2016年1月14日~16日の3日間、東京ビッグサイトにてウェアラブルデバイス専門展「ウェアラブルEXPO2016」開催されています。
国内外のウェアラブル関連企業約210社が出展した今回のEXPOは、特にBtoB向けウェアラブル端末が多く、BtoB領域ではウェアラブルの実用化が急速に進んでいることがわかる出展内容でした。

今回は、ウェアラブルEXPO2016の出展企業の傾向から、BtoB向けウェアラブルの今後を見てみましょう。

ウェアラブルEXPO2016とは?

リードエクシビジョンが主催する世界最大級のウェアラブルの専門展で、今回で2回目の開催となります。
ウェアラブル端末はもちろんのこと、ウェアラブル関連部品、ビジネスソリューションツール、AR/VRなど、ウェアラブルに関するあらゆるジャンルが網羅されており、ウェアラブル端末の導入を考える企業にとってあらゆる選択肢を提示できる空間となっていました。

第1回は2015年1月に開催されており、出店数は100社でした。
今回は倍近い210社が出展しており、ウェアラブル業界の盛況ぶりが窺えます。

以下より、カテゴリ別にいくつかの出展品をご紹介します。

スマートグラス

2,3年前は「Google glass」などの一般ユーザー向けスマートグラスが話題となりましたが、プライバシーやセキュリティの問題上、まだ一般向けに開発するのは難しいのが現状です。
一方で、工場などでの作業現場の負担を軽減するための工業用スマートグラスの開発は進んでおり、実用性の高い端末が揃いつつあります。

作業現場におけるスマートグラスへのニーズはかなり高いようで、例えばタブレットを持ちながら作業していた場合、タブレットがスマートグラスに置き換わると両手が自由になるため、それだけで大幅な作業効率改善が期待できます。
 
 
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TOSHIBA製のスマートグラス「Wearvue」は、工場でのピッキング等、現場でのあらゆる作業負担を軽減することを目的に開発されました。
重量が50gと大変軽く、デザインも一般的なメガネとほとんど変わらないため、装着時のストレスをほとんど感じさせない仕様となっています。

市販のカメラやマイクロフォンと連携できるため、あらゆるシーンで応用可能です。
 
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EPSONは2011年に一般消費者向けのスマートグラス「MOVERIO」を発売しており、昨年には工業用に特化した「MOVERIO Pro」を発売しています。
「MOVERIO Pro」はメガネのような形状ではあるものの、耳にかけるのではなく頭に装着する仕様になっており、安定性を確保しながらメガネをかけている方でも違和感なく利用できます。

防水・防じん対応で耐久性も向上し、現場での活用を徹底して考慮した機能が凝縮されています。
 
メガネメーカーであるメガネスーパーも、スマートグラス市場に参入しています。
自動情報表示(特定エリアに入るとディスプレイに自動上映される等)やナビゲーション機能、リアルタイム翻訳機能など、観光地や美術館、海外とのシームレスなコミュニケーションにおいての活用が期待されます。

また、メガネ部分とデバイス機能を分離させることができるというメガネメーカーならではの設計が施されています。

ブレスレット型

腕に巻き付けるウェアラブルデバイスはスマートウォッチだけではありません。
ヘルスケアとITテクノロジーの融合が進む中、健康管理用のブレスレット型ウェアラブル端末(フィットネストラッカー)が続々と開発・リリースされています。
 
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JAWBONE社製のフィットネストラッカー「UP3」は、見た目は非常にシンプルで、ウェアラブル端末には見えません。
腕に巻き付けておくだけで、活動・睡眠・食事・心拍数など健康管理のためのあらゆるデータを記録できます。記録データはスマホアプリから閲覧可能です。
重量は20gと非常に軽く、最大で7日間の連続使用が可能です。
 
 
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時計のようなデザインの「iBODY24」は、世界初のモーション認知技術を搭載したフィットネストラッカーです。
モーション認知技術の搭載により、身につけたユーザーは今フィットネス中なのか、日常生活中なのかを自動認識し、より正確なカロリー計算が可能となりました。

衣服型デバイス

ウェアラブルデバイスの中でも特に注目されている分野が「衣服型」です。
衣服の繊維自体にデバイスを織り込むものや、衣服の一部にデバイスを装着するものもあります。

身に付けることを前提とした場合、最も違和感なく身に付けられるであろう衣服型は、今後はスポーツや医療など幅広い分野での活用が期待されます。
 
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「着る暖房」というコンセプトで既に発売されているヴィガール社製の衣服型ウェアラブルデバイス「HeatOn」は、ジャケットにヒーターが突いており、ジャケット表面に設置されたスイッチを押すとヒーターが作動し、15秒ほどでジャケット内を温めます。
高い防水性と保温性を持つため、過酷な環境でも問題なく利用できます。
 
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よく見ると、包帯の中央部分に波上の繊維が組み込まれているのがわかります。

その他

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包帯ですらウェアラブルデバイスになるようです。
POSH WELLNESS LABORATORY株式会社が出店していた包帯型のウェアラブルデバイスは、巻きつけた箇所の液体漏れを検知するだけでなく、その液体の種類(血液、生理食塩水など)まで識別することができます。

こちらは一見普通のベルトのようですが、実は電子メジャーとしての機能が搭載されています。
普通のベルトと同じように衣服の上から装着するだけで形状測定や面積測定、2D、3Dスキャンできるため、日々の体型管理を自然と行えるようになります。

まとめ

今回、東京ビッグサイトの一画で開催された「ウェアラブルEXPO」の会場には大勢の来場者が押し寄せており、多くの企業が採用を検討している段階に入っている様子が見てとれました。

ウェアラブルデバイスはもう未来のツールではなく、あらゆる分野で実用的なフェーズに入っています。
現状はBtoB向け端末の進化が目覚ましいですが、一般消費者向けのウェアラブルデバイスの普及もほぼ確実でしょう。
スマホの普及により、ユーザーの消費行動に大きな変化が起こりましたが、ウェアラブルが普及したら更に変化が起こるはずです。

ユーザーの生活にどのような変化が起こるのかをできるだけ早く察知するためにも、ウェアラブルの動向を定期的にチェックするようにしましょう。