ビジネスマンにとって、全くストレスを溜めずに働くことはほぼ不可能でしょう。

人と関わる以上、自分の考え通りにいかないことは当たり前で、時には理不尽な状況に遭遇することもあるでしょう。
ストレスを感じるのは仕方ないにしても、生じたストレスを溜め込まずにうまく処理することができれば、業務効率に大きな差が出てくるかもしれません。

今回は、ストレスをコントロールする技術「ストレス・コーピング」について解説します。

社会の中で生きていく以上、ストレスから逃れられない

マクロミルが20~59歳の働く男女1000名を対象に行った「ストレス実態調査」(2014年)によると、ストレスを感じているのは全体の84%にのぼり、そのうち約半数が「ほぼ毎日」ストレスを感じると回答しています。

参考
~ストレスチェック義務化法案にともなう~働く男女1,000人ストレス実態調査ストレスを感じている会社員84%、原因は「仕事内容、職場の人間関係」がトップ。ストレスを感じる頻度は「ほぼ毎日」|マクロミル

ストレス社会と呼ばれる現代、ほぼ全てのビジネスマンが何かしらのストレスを抱えながら仕事に取り組むことが常態化しています。
このような状況を改善するために、2015年12月1日、労働安全衛生法に基づいた「ストレスチェック制度」が施行されています。

参考
改正労働安全衛生法のポイント(ストレスチェック制度関連)

企業側でのケアも必要ではありますが、自分のストレスを一番よく理解しているのは自分であり、解消するためには自分のマインドセットを変えるのが一番です。

ストレスをコントロールする「ストレス・コーピング」とは?

「ストレス・コーピング」とは、その名の通り「ストレス」を「Cope(処理)」することで、アメリカの心理学者ラザルス博士が考案した心理学用語です。
単に「コーピング」と呼ばれることもあります。

ストレスマネジメントの1手段であるストレス・コーピングは、*「問題焦点型コーピング」「情動焦点型コーピング」*の2種類に分けられます。

問題焦点型コーピング

ストレスの元となっている問題と向き合い、解消するために能動的に働きかけるのが「問題焦点型コーピング」です。
例えば、業務の負荷が大きすぎる場合は上司に相談して仕事を分散させてもらう、苦手な人がストレスの元になっている場合は、本人に向けて正直に話して改善してもらうようとする行動等が該当します。

情動焦点型コーピング

ストレスの元ではなく、ストレスを感じている自分自身のマインドを変えることでストレスに対処するのが「情動焦点型」です。
苦手な人がいる場合は、本人に訴えかけるのではなく、自分自身の考え方や受け取り方を変えることで、ストレスと受け取らないようにします。
また、アルコールを飲む、運動で体を動かすなど、ストレスの元とは関連性の無いポイントで解消を図るのも情動焦点型に含まれます。

ストレスの元に働きかけたところで変化する見込みが無い場合は、情動焦点型コーピングを実践すると良いでしょう。

情動焦点型コーピングを実践する際の注意点

情動焦点型コーピングは自分自身のマインドを変えればいいので、解決策としては一番簡単で手早くできるものと思われるかもしれませんが、これまで培ってきて自分自身の価値観を見直すことになるため、案外難しいものです。
自分で「これはストレスじゃない」と思い込むことはできますが、それでは根本的な解決にはなりません。

また、アルコールの摂取や運動は一時的な気晴らしにはなるものの、根本的な解決には至らない点にも注意です。