ティザー広告のターゲットと戦術

続いては、ティザー広告が採用される商品やサービスについてご説明します。
商品としては、下記のような傾向がみられます。

・スマートフォン、ノートPC、周辺デバイスのような電子ガジェット
事例【SONY「VAIO」新製品ティザー広告(2008年)】※紹介記事

・スニーカーや腕時計のような、ハイテク要素をもつファッションアイテム
事例【NIKE「AIR-JORDAN6 x SLUM DUNK」ティザー映像】※終売商品

・大人向けの高級玩具
事例【バンダイ「ネオアマゾンズ・ドライバー」ティザーサイト】※紹介記事
※ハイグレードなフィギュア、アニメやドラマの登場人物をイメージしたアイテム
  
上記のような商品に興味を持ち、購入するターゲット層ですが、下記のように分析できます。
  

1. ある程度の収入があり、趣味性の高い商品の購入にお金を使う余裕がある。

定職、あるいは定期的に転職しても安定した収入を見込める技能のある独身の中高年が、それに当てはまります。

趣味性の高い商品には当然プレミア的な価格が付帯しますから、収入や支出配分に余裕のない生活をしている層は、当然性能や品質が相応な商品を求めますが、生活に余裕があれば、「手触り」や「高性能」など、実用には必要なくとも「あれば嬉しい」要素、いわゆる付加価値への欲求が生まれます。
  

2. 若年期に、ホビー・カルチャー分野に耽溺していた

子どもの頃に観ていたアニメや特撮番組のグッズを親にねだった経験のある人は少なくないでしょう。しかし、当時は満足していたグッズでも、成長して大人の審美眼を獲得すると、どうしても子どもだましに感じられてしまいます。それ以外の趣味の分野でも、子どもの頃は「まだ早い」と、入門者向けの安価な商品をあてがわれているのが普通です。

一般的には、子どもの頃の趣味は成長と共に興味の向き方が変わったり、幼稚な感じがして離れてしまうものですが、深くはまり込んでしまった一部の人たちは人目をはばかる事無く、あるいは人目を避けてひっそりと続けていて、やがてそのまま成人となります。

そのような層の人たちが、成人して経済的にも余裕をもつようになると、「子どもの頃に欲しかったあのアイテム」への欲求を抱くようになります。

昨今は、メーカー側にも元マニアが入社し、商品開発に関わるようになってきています。作り手がクオリティにこだわって多少高価な商品になったとしても、買い手も同じ志向を持っているので、全く問題はありません。
  

3. 情報収集はネットが中心

1990年頃までは、新製品やサービスの情報は雑誌や新聞が中心でした。
※テレビは放映時間に物理的限界があるので、公益性の少ないマニアックな情報は積極的には扱わない傾向がありました

しかし、報道や情報交換の舞台が次第にネットに移るようになると、プレスリリースやリークはネット先行、新聞雑誌はその後をフォローするような体制に変化していきました。

PCやスマートフォンの扱いに抵抗のない1960年代生まれ以降の層は、SNSの発達によって互助的に作用する情報網を活用する最初の人々であり、爆発的に伝播するネット上の「うわさ」に対して非常に敏感です。