戦略的にソーシャルメディアを使うことを誰もしていなかった

**西井:**経験者が少なかったということもあって、現場のスキルレベルが低いところからスタートしましたが、運用しながらPDCAを回しながら進んだ、という感じですか?

**飯髙:**まさにそうですね。最初はうまくいかないこともありました。僕は、「辞める判断を正しく持つ」というのを大事にしています。

例えば、施策に対しての期待値にあと少し届かなかったという結果なら、それは言い訳なしに辞めるってことです。そうしていく中で、どんどんみんなのレベルが上がっていくのがわかりました。
話は変わってしまうのですが、半年で100万PVのメディアにするというのを約束していたので、そこは不安でした。当時ferretには会員が24万人ほどいたので、会社はこれだけ会員がいるからなんとかなるだろうと思っていました。でも、僕は楽観視していなくて。

リリース当時、会員はいるけれどもトラフィックが増えなかったのはきつかったです。

**西井:**なんでトラフィックが増えなかったんですか?

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**飯髙:**会員はいるのに、メルマガからトラフィックを獲得するためのことを、しっかり考えてなかったんです。例えば、会員がどういうコンテンツに興味があるとか、そういう目線で見ることができていなかったんです。
また、もともとはツール利用を目的とした会員に記事コンテンツを提供しても、反応するとは言い切れないですし、そもそも使ってる動機はツールなので、簡単にトラフィックが増えることはない訳です。

同様に、戦略的にソーシャルメディアからトラフィックを獲得することも、考えられてなかったかなと。単純なことですが、タイトルの付け方であったり、FacebookのOGPの画像とか、どういうものであればユーザーの目が止まるかという視点が足りませんでした。

基本的なことですが、そういったことをちゃんとやれていないなというのと、戦略的にソーシャルメディアを使うということを誰もやっていませんでした。なので、かなり最初は乖離がありましたね。

**西井:**でも、最初辛かったからうまくいったのではないでしょうか。

**飯髙:**それはあると思っています。
僕個人の話になってしまいますが、これまでに5社で働きましたが、いつも傍観者的な感じでした。それが約この2年間は、両足突っ込まざるを得ない状況だった。ferretだけのことを考えていられたというのが大きかったと思います。

**西井:**逆に、辛い中からうまくいった理由というのはなんでしょうか?

**飯髙:**一番大きいのは、メンバーが同じ方向を向いたことですね。最初は半信半疑なんですけど、例えばメディアをやったからって、オーガニックからのトラフィックって伸びないじゃないですか。

でも、僕はこれまでに伸びることを肌で感じていたので。だから、正しいことをしっかりやれば絶対上がってくるとわかっていました。リリースしてうまく回り始めると、楽しくなってくるじゃないですか。
その想いが一気に同じ方向に向いたというのが、ミーティングをしてわかったんです。その瞬間、これは伸びるなと思いました。

ネイティブ広告の考え方はもっと正しくなっていく

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**西井:**とりあえず当初の目標はクリアできたということになりますが、次のステップの課題やゴールはありますか?

**飯髙:**メディアとして成長させるという軸と、マネタイズをするという2軸があります。
メディア成長という軸では、細かくはお話できないのですが、去年の倍以上のサイトパフォーマンスにすること。

マネタイズという軸では、ferretのなかで記事広告はやりますが、月10本以上はやらないと決めています。絶対にメディアを邪魔しないというルールを決めているので。これだと、売上が限られてしまうので、アライアンスや付随するサービスがあったりします。
また、今後もそういったサービスをリリースしていく予定です。

**西井:**最終的には、コンテンツ自体がすごく重要になってくるので、コンテンツに意味がなくなるとユーザーもついてこなくなります。だから、絶対メディアとしての立ち位置をしっかり持って行かないと、何でもありになっちゃいますもんね。

**飯髙:**これから、ネイティブ広告の考え方はもっと正しくなっていくと思っています。単純にトラフィックボリュームがある会社に出すからいくら払うというのではなく、内容であったり、どういうユーザーに向けているのかという広告のほうが価値がある。
ここはもっと理解されるんじゃないかなと思っています。なので僕たちも、1本1本ちゃんとやろうというのは、すごく意識しています。