消費者の視聴行動や購買行動に関する市場調査を行うニールセンの発表によると、2016年4月の時点で国内利用者数が1,092万人。

18歳から34歳の方、特に女性に支持されている画像・動画を投稿できるSNS「インスタグラム」は、アクティブユーザーも多く、今では全世界で月間5億人を超える人が写真を投稿しています。

最近では年配の方にも徐々に浸透し始めていて、マーケティングの一環としてインスタグラムを活用する企業が増えてきています。

今回は実践的ネットプロモーションのすゝめと題し、インスタグラムを活用して収益300%UPを達成した企業事例をご紹介します。

現在インスタグラムを使ったマーケティング施策をされている方、検討されている方、ぜひ一読ください。
  
参考
インスタグラム【instagram】/ferretマーケティング用語辞典
「Instagram」アプリの利用者数が2016年4月に1,000万人を突破 ~ニールセン、スマートフォンアプリの利用動向を発表~
  

5つの基本項目!インスタグラムについて "おさらい"

インスタグラムは、実に1日あたり平均9,500万もの投稿があり、42億の「いいね!」がインターネット上で繰り広げられています。特にオシャレに敏感な若者がメインユーザーで、今後もアクティブユーザー数は増え続けると見られています。

ここで、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないですが、今一度インスタグラムについておさらいします。

下記は、押さえておきたいインスタグラムの基本5項目です。

インスタグラムの基本5項目

・ ユーザーの多くは、情報を探すためにインスタグラムを利用しているわけではない

・ ユーザーの自発的な「共感」を呼び、関係性を深めるコンテンツが求められている

・ 投稿キャンペーンを企画した場合、テーマ(自社の商品を使った写真)を掲げて、ユーザーから写真を募集することで商品の認知度拡大やブランディングにつながる。また参加者確保や露出効果のためのハッシュタグ(#)を利用する

・ 「誰に向けて」「何を」「どう伝えるか」アカウントの軸となるテーマを決める

・ ほかのSNSとの連携では、Twitterは情報拡散力、ゆるさ親しみやすさ、Facebookは情報の信頼性、ターゲットを掴んだマーケティングが特徴であることをよく理解しておく

  
以上のようにインスタグラムは写真を共有するSNSですが、ただ単に「キレイな写真」「可愛い写真」を投稿しても成果には結びつきません。目的とターゲットを明確にして、インスタグラムユーザーに受け入れられるコンテンツを戦略的に作らなければ無駄な投資で終わってしまうでしょう。

そこで、ここからはインスタグラムの基礎はしっかりと理解している、Web担当者、マーケティング担当者に対して、さらに一歩踏み込んだ実践的な手法をご紹介します。

プロモーション、ブランディング、ファンとのエンゲージメント強化など、インスタグラムのアカウント運用からキャンペーンの実施方法、広告の出稿方法等という観点から「コンラッドホテル」やニューヨークにある人気レストラン「Comodo」、「American Eagle Outfitters」の事例をご紹介します。そのほか、飲食業を営むF社が同様の施策により、収益を300%UPさせた事例についても説明します。

インスタグラムを上手に使って成果を出そう!収益増を目指そう!

1. 投稿をコンバージョンにつなげる具体例

◆コンラッドホテルのインスタグラムアカウント

こちらは、コンラッドホテルが始めたのが、ホテルのインスタグラムアカウントからホテルの専用ページリンクし、宿泊予約ができるというサービスです。

コンラッドホテルのインスタグラムアカウントでは、世界各国に展開するホテルとその周辺観光地の写真を投稿しており、気に入った写真があればユーザーは専用ページへ移動して、予約ができるしくみを提供しています。
  
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専用ページにもインスタグラムアカウントと同じ写真が掲載されていて、その写真をクリックするとすぐにホテルを予約できる手軽さが売りになっています。

2015年2月のサービス開始時点で、日本のほか、バリや中国、イギリス、アメリカなど世界24ヵ国のホテルでサービスを提供。インスタグラムの写真を予約に直接結び付けるプロモーションであると同時に、顧客の利便性アップにもつながる、ユニークな取り組みです。
  

2. 店舗に訪れた顧客へファンの投稿を見せ成功している具体例

ニューヨークにある人気レストラン「Comodo」のお店にあるメニューには、「#COMODOMENU ON INSTAGRAM」との記載があります。

これはハッシュタグを活用して、ファンが投稿した料理の写真をインスタグラム上でお店のメニューに仕立て上げるプロモーションです。
  
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お店を訪れた人がメニューに書かれた「#COMODOMENU」の文字をハッシュタグ検索すると、過去に訪れた人が投稿した写真を見られる仕組みです。初めて店を訪れた人でも、料理の写真をその場で調べて、気になった料理を注文できるユニークな仕組みでお客様に喜ばれています。

