昨年マーケティングオートメーションツール(以下、MA)が話題になりましたが、国内に比べると海外ではさらにMAの普及が進んでいます。
筆者が所属するカナダのバンクーバーにある総合マーケティング会社MY LOUD SPEAKER MARKETINGでもMAを導入しています。

本記事は、MAの導入が進む海外から見た導入企業の実情や海外で主に利用されているツールなどをご紹介します。
「使う側」から客観的な情報をお届けし、これからマーケティングに力を入れておきたいとお考えのBtoBビジネスを行われている方に読んでいただければ幸いです。

MAはお客さんを連れてこない

そもそもMAとは、「AIが勝手にユーザ解析をしながら最適なコンテンツを作って、ユーザーを育て、クロージングまで自動で行ってくれるというような素晴らしいツール」ではありません。
MAの話に入る前に、そもそも何をするためのツールなのかを簡単にご説明します。

MAを一言で言うと「契約に繋がる確度の高い見込み客を増やし続ける」ことを自動化することで、最終的な目的は「会社の売上・顧客数を増やす」ことです。
そのために重要になるのが、リードジェネレーションとリードナーチャリングという考え方です。

リードジェネレーション
契約する見込みが高いお客さんの数を増やすことです。
主にSEMソーシャルメディア、カンファレンス、セミナー、トレードショーを使って契約の見込みが高いお客さんとの接点を増やします。

・リードナーチャリング
その見込みの高いお客さんをフォロー・育成して、実際の顧客に育てることです。
ニュースレター、メールマガジン、ブログソーシャルメディア、資料(ホワイトペーパー)、ワークショップ、ウェブセミナー(ウェビナー)などを主に使います。

MAは、これらのリードジェネレーション・ナーチャリングをスムーズに行い質の良いリードを獲得して、それを営業に渡して売上アップにつなげるツールです。
BtoBの業種だと、特にナーチャリングが大切です。

ただし、ナーチャリングは運営・改善を行うために時間と労力がかかります。Marketoの調査によるとMAの最も魅力的な機能はリードナーチャリングを効率化する機能と答えた人が57%に上ります。

例えば、ホワイトペーパーをダウンロードした顧客にフォローアップのメールを送って、XX日後までに返信がなければ、別のフォローアップメールを送って、それでも返信がなければXXヶ月後にフォローアップをするという作業を全てマニュアルで行うととてつもなく時間がかかります。
だからといって放置しておくと、その顧客はアクションを起こしてくれませんので何かしらのアプローチをしないといけません。

MAはそういった必要かつ手間のかかる作業を自動で行ってくれるのです。

多機能すぎる?MAの機能一覧

前述では代表的な機能を挙げましたが、MAと言っても使える機能はツールによって異なります。
以下に基本的な機能例になります。

基本的な機能例

・メールマガジン・ニュースレターの作成(HTML、デバイス・メールクライアントごとの表示チェック・メールテンプレート作成・保存・テスト機能など)

・メールマガジンの分析機能(開封率・クリック率・ページ遷移・コンバージョン・クリック後のユーザーの行動分析 )

・ランディングページ作成・編集・A/Bテストツール(自社で簡単にランディングページを作成・編集、テストができる)

・ナーチャリングオートメーション(例: ユーザが何かアクションしたら自動メールを送るなど)

・ユーザセグメントごとの動的コンテンツの一括作成(例: グループAのユーザにはホワイトペーパーをゴールとして表示、グループBには問い合わせゴールとして表示するなど)

・キャンペーンの一括管理と分析(ソーシャル・メール・SEM・オフライン)

・アトリビューション分析(どのページがコンバージョンに貢献したかなど)

・ユーザーごとの個別管理(どのチャネルから入って、どのコンテンツを見て、今どういう状態か、コンバージョン前後両方のデータが取れる)

・問い合わせ前のユーザの詳細情報(会社名・IPアドレスなど)

・顧客管理システム(セールフォース)と連携

・リードスコアリング(見込み客の確度の高い順番でリードを並べてくれる機能、スコアリングはカスタマイズ可能)

・営業リマインド機能(ユーザがコンバージョンに繋がる重要なアクションをしたときに通知がくる機能、アプローチの抜け漏れを防ぎます。)

これだけの機能があるので便利な半面、理解するまでに時間がかかります。
私の会社の取引先は中小のB2Bの会社がメインですが、肌感としてはMAは入れているけど、機能のほんの一部しか使っていない会社が多く、使いこなせている会社は少なく感じます。
実際にSirius Decisionsによると、85%のB2Bマーケティングの担当者がMAを使いこなせていないと答えているそうです。

これは日本でも同様のことが言えるかもしれません。