自社のビジネスに関するデータを収集して活用する方法を探す中、「CDP」と呼ばれるツールが気になった方は多いのではないでしょうか。

顧客データを収集するツールは、CDPのほか、DMP、MAなど、その目的によって複数あるため、導入前に特徴を把握しておくことが大切です。

この記事では、CDPの概要やそのほかのツールとの違い、国内で使われているCDPツール5選、CDPツールの導入フローなどについて紹介します。

目次

  1. CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?
  2. CDPとDMPの違い
  3. CDPとMAの違い
  4. CDPとDWHの違い
  5. 国内で利用されているCDPツール5選
  6. CDPを導入する際のフロー
  7. CDPを導入して最適なマーケティングをしよう

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?

CDPは「Customer Data Platform(カスタマーデータープラットフォーム)」の略称で、顧客情報の収集・統合を行うツールです。

CDPを導入すれば、既存顧客に関するデータを集め、一元管理し、そこから分析した結果をビジネスに活かすことが可能です。ここでは、CDPの役割やCDPが必要な理由を解説します。

CDPの3つの役割

CDPには、以下の3つの役割があります。

  • データ収集
  • データ統合
  • 収集・統合したデータの分析

既存顧客の購入履歴やアンケート情報などを保有していたとしても、データ形式や管理ツールが異なる状態では分析に手間がかかります。散らばっている情報を「顧客単位」で取りまとめることで、効率よく扱えるようになる点がCDPの特徴です。

また、CDPによって一元管理されたデータは、他の分析システムやマーケティングツールと連携することで、様々なマーケティング施策に活かしていけます。

CDPが必要な理由

近年、「One to Oneマーケティング」と呼ばれる個々に合わせたマーケティングが重要視されています。一人ひとりに最適なマーケティングを行うためにも、情報の収集や分析は欠かせません。

また、インターネットの普及によって顧客とのリアルな接点が減っているのも現状です。このような場合、顧客に合わせた接客をするのが難しくなるため、特にCDPを使った分析が重要になります。

CDPとDMPの違い

CDPとDMPは、いずれも顧客データを活用するためのツールです。DMPは「Data Management Platform(データマネジメントプラットフォーム)」の略称で、扱うデータの内容によってオープンDMPプライベートDMPの2種類に分けられます。

CDPとDMPの主な違いは次の3点です。

蓄積するデータの種類が異なる

CDPとDMPは、取り扱うデータの種類が異なります。各ツールに蓄積されるデータの違いは次の通りです。

ツールの種類 蓄積されるデータの例
CDP ・既存顧客の氏名、住所、メールアドレスなどの情報
・既存顧客の購買情報
・既存顧客のアンケート回答
・自社が運営するWebサイトの閲覧履歴など
オープンDMP 他社が運営するWebサイトを含む、様々な場所で収集されたCookie、IPアドレスなどの匿名データ
プライベートDMP ・既存顧客の購買情報
・自社が運営するWebサイトの閲覧履歴など

CDPとDMPはともに顧客の行動に関する情報が蓄積されますが、氏名やメールアドレスなど個人を特定できる情報はCDPのみで扱われます。

オープンDMPに蓄積されるデータはCookieやIPアドレスなどの匿名情報です。プライベートDMPでは既存顧客の行動履歴に関する情報が蓄積されます。

データ分析の方法が異なる

CDPのデータは各顧客の情報に紐づけられているため、購入者ごとや取引先ごとにデータを分析することが可能です。例えば、「特定の商品を購入した既存顧客は誰か」など、ユーザー単位の分析ができます。

一方、DMPのデータは属性単位で分析されることが一般的です。「あるカテゴリに興味があるユーザーが何人いるか」といった情報はDMPで分析できますが、そのユーザーが具体的に誰かまでは特定できません。

活用できる施策が異なる

CDPとDMPは蓄積されるデータの種類や分析方法が異なるため、活用方法にも違いがあります。各ツールが活用される主な施策は次の通りです。

ツールの種類 蓄積されるデータの例
CDP ・顧客の購買履歴をもとにしたおすすめ商品の提案
・休眠顧客へのDM発送
・顧客ごとにパーソナライズしたクーポンの発行
・カスタマーサポート対応時の履歴確認など
オープンDMP 属性を絞った広告配信
プライベートDMP ・既存顧客の行動履歴をもとにした商品企画
・有効性の高いマーケティング施策の立案

CDPは既存顧客の購買履歴を特定できるため、これまでの傾向をもとにしたおすすめ商品の提案などに活用できます。また、特定の条件にあてはまる既存顧客にメールや郵送でDMを送信したり、誕生日などパーソナルな情報をもとにクーポンを発行したりすることも可能です。

オープンDMPは、特定カテゴリのユーザーを対象としたオンライン広告を配信する際に活用されます。広告配信先をユーザー属性で絞り込めるため、高い精度で新規顧客を開拓することが可能です。

プライベートDMPでは、既存顧客をセグメントに分けて分析した情報をもとに、商品企画マーケティング施策が立案できます。

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CDPとMAの違い

MAは「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」の略で、見込み客の情報獲得から商談や契約につなげるまでの一連の流れを効率化できるツールです。CDPでデータを統合した上で顧客理解を深め、MAを使用して顧客へのアクションを行います。

このように、見込み客の情報を基に最適な提案をするためのマーケティング活動を自動化するのがMAです。CDPと組み合わせて利用されるシーンも多くあります。

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CDPとDWHの違い

DWHは「Data Ware House(データウェアハウス)」の略で、データを保管しておく倉庫のことです。データの収集と統合が行えるツールで、必要なデータを集めて形式を揃え、一括で管理できます。ただし、分析は行えません