この取り組みはメディアでも話題となり、多くのユーザーがインスタグラムでレストランの写真を見ることにもつながりました。

「今にも食べたくなる」「手にとってみたくなる」「今すぐ行ってみたくなる」ような質の高い写真が人気を集めるインスタグラムの特徴を上手く利用し、ロイヤルティ育成とブランディングを両立させた取り組みです。
  

3. O2Oイベントを企画し来店促進につなげている具体例

インスタグラムは、O2Oの手段としても注目されています。

O2OとはOnline to Offlineの略で、ネットとリアルをつなぐマーケティング概念です。
  
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インスタグラムは写真の投稿によってファンとのコミュニケーションが図れること、ハッシュタグによって拡散する文化が根付いていることから、O2Oにも活用できます。

「American Eagle Outfitters」は、2015年にO2O施策として「AEOラッピングトレインキャンペーン on Instagram」を実施しました。

街中を走行中の「AEOラッピングトレイン」をファンが撮影し、ハッシュタグ「#AEOTRAIN」を付けてインスタグラムに投稿して店舗のスタッフに電車の写真を投稿した画面を見せると、先着順で洋服をプレゼントするというキャンペーンです。

このキャンペーンは、その場で写真を撮ってハッシュタグを付けて投稿するだけの「参加ハードルの低さ」が特徴で、ユーザーが撮影したくなるような素材を用意したこと、店頭ですぐにインセンティブを入手できるようにしたことで、多くのユーザーの参加を促しました。
  
  
以下は、同社のFacebookでの宣伝投稿です。

ほかのSNSも利用してイベント告知することで、さらにキャンペーンを盛り上げて多くの参加者を獲得した成功事例です。活用事例の中でニューヨークにある人気レストラン「Comodo」が行ったメニュープロモーションの取組みについてさらに深堀します。

このプロモーションに適している企業は最近様々な料理やドリンクを出したり、新業態のお店が増えてきている飲食業界の中で特にリピーターのお客様が減っているという課題に直面しているF店について取り上げてみたいと思います。

そのF店が抱えている課題は次のとおりです。

F店が抱えている課題

・ 料理メニューなど他店との差別化に悩んでいる
・ お客様のニーズが多様化していて、どんな料理を提供していいのかわからない
・ 若者のお酒離れをなんとかしたい
・ 外国人定員を雇用しているが接客が不慣れ

  
そこでF店はインスタグラムを活用して以下の施策を実施しました。
  

インスタグラムを活用した施策内容

1. リアルな告知として店前のポスターやテーブル上のポップなどで、来店したお客様に注文した料理の写真をインスタグラムでハッシュタグ#◎◎◎付きで投稿してもらうキャンペーンを定常的に実施。そのハッシュタグで検索すると過去に訪れた人の投稿写真が見られ、初めて来店されたお客様でも何が人気料理なのかが直感的にわかる仕組みを取り入れた。

2. 日々の運用に際して、コンテンツカレンダーを作成して、定番メニュー、お酒によって合う料理特集、新料理などの投稿を計画的に実施。
1日 2日 3日 4日
肉料理      鍋料理      白ワインと牡蠣  赤ワインとステーキ
5日 6日 7日 8日
煮込み料理   日本酒とイカ料理 焼き魚      ハイボールと燻製
3. 投稿ルールなど運用ガイドラインを作成して、投稿頻度やトーン&マナー、ハッシュタグの使用、画像の加工規定などの観点から定期的にチェックを実施

4. PDCAサイクルを回すため、月に1回ほど投稿のエンゲージメントを評価し、短期的なKPIを見直し投稿に反映させる。

以上のようなインスタグラムを活用した施策を実施しているF店では、お客様が撮影した料理写真を話題に盛り上がったり、お客様同士のコミュニケーションが生まれたりすることでF店のインスタグラムアカウントのフォロワーを一気に増やすことに成功しました。

インスタグラムをブランディングに役立てたことで、リピーターのお客様も順調に増えて、たった3、4ヵ月で収益が300%UPにつながりました。
  

まとめ

以上となります。

今回は、「実践的ネットプロモーションのすゝめ」と題してインスタグラムの上手な活用方法をお送りして気ました。

インスタグラムの特性を理解して、日々の投稿を継続的に行うだけで、先述のように効果を出すことも可能です。もちろん、例でご紹介した企業のように収益をグン!とアップさせることも可能です。

よりパワフルなプロモーションツールとして認識していただき、収益を増やす施策として日々のマーケティング活動でインシタグラムを本格的に実践してみてはいかがでしょうか。