のようにきれいな写真を上げていれば評価される時代は終わっていて、「いつ見ても反応したくなる」「いつも見ちゃう」「長く見ちゃう」など、情報量が詰まっているコンテンツが届けられるように変わっていっています。

だから弊社が支援している企業様に向けても、ただコンスタントに投稿していればいい、ではなくて「そのコンテンツでお客様にどう思ってもらいたいですか?」「どう反応してほしいですか?」といった点をきちんと言語化し、目的を明確にしてコンテンツの中身を重要視しています。

テテマーチ福間氏:
小手先のテクニックよりは、コンテンツ自体がフォロワーに「いいな」と思ってもらえるものを愚直に作ることが、結果的にリーチやエンゲージメントも伸びるようになってきています。

例えばケースにもよりますが、ハッシュタグは3年ぐらい前と比べるとそれほど重要視されなくなってきています。

ハッシュタグを上手く使ってリーチさせて、どうリーチを取りに行くか?というテクニックは数年前だと注目されていましたが、今はハッシュタグ関係なく「発見タブ」などのレコメンドから流入する人が多くなっています。

つまり、ハッシュタグを上手く付けることで流入に繋がるよりも「発見タブ」に載ったほうがインパクトがあるようになってきているんですね。ハッシュタグが効くケース、シーンというのも、そもそもコンテンツがしっかりしていなければダメです。よって、コンテンツそのものをひた向きに作り続けることが大事になっていると言えます。

TikTokはアルゴリズムによって、フォローしてない投稿もガンガン出てきて、ずっとメディアの中に滞在させる仕様になっています。

コンテンツが良ければ広がり、届きやすくなる、というのはInstagramだけに限らない傾向だと思っています。

時間を掛けてハッシュタグの研究をするよりは、対ユーザのコンテンツに向き合ったほうが本質的であり、運用において重要なポイントになってきていると言えます。

プラットフォームごとに使い分けをするべき

ferret:
例えば、TwitterとInstagramでプラットフォームの仕様の違いがありますよね。Twitterは「いいね!」数が分かる、リツイートの仕組みがあります。一方、Instagramは「いいね!」数が分からない、リポストの仕組みもありません。こういった仕様の違いがありますが、運用していてどのように考えていますか?

テテマーチ三島氏:
プランニングをする際には、「目的」によってプラットフォームを使い分けるべきだと考えています。ユーザー視点に立てば、Twitterを見ている時のモチベーションとInstagramを見ている時のモチベーションとは違いますよね。

例えば私自身、Twitterはビジネスよりの情報収集や新しい発見を意識して利用しています。一方でInstagramでは、何かに特化して情報を探していたり、商品やブランドに関する感想や役立つようなポジティブな口コミも多いのでそういったものを見たり、商品を見たりしています。

つまりTwitterは「知る」「認知を広げる」ツール。一方、Instagramは「ブランドの理解・好意度を深める」といったところでしょうか。プラットフォームの使い方がまったく違うと思うので、クライアント企業様にもそのような使い分けをおすすめしています。

よく、「Facebook、Twitter、Instagramどれも同じコンテンツで良いので運用してください」という依頼をいただきますが……利用層も、モチベーションも、プラットフォームの特徴もそれぞれ違いますから、同じコンテンツで良いとは言えません。まずはそこから理解していただきたいなと思っています。

テテマーチ福間氏:
Twitterはグローバルの中でも日本で広告売上比率も多く占めています。

Twitterがこれだけ日本で発展した背景については2つの理由が考えられます。
ひとつめは日本語で書く、すなわち漢字を用いて文章を作成するという事は、同じ140文字という制約の中でも他の言語よりも情報量を多く盛り込めること。ふたつめは昔から俳句や大喜利などの言葉遊びの文化に依って、日本人の言語感覚にマッチした側面があるのかもしれないと思っています。