便利なWebサービスは数多く存在しますが、生産性をあげるために押さえておきたいサービスのひとつが「オンラインストレージサービス」です。国内外でさまざまなものが提供されており、情報共有ツールとして導入している企業も増加しています。

参考:
[データは語る]ファイルサーバー型オンラインストレージを利用している中堅・中小企業は約37%―ノークリサーチ|ITpro

便利な機能が多いオンラインストレージサービスは、利用にあたり多くのメリットがあります。
その一方でデメリット(注意点)があることも事実です。

今回はオンラインストレージサービスを利用するにあたってのメリットとデメリットをご紹介します。
より業務を効率的に進めるためにも、これらをよく理解した上での導入をオススメします。

オンラインストレージとは

オンラインストレージとは、インターネット環境を利用してファイルなどのデータを保管する容量を貸し出すサービスのことです。
インターネット環境があれば、複数のデバイス・環境・ユーザー間でデータの閲覧・アップロードが可能ですので、情報の共有スペースとしても活用されています。
インターネット上で使用できるものや、専用のソフトやアプリをインストールして使用するものがあります。

企業が利用するメリット

1.初心者でも使用しやすい

操作方法は利用するサービスによって異なりますが、基本的にはファイルをドラッグ&ドロップするだけでアップロードできます。
パソコンを操作するのと変わらない操作性なので、初めての方でも問題なく利用できるでしょう。

2.時間・場所を選ばない

インターネット環境さえあれば、いつでもどこでもサービスを利用することができます。基本的にマルチデバイスに対応したものが多いため、パソコンだけではなくタブレットやスマートフォンといったモバイル端末からも利用可能です。

例えば、紙の資料を持たずとも、オンラインストレージからファイルをダウンロードすれば営業先や外出先であってもスムーズに情報の閲覧や確認を行うことができます。

3.一元管理が可能

オンラインストレージサービスが普及するまでは、個々のパソコンの管理ファイルでデータの管理をしていました。
そのため、どこに何のデータがあるのかをすべて把握するためには時間と手間がかかる場合がありました。
オンラインストレージサービスでは、すべてのファイルをサーバ上に一元管理することができますので、ファイルを探す手間を簡略化することができます。

4.自動バックアップ

多くのオンラインストレージサービスでは、インターネット環境下でのファイルのバックアップを自動で行っています。
保存ボタンをクリックし忘れてしまって再度作成しなおす、という手間が省けるため、データのバックアップとしても活用可能です。

ただし、サービスによっては自動バックアップ機能がない場合がありますので事前の確認を怠らないようにしましょう。

企業が利用する上でのデメリット・注意点

1.障害時の対応が難しい

オンラインストレージサービスは、外部である提供会社が管理・運用をしているからこそ、万が一サービスに障害が発生した場合は提供会社の対応を待つほかありません。さらに、最悪の場合、提供元が倒産してしまったらデータの復旧には膨大な時間と手間がかかる可能性もあります。

対策法としては、万が一データが消えてしまった場合を考慮して管理者の方などがローカルでもデータを保存しておくこと。
少し手間のように感じますが、これだけでサービスに障害が発生した場合でも落ち着いて対応することができます。

2.セキュリティ面

オンラインストレージサービスでは、昨今のデータ流出問題などを受けて非常に強固なセキュリティシステムが採用されています。しかし、だからと言って完全に安心できるわけではありません。

なぜなら、どんなに強固なセキュリティでも突破してしまう悪意のある人間や偶発的・故意にかかわらず社員による情報漏洩があるからです。安全性の高いサービスを利用することはもちろんですが、社外秘事項や個人情報といった機密性が高い情報に関しては管理方法を分けたほうが良い場合もあります。

以下によれば情報漏洩の約80%が社員の過失や故意の犯行である場合が多いとされています。

参考:
原因の80%は内側にアリ|セコム*(2020年8月5日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*

オンラインストレージサービスは操作が簡単である反面、誤ってファイルを共有してしまうといったミスが起きる可能性があります。IDとパスワードさえあれば誰でもどこからでもアクセスすることができますので、まずは各社員の意識を高めておく必要があります。退職者のIDとパスワードの破棄、不正アクセスからの情報漏洩に注意しましょう。

さらに、無料版のオンラインストレージサービスは広告収入によって運営されているものもあります。メールやデータの内容を自動収集して分析しているケースもありますので、利用規約には穴があくほど目を通しておくことをオススメします。

オススメのオンラインストレージツール3選

1.Dropbox Business

Dropbox_Business.png
https://www.dropbox.com/ja/business

利用料金:各ユーザーごとに1,500円/月
30日間の無料トライアルあり
容量:無制限

Dropboxは、オンラインストレージサービスとして世界中で5億人を超えるユーザーを抱える世界最大規模のサービスです。無料プランの場合は、2GBからの利用となります。友人を招待して利用してもらえば1人ごとに500MB、最大で16GBまで無料で利用可能。16GB以上を利用する場合は、Proプランへアップグレードする必要があります。

