SNSやYouTubeを見ていると企業による動画発信の割合が非常に増えてきています。株式会社Jストリームが2021年に実施したWeb調査によると、コロナ禍を機に動画活用を始めた企業は約8割に上るなど、企業が顧客接点を増やす目的で動画を重要視していることが伺えます。

YouTubeチャンネル運営を手掛ける企業事例もまた、BtoCBtoBを問わず増加しつつあります。動画は購買・契約の意思決定を大きく後押しする役割を果たすため、顧客獲得数をアップさせるために、ぜひとも取り組むべき施策です。

この記事では、企業のYouTubeチャンネル運営において、成果を出す戦略の立て方と成功事例を紹介します。

目次

  1. 企業がYouTube(ユーチューブ)チャンネルを運営する際の考え方
  2. YouTube企業チャンネルの具体的な戦略の立て方
  3. YouTube企業チャンネルで最低限やっておきたいTIPS3つ
  4. YouTube企業チャンネルの成功事例
  5. 動画を起点にした、昨今のカスタマージャーニーを理解しよう

▼YouTubeチャンネルの視聴回数を増やすテクニックはこちら

YouTubeチャンネル運営における考え方と押さえるべきポイント

YouTubeチャンネル運営における考え方と押さえるべきポイント

YouTubeチャンネルを運営する上で⽋かせない⽬的やKPIの設定⽅法、視聴回数を増やすテクニックについて解説します。

企業がYouTube(ユーチューブ)チャンネルを運営する際の考え方

企業と顧客の接点として「メール」「LINE」「SNS」「DM」などさまざまなチャネルが考えられます。企業としての情報発信である以上、購買契約コンバージョン)につながることをゴールにコミュニケーションを行っているはずです。

これらの各接点において動画を上手く活用することで、コンバージョン率を高めることができます。

企業向け動画を制作する世界的なリーディングカンパニー「Wyzowl」が発表したリサーチ結果「Video Marketing Statistics | New Data For 2022」によると、次のようなデータが明らかになっています。

  • 96%の人が、商品やサービスについて詳しく知るために説明動画を見たことがある
  • 88%の人が、ブランドの動画を見て商品やサービスを購入することに決めた
  • 78%の人が、動画を見てソフトウェアやアプリを購入またはダウンロードすることに決めた

参考:Video Marketing Statistics | New Data For 2022 | Wyzowl

これらのデータから、動画はコンバージョンを強力に後押しする効果を発揮すると言えます。

特にモノ・サービスを売る企業側としては、昨今の消費者は購買・契約に至るまでのプロセスで、能動的にWebサイトやSNS、動画で情報収集を行って、理解・共感・自分ごと化できたら購買行動に移る、というカスタマージャーニーを理解しておく必要があります。

その情報収集のプロセスでいかに自社の商品・サービスを印象づけ、消費者の関心を引くことができるかが重要です。

YouTube企業チャンネルの具体的な戦略の立て方

企業がYouTubeチャンネルをこれから運営しようとする場合、どのような点に留意すればいいのでしょうか。

「とりあえずできることから始めてみよう」と考える企業も多いかもしれませんが、ゴールが「ビジネスの成果を上げる」であることを踏まえれば、始動前に明確な目標値を設定するべきです。

目標値がなければ、長期的に続ける中で具体的な改善点が見えず、結果として手応えが得られなくなってしまうからです。

チャンネル始動前にKPIを必ず設定しよう

チャンネル始動前にKPI重要業務指標)を必ず設定しましょう。

KPIは、組織の目標を達成するうえで必要です。組織内でKPIが共通認識になっていれば、チームメンバー各自が「この指標をいつまでに達成する必要がある」などと、意識のすり合わせができます。

未達の場合には「なぜ目標に届かなかったのか?これまでのアクションの問題点は?」「次にどんなアクションを取れば、目標に近づくか?」といったことも可視化できます。

特に企業のYouTubeチャンネルにおいては、早く成果を出すために高速にPDCAを回すことが必須です。短期間で何本も動画を公開して「前の反響はこうだったから次はこうしてみよう」などと、振り返り・改善・実行を素早く行うことが、手応えにつながっていきます。

細かな改善と、その効果検証を繰り返す中で、KPIが未設定だと「次に何にトライすべき?」という具体的な行動指針が立たないので、必ず設定しましょう。

企業のYouTubeチャンネルにおける重要なKPIは以下3つになります。

視聴回数(動画が再生された回数)

