顧客管理CRM)はマーケティングを行う上で欠かせないものです。特に昨今は人口減少に伴って国内のビジネス市場は縮小しており、コロナ禍によって消費の落ち込みやオンライン化が加速していることから、顧客の一元管理による質の高いマーケティング施策が求められています。

本記事では、「顧客管理に興味があるが、何ができるかよくわからない」「どんな顧客管理ツールを使えばいいのかわからない」といった疑問を抱えている方に向けて、顧客管理のメリットや顧客管理ツールの種類、選び方のポイントを解説します。

目次

  1. 顧客管理(CRM)とは?
  2. 顧客管理のメリット
  3. 顧客管理ツールの種類
  4. 顧客管理ツールの選び方
  5. 顧客管理によって効果的なマーケティング施策を打ち出せる

顧客管理(CRM)とは?

顧客管理(CRM)とは、性別や年齢、規模、住所などの顧客の情報購買に至るまでのプロセスを管理・分析して、マーケティングに生かす手法のことです。個人であれば性別や年齢などを、企業であれば規模や所在地などを顧客情報として収集し、ターゲット層を決めたりプロモーション方法を考えたりします。

企業にとっては顧客管理がマーケティングの一環となり、それが売上アップに貢献しますが、顧客にとっても情報やサービスの質が上がるため顧客満足度の向上につながり、双方にとってメリットがあります。

顧客管理そのものだけでなく、顧客管理システムもCRMと呼ばれますCRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、営業支援システム(SFA)とセットになっていることが多い傾向です。

顧客管理のメリット

顧客管理のメリットはたくさんあります。代表的なメリットについて具体的に解説します。

顧客満足度が上がる

顧客管理をして顧客の属性や行動パターンを把握することで、顧客ごとのニーズが把握できるようになり、顧客が求めている情報やサービスをピンポイントで提供することが可能になります。

顧客は「Aを求めているのにBを提供された」「前回Cと伝えていたのに、間違った提案をされた」といったミスマッチが起きず、欲しいタイミングで欲しいものを与えられるようになるのでストレスが生まれません。

結果的に顧客満足度が上がり、新規顧客獲得はもちろん既存顧客のリピート率向上や優良顧客の創造にもつながるでしょう。

情報の蓄積・共有により業務効率化できる

顧客管理によって顧客情報がすべて一元管理されるようになるので、社内の全員がいつでも顧客情報を参照できるようになり、連絡の行き違いや伝達ミス、案内漏れといったリスクが減り、トラブルやクレームを防止できます。

いちいち伝達する必要もないので、退社や欠勤時の引継ぎもスムーズで、業務効率化にも貢献するでしょう。

また、データを一元管理することで数字が可視化され、システム上での分析がしやすくなります。実際のデータに基づき、経験や勘などに頼らない確実なマーケティング施策を立てることが可能です。的確なタイミングで的確なアプローチができるようになるでしょう。

売上を伸ばせる

顧客管理によって顧客を一元管理することで、当然売上を伸ばしやすくなります。すでにお伝えした顧客満足度の向上やデータに基づいたマーケティング施策はもちろん、EC訪問者や店舗訪問者など、入り口の異なる顧客を一元管理することがマーケティングにとって大きなプラスになります。

コロナ禍によって外出自粛が長引くとともに、ECなどオンライン施策に力を入れる企業が増えてきました。オンラインとオフラインの両軸で展開する際には、総合的な顧客管理が欠かせません。

よくあるのがオンライン(EC)で新規顧客を獲得して売上を高めつつ、オフラインの各実店舗でそれぞれ別にPDCAサイクルを回して施策運用していくというものですが、別々で動くと社内で顧客の取り合いになるリスクがあります。

顧客管理(CRM)によって「いつ」「だれが」「何をしたか」がデータで追えるようになれば、各部門で協力して企業全体の売上を高めることが可能になるでしょう。

また、顧客情報が各担当者ごとに分散されていると、情報が共有されなければ属人化してしまい、見込み顧客を取りこぼしてしまうなどの機会損失が頻発します。担当者からすれば見込みのない相手でも、別の社員からすれば見込み顧客となる可能性もあり、情報共有によって生まれるチャンスは意外と多いものです。

顧客管理ツールの種類

「顧客管理をしたいけど、そもそも何を使えばいいのかわからない」といった方に向けて、顧客管理ツールの種類を紹介します。自社に合った種類を選び、そこから各顧客管理ツールの比較検討をしましょう。

