2. 2次元を超えたアプローチ手法を追求する

UXデザインとは、当初はホームページにおけるコンバージョンアップのための考え方であり、またスマートフォンアプリにおいて長く利用してもらうためのアプローチ手法とも考えられています。

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ただ、スマートフォンのスクリーンサイズは限られています。
スクリーン上でどのように素晴らしい体験をしてもらうかという考え方は、2次元的なアプローチでもあり、表現方法も数えるくらいなので、UXデザイナーの仕事内容も必然的に狭まってきます。

しかし、IoTが普及したり、AIやチャットボットの可能性が広がってきたりした今、UXデザインは次なる局面を迎えています。

例えば、AmazonのAlexaやIBMのWatsonのように、APIを経由して誰もがVUI(音声を使ったインターフェイス操作)を使ったアプリケーションを製作できるようになったので、スクリーンで指を滑らせる以上にまでUXを考える幅が広がってきました
また、英語のように広く使われている言語に対応するとなれば、イントネーションや文化、年齢やなまりもUXデザイナーとして考慮する必要が出てくるでしょう。

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また、VR(Virtual Reality)についても同じことが言えます。
深い没入感を得るためにはアプリの操作性や手の使い方などももちろん考えるべきですが、同時に国や地域によって異なるボディランゲージや年齢などを考慮してUXに取り組む必要が出てきます。

その意味で言えば、UXデザインはもはや2次元的なデザインと捉えては時代遅れなのかもしれません。
スマートウォッチが普及したり、Amazon Echoのようなデバイスが普及するのであれば、ユビキタスな(場所を問わない)ユーザー体験を考慮する必要があるでしょう。

3. 仕事を「UXデザイナー」という枠組みに限定しない

いつの時代でもそうですが、*「この仕事はこうあるべき」という「べき論」が議論されることはよくあります。
デザイナーで言えば、よく出てくる質問として
「デザイナーはコーディングもするべきか?」「デザイナーはコピーを書くべきか?」*というものがあります。
しかし、時代によって肩書きと職務内容は変化してきますし、その中で「べき論」を考えること自体が見当はずれだったりすることがあります。

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UXデザイナーを例に考えてみましょう。
面白いことに、この仕事をしている人のほとんどが、最初からUXデザイナーとしてキャリアを進めているわけではありません。
そもそもUXデザイナーという役割がこの5年くらいの間で確立されたということももちろんありますが、現在UXデザイナーとして活躍されている方の多くは、ビジュアルデザイナーやライター、あるいはマーケターなどでキャリアをスタートしています
そして実際に、UXデザイナーは、デザインはもちろん調査や戦略の立案、データ分析などにも責任を持ちます。

その意味では、UXデザインはデザインの「スペシャリスト」というよりは*UXに関する「ゼネラリスト」*として考えたほうがよいでしょう。