視聴回数はYouTubeチャンネル運営上の最重要指標です。YouTubeチャンネルのゴールが購買促進であるにしても、まずは自社商品・サービスについての動画をユーザーに視聴してもらって、認知獲得しなければ購買につながりません。

「YouTube上で何人が動画を視聴し、その後YouTubeから何人がWebサイトへ訪問し、やがて何人が購買に至った」といった具合に、視聴回数に焦点を当てることで他の目標達成にもつながります。

CTR(動画クリック率)

YouTubeでのCTRとは、動画サムネイルが視聴者に表示された後、どれぐらいの割合でクリックされたかを示す値です。つまり、動画の存在を知ったターゲットユーザーが、実際にどれぐらい再生してくれているかを示します。この数値が高いほど、視聴回数は伸びていきます。

CTRは、サムネイル次第で改善できます。ターゲットの興味を引きつけ、再生したい気持ちにさせるために魅力的なサムネイルを作りましょう。

動画投稿後、クリック率が低かったときのことを考慮して、動画投稿前に訴求軸の違う複数パターンのサムネイルを用意しておくと良いでしょう。

再生維持率

再生維持率とは、動画がどれくらい継続して再生されたかを示す指標です。「再生維持率が高い=視聴者の途中離脱が少ない」を意味し、ターゲットが求める情報を発信できている良好な状態と言えます。

再生維持率が低い動画や、すぐにブラウザのバックボタンを押されてしまう動画は、視聴者が求めていない動画と見なされ、以後は視聴者に対して「おすすめ表示」される確率が低下していってしまいます。

再生維持率を改善したい場合は、「冒頭でターゲットのアテンションを引き、離脱させない」という点を考慮して動画の構成を考えてみましょう。

KPI設定でのよくある悩み

KPI設定が不適切だと、YouTubeチャンネルを日々運営していく中でさまざまな壁にぶつかり、目標達成が難しくなってしまいます。例えばよくあるのは、次のような間違いです。

①定量的なKPI設定ができていない

KPIは必ず定量的数値によって客観的に計測できる)な指標にしましょう。

「動画の質を良くする」といった定性的(数値によって客観的に測れない)な⽬標を設定した場合、具体的に取るべき⾏動が明確になりません。また「質が良い」の定義も明確でないため、どの程度まで達成できたかの評価が難しくなってしまいます。

②実現不可能なKPI設定をしている

現実離れした目標は立てないようにしましょう。「半期でチャンネル登録者数100万⼈」といった現実離れした⽬標を設定すると、達成率の評価や改善点の洗い出しが難しくなります。

「どうせ実現できない」などとチームメンバーのモチベーション低下を招く恐れもあります。

③データが貯まる前にKPIを気にしすぎてしまう

データ(動画再生数)がある程度貯まってからKPIを追いかけるましょう。再⽣数が少ない状態で分析を⾏うと、ユーザーの偏りによる影響が⼤きくなってしまいます。

その結果、誤った考察をしてしまい、先々、再⽣数が思うように伸びなくなる危険性があります。

④競合やベンチマークを過度に意識しすぎる

競合やベンチマークとするチャンネルの発信内容は、あくまで参考程度に留め、自社のYouTubeチャンネルの独自性を大事にしましょう。

競合・ベンチマークのKPIと配信内容を意識しすぎると、自社のYouTubeチャンネルならではのオリジナリティに欠けてしまい、視聴者にとっては既視感による「飽き」が⽣まれやすくなります。

参考にした場合にも、単に同じものを配信するのではなく、他社で紹介されていない+αの内容も⼊れることがポイントです。

YouTube企業チャンネルで最低限やっておきたいTIPS3つ

KPIを決めたら、YouTube内で検索順位を上げる取り組みも必要です。そこで重要になるのが「VSEO(Video Search Engine Optimization=動画コンテンツにおけるSEO)対策」です。