顧客管理システム(CRM)

スタンダードなのは、顧客管理の専用ツール(CRM)を使うことです。顧客管理システムでは、経理・カスタマーサポート・営業・マーケティングなどの各部署が扱う顧客情報を一元管理するため、どの部署の社員も同じツールを使って運用ができます

顧客管理専用のシステムなので、顧客管理に必要な基本的な機能を標準搭載しているのがメリットです。ただし、導入時はこれまでの顧客情報をデータ入力する必要があり、それなりの手間と費用がかかるのがデメリットです。

マーケティングオートメーション(MA)

マーケティングオートメーション(MA)は見込み顧客の管理と顧客へのアプローチを自動化するツールで、業務効率化にも貢献します。マーケティング初心者でも、ツール上でアンケートや閲覧履歴から自動分析できるので、効果的なマーケティング施策を実施しやすいでしょう。

自動でメールを送ったり顧客リストを作成したりすることも可能で、営業の工数が大幅に削減できます。ただし、マーケティングオートメーションを使いこなすには専門知識が必要で、どこまで営業データや広告との連携ができるかなどを考慮したうえで導入する必要があります。

オフィスアプリケーション

予算の兼ね合いで顧客管理システム(CRM)やマーケティングオートメーション(MA)の導入・運用費用が出せない場合は、ExcelやAccessなどのオフィスアプリケーションを活用するのもひとつの方法です。導入コストが抑えられ、多くの人が操作できる点がメリットでしょう。

ただし、顧客管理に特化したツールではないので満足な運用はしにくく、一元管理もしにくいです。手間と労力はかかるものと考えましょう。用途を限定しての利用をおすすめします。

顧客管理ツールの選び方

顧客管理ツールの種類を決めたら、各ツールをどのように比較検討して選べばいいのでしょうか。顧客管理ツールを選ぶ際のポイントを紹介します。

課題や目的に合っているか

まず、自社のマーケティングにおける課題を踏まえて*「なんのために顧客管理ツールを導入するのか」という目的を明確に*しましょう。今抱えている課題を解決するのが目的であり、そのためにはどんな顧客管理ツールが必要なのか?と要件を定めていくのです。

ツールの特性と要件を照らし合わせて、マッチしているなら相性が良いということです。機能や利用人数の確認をして、自社で問題なく利用できそうなら導入するのがおすすめです。

導入・運用コストが予算に合っているか

顧客管理ツールに使える予算を決め、導入・運用コストが予算に見合っているかを考えるのも重要です。導入コストが安くても、運用コストがかかる場合もあり、長期的に試算するのがポイントです。

ただし、導入・運用コストがそれなりにかかっても、その顧客管理ツールを導入して業務効率化や売上アップにつながり、収支がプラスになるなら導入しても問題ありません。

単純に予算とコストを照らし合わせて決めるのではなく「どれくらい人件費などを削減でき、どれくらい売上が伸びそうか」を試算してから決めるのがいいでしょう。

使いやすいか

どれだけ多機能な顧客管理ツールであっても、運用がしにくければ十分な恩恵が受けられません。「画面が見やすいか」「操作が簡単か」など、ユーザビリティの高さをチェックしてから判断しましょう。

トライアル期間があったり無料版があったりするので、実際に画面を操作してみて判断することをおすすめします。もしなかった場合でも、見積もりと合わせて試用を相談するなどして交渉しましょう。

アプリに対応しているか

出先でも顧客管理ツールを使って作業するなら、スマートフォンやタブレットに対応しているシステムが理想です。今はリモートワークも普及しているので、あらゆるデバイスに対応しているものを選んだほうがいいでしょう。

サポートが充実しているか

顧客管理ツール導入後も、トラブルが起きたり不明点があったり求める機能が変わったりと、運用の相談をすることは多々あります。購入後のアフターサポートが充実しているかも確認しましょう。

メールだけでなく電話やチャットでも対応しているか、誰が対応するのか、営業時間はいつかなどをチェックしてください。

顧客管理によって効果的なマーケティング施策を打ち出せる

顧客管理をすることによって、新規顧客獲得はもちろん、既存顧客の維持にも効果的なマーケティング施策を打ち出せるようになります。

今回ご紹介したポイントを踏まえて顧客分析し、顧客のニーズを把握して、求められる情報やサービスを的確に提供することで企業の成長につなげましょう。

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