2016年は*「VR元年」*とも呼ばれていますが、2017年やそれ以降も、ますますVR市場が成長するのは間違いないでしょう。

スマートフォンが登場してから、Webデザイナーはスマートフォン向けのWebページアプリを作ってきました。
VRが登場し、普及しつつある今、WebデザイナーはVR用のアプリケーションを作ったり、VR体験の設計を行ったりする必要があります。

すでにWebVRという技術も登場しており、VR機器とインターネットがつながり、部屋にいながらあらゆる体験ができるようになるでしょう。
そうなると、Web関係者の対応範囲も広くなる可能性もあります。他人事として眺めているといつのまにか時代に取り残されていってしまうかもしれません。

今回は、VRのUXについて押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

VRのUXについて押さえておきたい5つのこと

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1. ますますインタラクティブな要素が強まる

VRで提供するユーザー体験は、通常私たちがコンピューターのスクリーン上で見たりスマートフォンで見るような2Dや3Dの世界以上に、より複雑でインタラクティブ要素(双方向性)が高いものになるでしょう。

もちろん、パソコンやスマートフォンでもインタラクティブな要素は楽しむことができます。
しかし、VRはスマートフォンのように画面を見て待機する時間がほとんどないので、連続的なインタラクションが発生します。

インタラクティブ要素が強いということは、ユーザーの動きに応じてデザインそのものが反応し、変化していくということです。
これからVRのUXに関わっていくのであれば、ユーザーの動きを予測し、即座に捉え、適切なUXを作り出すための仕掛けをすぐに展開する必要があります。

現在ではアイトラッキング技術を持っているVRデバイスもありますが、ゆくゆくは触感や匂いなどのフィードバック機能がついたVRデバイスが登場する可能性もあるでしょう。

2. 安心・安全で使いやすく

VRにおけるユーザー体験を成功に導くために必要な要素に、もちろんその世界観がいかにリアリティ溢れるものかというのも重要でしょう。
しかし、それだけでは素晴らしいVR体験を設計できたとは言えません。

重要なのは*「安心」「安全」*です。
VRでは基本的にヘッドセットを装着しますが、視覚や、場合によっては聴覚までを完全にVRに委ねてしまうので、安心して安全に使えるように、ユーザーに啓蒙することが大切です。

実際に、視覚や聴覚を長時間VR端末に預けすぎてしまうと、しばらくの間周囲の明るさに適用できなかったり、方向感覚がおかしくなってしまう場合があります。
このように、VRを体験することで発生する症状は*「VR病」*と呼ばれており、VRが普及するうえで解決するべき課題とされています。

全体的に安全で安心できる設計にするのはもちろん、ユーザーが快適に自分でコントロールできるようにさまざまなものを操作できるようなデザインにしておくのが望ましいと言えます。

3. 2つの「快適さ」を保障する

「VR病」を防ぐために過度な加速や減速のエフェクトを避けたりして、VRが物理的に身体に与える影響を最小限にとどめるのはとても大切なことです。
しかし、「物理的な」快適さだけでなく、「心理的な」快適さも同時に提供するのが重要です。

例えば、人間は、高すぎるところや、狭すぎるところ、逆に広すぎてしまうところにいると、不安を感じてしまいます。
ただ単にVR空間を楽しんでいるにもかかわらず、こうした空間を前にすることでスリルを感じるひともいれば、不安に感じるひともいることを心得ておくべきです。

また、VRを使った対戦型ゲームのようなコンテンツも注意が必要です。
VRを通して目の前にいる誰かが、自分に向かってものを投げつけてきたときに、おそらく直感的に掴んだり、投げ返したり、避けたり、防御したりするでしょう。
人によってはこうした体験を気持ちがいいとは感じないひともいるはずです。

4. 適切な利用時間が鍵

あまり長時間VRヘッドセットをつけていると、「VR病」になりやすかったり、そうでなくともユーザーが疲れてしまいます。

VRコンテンツの多くは2〜3時間ほどのものが多いのですが、人によっては30分〜1時間近くVRヘッドセットを装着しただけで気分が悪くなるひともいるようです。
VRFocusによればVRをノンストップで見続けたギネス記録の最高記録は50時間ですが、これだけ長時間ヘッドセットをつけていると、強い「孤独感」を感じるようです。

身体的・心理的にかかわらず、健康被害に結びついてしまうと、せっかくのVR体験も台無しです。
一定の利用時間を経過したら、何らかの警告を出すようにするなど、ユーザーの状態に気を払うのも、安全にVRを楽しむために必要なことなのでしょう。

5. 適切な視界で表示する

アメリカのある脊椎外科医によれば、スマートフォンを見続けているとき、見る角度によっては背骨に最大で30キロ弱相当の圧力がかかっているそうです。
もし1日に2時間スマートフォンを使い続けていると、年間で730時間も背骨に負担をかけ続けていることになります。

これは、スマートフォンだけでなく、読書に没頭したときにも同じ状態になるとも言われていますが、VRに関しても起こりうることです。
もしまっすぐ前を向いた状態では目的の対象物が見えづらく、すこし首を曲げて見ないといけない場合は、何らかの改善を行なったほうがよいでしょう。