タイトルのVSEO対策

まずは、動画のタイトル付けの工夫です。ユーザーの検索キーワードがタイトル内に含まれていなければ、なかなかヒットしません。

タイトル:
【メガネ屋が教える】【初心者向け】『眼鏡屋に行く前に必見』失敗しない!自分に一番似合うメガネの選び方

こちらは眼鏡チェーン店の公式YouTubeチャンネルです。

メインキーワードは「メガネ」、サブキーワードは「選び方」で、アクセントキーワードは「メガネ屋が教える」「初心者向け」です。「眼鏡屋に行く前に、失敗しない眼鏡の選び方をプロから学びたい」というユーザーニーズを捉え、23万回視聴を達成しています。
 

ハッシュタグのVSEO対策

動画をアップする際にはハッシュタグを付けましょう。特定のテーマに興味を持ったユーザーからの検索数を増やすことができ、検索順位も上がりやすくなります。

ハッシュタグ:
#保育士バンクお役立ち動画 #工作 #保育

保育士の求人・転職情報サービスが手掛けるYouTubeチャンネルで、保育士のしごとの現場や幼児教育に役立つ動画を配信しています。

動画の内容に関係のないハッシュタグを付けてしまうと、遷移してきたユーザーの反感を買い、離脱が増える恐れがあります。動画の内容を端的に表したハッシュタグを付けましょう。

ただし、誰も使っていないハッシュタグを付けても流⼊が⾒込めないので、検索数が多いハッシュタグ使用を⼼がけましょう。視聴数の多い動画に使われているハッシュタグをリサーチして使うことで、多くのユーザー流入が見込めます。

説明文のVSEO対策

動画の説明⽂に含まれるキーワードも、検索順位に影響を与えます。誰にとっても分かりやすい説明⽂を⼼がけましょう。

説明文:
トヨタ最小ミニバン
生まれ変わったシエンタの魅力をまとめてご紹介

・愛着のわくGood なデザイン
・ラクラク乗り降り&ゆとりの2列目スペース
・やさしさを散りばめた快適装備
・簡単操作で3列目&2列目シートをアレンジ

家族に、みんなに、いいことできました

シエンタの詳細情報はこちら
https://toyota.jp/sienta/

トヨタ自動車公式YouTubeチャンネルです。

人気車種のモデルチェンジが発表され「詳細が知りたい」とユーザーニーズが高まるタイミングに合わせて商品説明動画を公開。説明文では、この動画で「何が分かるのか?」を端的に伝えています。

▼合わせてチェック!YouTubeにおける動画SEOのノウハウをまとめた資料

動画活用方法~動画SEOノウハウ~

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PROOXの動画SEOノウハウについて解説致します。

YouTube企業チャンネルの成功事例

最後にYouTube企業チャンネルの成功事例を紹介します。

【BtoB】有名人インタビューや社会貢献活動も発信しブランディング強化:Salesforce

SalesforceはCRM・SFA・MA製品で世界的に有名な企業です。

YouTubeチャンネルでは、自社製品の導入事例紹介や、使い方の紹介動画のほか、世界的アスリートのインタビュー動画も公開。社会貢献活動の紹介なども交えて、視聴者の関心を引きつつブランディング強化につなげています。

【BtoC】お役立ちコンテンツでターゲットの関心を引き認知獲得:武田塾

武田塾は全国に400校以上展開する大学受験の学習塾です。「自学自習の時間で成績は伸びる!」という考えに基づき、おすすめの参考書や、勉強方法、大学ごとの対策方法などを詳しくYouTubeで配信しています。

ターゲットは、難関校を目指す受験生です。お役立ちコンテンツでターゲットの関心を引いて認知を獲得し、結果的に問い合わせ・入校につなげています。

動画を起点にした、昨今のカスタマージャーニーを理解しよう

 
YouTubeチャンネル開設後、再生回数を伸ばすことができれば、これまでリーチできなかったユーザー層からの認知獲得につながります。

認知獲得ができれば、コンテンツの内容次第で自社に対する興味・関心を高め、ユーザーを購買・契約に引き上げ、新規顧客獲得が期待できます。

「自社では何をゴールにYouTubeチャンネルをやるのか?」という点を常に明確にしながら、チャンネル運営をしていきましょう。 

▼YouTubeチャンネルの視聴回数を増やすテクニックはこちら

YouTubeチャンネル運営における考え方と押さえるべきポイント

YouTubeチャンネル運営における考え方と押さえるべきポイント

YouTubeチャンネルを運営する上で⽋かせない⽬的やKPIの設定⽅法、視聴回数を増やすテクニックについて解説します。