一般的にDWHはBIツールなどと連携し、分析などを進めていきます。単体では分析ができず、あくまでもデータを貯めておくためのツールです。

一見、CDPにはDWHは同じような機能を持っているように見えますが、DWHはデータベースの機能に特化しているのに対して、CDPは「顧客データを統合して分析するためにデータを蓄積している」という目的の違いがあります。一般的に、CDPにはDWHの機能が含まれている場合が多いです。

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国内で利用されているCDPツール5選

CDPで扱えるデータの種類や分析方法は、ツールによってさまざまです。以下では、国内で利用されているCDPツールを5つ紹介します。

1. Treasure Data CDP

Treasure Data CDP.png
出典:Treasure Data

● オフライン情報も連携できる高機能なツール

トレジャーデータ株式会社が提供する「Treasure Data CDP」は、自社の顧客データやWebログ、SNSなどさまざまな情報を統合できます。また、データ統合後のセグメント化やスコアリングができる「オーディエンススタジオ」などの分析機能も備わっているCDPです。

コールセンターやPOSデータなどオフラインの情報も連携できるほか、AIによる機械学習機能が備わっているため、集計したデータを基にした分析を簡単に行うことが可能です。

解約が予想される既存顧客を抽出して予防策を講じる、購入確率の高い見込み顧客を見つけるなど、CDPを活用した施策が実行できます。

2. Customer Data Hub

Customer Data Hub.png
出典:Customer Data Hub

● 顧客データを安全に収集・統合・分析できる

「Customer Data Hub」は株式会社Tealiumが展開しているサービスで、顧客のプライバシーを守りつつ顧客データを安全に収集・統合できるツールです。他ツールと連携すれば、スムーズな分析もできるでしょう。さまざまなツールとシームレスに連携し、最適な施策を行えます。

Webサイトやモバイルアプリケーション、デバイスなど複数のデータをまとめて収集することも可能です。高機能なツールなので、幅広いマーケターにおすすめできます。

3. Sitecore CDP

Sitecore CDP.png
出典:Sitecore CDP

● 顧客データをリアルタイムで収集・分析する

「Sitecore CDP」は、株式会社Sitecoreが展開しているツールです。顧客データをリアルタイムで収集し情報の分析をサポートすることで、顧客体験を向上させてくれます。

あらゆるチャネルのクリック、検索、タップ、購買シグナルをとらえ、実用的なインサイトを獲得し、CV率のアップや売上の向上に貢献してくれるのも魅力です。

4. INTEGRAL-CORE

INTEGRAL-CORE.png
出典:INTEGRAL-CORE

● データのサイロ化を防ぎマーケティングDXを推進する

「INTEGRAL-CORE」は、日本初の米国CDP協会加盟企業が展開するツールです。デジタルデータが分散して保管されるサイロ化を防ぎ、顧客データの収集から分析までを一括して管理できます。

ツールの導入により、マーケティングDXの推進も望めるでしょう。ノーコードで顧客データを統合でき、サポート環境も充実しているのが特徴です。

5. Experience Platform

Experience Platform.png
出典:Experience Platform

● 顧客体験を向上するのに便利なツール

「Experience Platform」は、動画編集ソフトで有名なAdobeが展開しているツールです。さまざまな情報源からデータを収集し、分析をサポートすることで顧客体験を向上します。

Adobe Experience Platform上に構築された3つの強力なアプリケーションを使用すれば、カスタマージャーニーの分析や最適化なども可能です。

Adobeは、ほかにもMAツールやカスタマージャーニーに関するツールなども展開しており、組み合わせて使用することでより良いマーケティングが行えます。

CDPを導入する際のフロー

ここでは、CDPを導入する際のフローについて解説します。

❶導入する目的を明確にする

まずは、導入する目的を明確にしましょう。どんなデータを収集し、収集したデータで何をしたいのかを考えます。ここがしっかり決まっていないと、導入後の動きや流れが曖昧になってしまうため注意が必要です。目的には、以下のようなものがあります。

  • アップセルやクロスセル
  • 新規顧客の獲得
  • 商品の改善

ツールを選ぶ際は目的とともに、コストパフォーマンスやサポート体制などの面について、自社の希望と合っているか確認しましょう。

❷保持しているデータの把握と整理

次に、保持しているデータの把握と整理を行います。自社で保持しているデータにはどんなものがあるかをまとめ、整理しておくことでツール導入がスムーズになるでしょう。その際、ロードマップの作成をしておくとスムーズに進められます。

❸ 既存システムやツールとの連携の可否を確認

データの把握と整理ができたら、次に既存システムやツールとの連携の可否について確認しましょう。既存システムやツールとの連携ができなければ、CDPツールの導入ハードルが上がってしまいます。

具体的には、以下のようなツールとの連携の可否を確認してください。

  • CRMツール
  • BIツール
  • MAツール
  • メール配信ツール
  • Web接客ツール
  • ECツール

❹CDPを選定し導入する

最後に、CDPツールを選定して導入します。最初に立てた目標や目的を達成できる機能があるかも重要なポイントです。

また、導入後に社内でどのように運用していくのかなども考えながら選ぶと、よりスムーズでしょう。

CDPを導入して最適なマーケティングをしよう

CDPを活用することで、自社内で散らばっている顧客情報を統合・一元管理し、営業やマーケティング施策の精度を高められます。

導入する際は、自社がどんなデータを保持しているかを把握して整理した上で、 既存のシステムやツールとの連携の可否を確認し、自社の目的に合ったCDPを選んでいきましょう。

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