公式アプリをパソコンにインストールするだけで生成される専用のフォルダに、ドラッグ&ドロップするだけでクラウド上にアップロードされる手軽さが最大の特徴です。他のサービスとの連携も可能で、例えばAdobeやMicrosoft関連のファイルをフォルダの中でプレビューすることもできます。

Dropbox Businessは企業専用のビジネスプランで、最低でも3人分のライセンスからの利用となります。Dropboxを企業で使用する場合は、こちらのプランを使用することをオススメします。

Dropbox Businessでは、管理者が必須となります。
管理者はメンバーの管理やファイルの公開制限などの詳細な設定が可能です。
社内外で情報を共有する際に閲覧制限をかけたり、有効期限を設ける・パスワードを設定するなど、細かい設定にも対応しています。
また、デバイスを紛失したり盗難された場合でも、遠隔操作でファイルを削除することも可能です。
さらに、管理者専用の監査ログでは、誰が、いつ、どのファイルのやり取りをしたのかというログも閲覧できますので情報漏洩を防ぐひとつの手段として活用できます。

2.Google Drive for Work

Google_Drive_for_Work.png
https://apps.google.com/driveforwork/?utm_medium=et&utm_source=aboutdrive&utm_campaign=en&utm_content=consnav

利用料金:各ユーザーあたり1,200円/月
30日間の無料トライアルあり
容量:無制限(ただし5ユーザー未満のアカウントでは各ユーザーあたり1TBまでの利用)

Googleが提供しているオンラインストレージサービスです。
Google+やGoogle Docsなど、さまざまなGoogleのサービスと連携させることが可能です。
無料プランの場合は、15GBまで利用することができます。
15GB以上を利用する場合は、使用容量ごとに月額料金が変更になります。

Google Drive for Workはビジネス利用をする方向けのプランです。
ビジネスで使用する、WordやExcel、PDF、ムービーなどありとあらゆるファイルが、パソコンやスマートフォン、タブレット端末の間で同期されます。
また、Google Driveを利用していないユーザーともファイルの共有が可能です。

アクティビティの更新情報は自動記録されますので、いつ誰がファイルの編集を行ったのか最新の状況が把握できます。
こちらのサービスもDropboxと同様に、変更履歴からファイルの復元も可能です。
さらに、アカウントの管理者は権限の設定はもちろん、高度な監査とレポート機能も搭載されています。各ユーザーごとのファイル数やGmailのメッセージ数、使用データ量などが一目瞭然。分析情報を得ることもできますので情報漏洩のリスクを軽減することにつながります。

Google Drive for Workを利用している方なら、Google Apps for Workを利用できる点も大きな特徴です。
これは、フォームやカレンダー、ハングアウトなどのビジネスで利用するツールを備えたワンストップソリューションです。
独自ドメインの入った会社名メールが使用できたり、24時間365日日本語によるサポート体制が整っていたりと、ビジネスツールとして申し分ない機能が満載です。

3.OneDrive for Business

OneDrive_for_Business.png
https://onedrive.live.com/about/ja-JP/business/

利用料金:各ユーザーあたり540円〜/月
無料トライアルあり
容量:1TB〜

Microsoftが提供しているオンラインストレージサービスです。
ビジネスツールとして古くから世界中で使用されてきたWordやExcelなどを提供している企業ですので、安心してデータを預けられます。
個人使用の無料プランでは、5GBまで利用することができ、5GB以上を利用する場合は、1ヶ月あたり1790円で50GBを購入する必要があります。

OneDrive for Businessはビジネス利用を前提としたサービスです。
無料でインストールできる同期アプリをインストールしておくとローカルとも同期できますので、万が一サーバに障害が発生した場合などでも慌てることはありません。
個人用のOneDriveと関連づけることはできませんが、ファイルのコピーや移動は可能です。

こちらのサービスも先にご紹介した2つのサービスと同様に、必要におい時て古いバージョンの表示や復元もできます。

アップロードしたファイルは、管理者が公開範囲を設定することで、相手を限定してフォルダー公開をしたり完全に非公開にしたりなど共有範囲の詳細設定にも柔軟に対応。
また、各フォルダーにはURLがついていますので、FacebookやTwitterなど各SNSで情報拡散するなど、活用範囲は幅広いです。

個人用のOneDriveではフォルダや複数ファイルをダウンロードするとzipで圧縮してくれますが、OneDrive for Businessではまとめてダウンロードすることはできませんので注意してください。
複数ファイルのアップロードは、GoogleChromeからのみどちらでも可能です。

今回ご紹介した3つのサービスはどれもコストの低いものですが、その中でもOneDrive for Businessは非常に魅力的な価格です。
これから初めてオンラインストレージサービスの導入を検討している方は、まずは低価格のこちらのサービスから始めてみてもよいでしょう。

まとめ

端末とインターネット環境があればいつでもどこでも情報を確認できるオンラインストレージサービスは、今回ご紹介したように多くのメリットがあります、
まだ利用されていない方は導入を検討してみましょう。

メリットだけでなく、デメリットも把握してくことでリスクはある程度回避できます。
本記事を参考に、どのようなオンラインストレージサービスが合っているのかを検討してみてはいかがでしょうか。