導入前に知っておきたい! シナリオ設計で押さえるべき2つのポイント

RyuRyumallの事例からもわかるように、MA配信はユーザーの行動に合わせた配信ができる施策だからこそ、どんな「瞬間的なニーズ」を捉えるのか、というシナリオ設計が非常に重要となる。では、シナリオ設計ではどのようなポイントを押さえるべきなのだろうか。

まず忘れてはいけないことは「シナリオはユーザーのためにつくるもの」ということだ。配信対象者や配信時刻、配信のトリガー、他シナリオとの優先順位付けなど、MA配信にはさまざまな変動要素が存在する。

もちろんこれらの緻密な設計も重要ではあるものの、ユーザーを正しく理解できていなければ、適切なシナリオを検討することはできない。企業が言いたいことを発信するのではなく、ユーザーのためになる情報を発信するために、必ず押さえるべき基本的なポイントが下記の2つだ。

ユーザーの行動ステップを時系列で洗い出す

ユーザーがサイトに訪れた際、購入に至るまでには複数の行動ステップが存在する。多くの場合、「サイト来訪」「商品購入」という粒度で指標を設けられるが、その間に存在する「商品カテゴリページの選択」「商品詳細ページの閲覧」「商品のカート追加」などの行動を捉えることが重要だ。

なるべく細かい粒度で行動ステップを洗い出すことができると、ユーザーのニーズを丁寧に捉えた適切なシナリオを描きやすくなるだろう。

行動ステップ別に、どんな情報が喜んでもらえるかを想像する

どのような情報を届けるとユーザーの期待に応えたり、迷いを解消したりできるのか、①で洗い出した行動ステップ別に、ユーザーの目線に立って考えることが大切だ。

例えば、アウターのカテゴリページ閲覧後にサイトを離脱したユーザーには「アウターの人気商品や新着商品」「アウター限定クーポン」といった情報を配信することで、「いいアウターがあったら買ってもいいかも」「安くなるタイミングで買おうかな」というニーズを捉え、購入の再検討に結びつけられるかもしれない。

これら2つのポイントを押さえ、ユーザーを起点に考えることが、適切なシナリオを設計し、成果の改善に近づくことになる。そして、これらの実践は一度きりではなく、何度も見直すこともおすすめしたい。

前述したRyuRyumallの取り組みにおいても、シナリオを再設計したことにより、大幅な成果改善を実現することができた例がある。当初は、商品詳細ページの閲覧後にサイトを離脱したユーザーに対して、「閲覧商品に紐付いたおすすめ商品」に関する情報を配信していた。

しかし、その情報を見て必ずしもユーザーが購入に至るわけではなかった。そこで、真にユーザーが求めている情報はなにかを改めて見直し、「実際にユーザーが閲覧した商品」のリマインドへと情報を切り替えた。

【画像③】20211203_RyuRyumall事例_寄稿記事.png

その結果、変更前と比較して、該当シナリオの1日あたりの売上が972%増となり、大幅な成果改善に成功。そのカテゴリの商品が欲しいのか、その商品が欲しいのか、そのちょっとしたニーズの差を捉えたことが功を奏したと言えるだろう。

ただ単純にMA配信を導入すればいいわけではなく、いかにユーザー目線に立ってシナリオを設計できるかが、LINE公式アカウント運用を成功へと導く鍵となるのだ。

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