テクノロジーが進化し、多くのビジネス領域でIT化が進んだ今、様々な業務が仕組み化されつつあります。
しかし、企業にとって重要なポジションであるにもかかわらず、なかなか仕組み化が進みづらいのが「営業」です。
CRMやSFA、マーケティングオートメーションなど、営業活動を効率化し、脱属人化させるためのツールは多数生まれているにもかかわらず、なぜ未だに属人化から抜け出せていないのでしょうか。

一方で、このままAIが進化すれば属人化どころか「営業を行う人間は不要になる」とも言われています。
テクノロジーが進化し続け、営業を取り巻く環境が劇的に変化しているなか、これからの営業マンはどうあるべきなのでしょうか。

今回は、株式会社WEIC主催のイベントで行われた、気鋭の経営者3名による「これからの営業マンの在り方」をテーマにしたパネルディスカッションの様子をお届けします。
  

登壇者

株式会社WEIC 代表取締役社⻑ CEO 内⼭雄輝

1981年⽣まれ、2004年株式会社WEIC創業。語学eラーニングサービス、ITエンジニアリングサービスの提供を経て、2014年ITを活かした営業⽀援サービスの提供を開始。⽇本の営業シーンに⾰命を与え、働き⽅改⾰にも貢献を⽬指す。

UPWARD 株式会社 代表取締役 CEO ⾦⽊⻯介

1973年⽣まれ、2016年UPWARD株式会社 代表取締役 CEOに就任。CRM・スケジュール・地図/位置情報を⾼度に連携させたフィールドセールスのためのクラウドサービスを提供。

株式会社FREE WEB HOPE 代表取締役 相原祐樹

1985年⽣まれ。メディアコンテンツ会社の営業職を経て、2011年株式会社FREE WEB HOPE 代表取締役に就任。メディアプロモーション事業・インターネット広告事業などを展開。

株式会社ベーシック 執⾏役員 ferret 創刊編集⻑ 飯髙悠太(モデレーター)

1986年⽣まれ、2014年株式会社ベーシック⼊社。Webマーケティングで世の中の問題解決や事業創造を提案。Webマーケティングポータルや、マーケティングオートメーションツールなどを運営。

(プロフィールはイベントページから引用)
  

営業チームの永遠の課題は「属人化」

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手前から、ferret飯髙、FREE WEB HOPE相原氏、UPWARD金木氏、WEIC内山氏

  
飯髙:今、世の中の会社が抱えている営業回りの課題って何でしょう?

金木氏:営業マンに限らないんですが、やはり「2:8の法則」があります。
できる営業マン2割と、普通の人8割にわかれる。

営業が強い会社は、見える化と言語化を徹底してますよね。
一部の人が無意識にやっているノウハウを可視化することをものすごくやっています。
可視化するためにツールを導入して、ただ導入するだけではなく伝えるためのメソッドがしっかりある。

内山氏:営業マンって、自分の営業ノウハウを見せたくないって感情強いですよね。

相原氏:社内のチーム間で競っているとノウハウは言いたくない、って会社もありますよね。俺のやり方は誰にも言いたくないっていう。

飯髙氏:「属人化」は、1つ大きな問題として横たわっていますよね。
これから必要とされるのは、マルチタスクができて1人で完結できるスーパースターではなくて、プロフェッショナル型の営業マンなのかなと思います。
フェーズによってスーパースターも必要だとは思うんですが。
あらゆる業務がどんどん自動化されていく中で、これからの営業マンに求めるスキルってどういうものなのでしょうか。

相原氏:会社の1人目のスーパースターって、やっぱり創業者だと思うんですよね。
まず社長がスーパースターになって、それを誰でも再現できるように細かく言語化していく必要があるかなと思います。

飯髙:どのぐらい再現性を出せるものなのでしょう?

相原氏:きちんと言語化できれば6割ぐらいのレベルであれば、半数の営業マンで再現性は出せますね。
あとの4割を埋めるのは結局は気合いと根性です。
大前提として、マインドがないとダメですからね。

金木氏:情報時代の今は、営業マンは「情報の感度」や「気付き」が大事だと思うので、営業マンに気付きを与える仕組みを構築していかなきゃいけないなと思います。

内山氏:僕は「組織論からの脱却」が必要だと思います。
ROIKPIを達成するためのベストオブベストな組織ならいいと思うんですが、大企業や歴史の長い企業だと派閥とか色々あって、組織の中でこうあるべきっていう体制になっているところが多いと思うんですよ。

中国やアメリカはとても合理的で、ほとんど残業せずにみんな帰ります。
とても効率的に回していますよね。
日本人はチームで働いてる一体感を大切にしている。
それも良い文化ではあると思うんですけど、もう少し効率化できるだろうなと感じています。
  

ワンマン経営では「社長の能力を超えることはない」

飯髙:営業マンをマネジメントする上で、何を重視していますか?

金木氏:僕は弱気に徹していますね(笑)。とにかくメンバーの意見を聞く。結果、強引に決めたりはするんですけど、部下の意見はリスペクトします。

内山氏:僕もですね。社長が全部決めちゃうのは簡単なんですよ。でもそれでは社長の能力を超えることはない。
重要なのは仲間を増やすということと、社長に文句言える社員をどれだけ作れるかが重要。

一度、社員から、「何でそんなに威圧的なの?自分オーナーだし、社長だし、権限あるんだからそんなことしなくてもいいでしょう」って言われたことがあって。
それをきっかけにマネジメント方法が変わりましたね。

とにかく任せて、失敗させる。失敗するってのはわかるから、それをリカバリーするための策を常に考えています。
ここまでは失敗させてみようとか。ここから超えるとまずいからフォロー入れようとか。

本人はそこに気付いていないから文句を言ってくるんですけど、気付かせるために努力します。
すごく疲れますけどね。そこまでやって成長してもらえると楽できるなと。

金木氏:うちの会社の良い状態は、僕がいなくても勝手に進んで行く状態ですね。
「ちょっと僕にも頼ってよ」って言っちゃう状態が理想です。

相原氏:僕も内山さんとかぶるエピソードがあって。
パワープレーでマネジメントしていた時、「お前がすごいのは十分わかってるよ」って言われて、虚勢をはる必要はないのかなと気付きました。
今は「共創」を心がけています。
施策を自分で進めていくのは簡単なんですが、ついてきてもらえないと意味がないですからね。

内山氏:あとは圧倒的パフォーマンス出すとかですよね。

飯髙:僕は、一定の自由とルールのバランスを重視してます。僕はあまりプロセス管理が好きではなくて。
ゴールまでの道を考えてほしいんですよね。できる限り自分で思考してもらうようにしています。

相原氏:プロセス管理はあくまで基準ですしね。うちでもできる人間は管理がいらないんですよ。
結論、売り上げが上がっていれば管理なんて要らない。
  

「リモートワーク」に対する経営者の本音

飯髙氏:今、国主導で働き方改革を進めていて、労働時間の減少やリモート推奨など色々出てきましたよね。
正直なところ、リモートってアリですか?

相原氏:半々ですね。アリだしナシ。まだ対面は大事。うちもリモートやってる子は一部いるんですよ。デザイナーの子で。
大阪のレンタルオフィスで仕事してもらってますけど、本当に何やってるかわからないです。

でも、ちゃんと期限どおりに納品してくるからまあいいかなって。
人によると思います。できる奴はリモートでもできるし。

金木氏;うちも同じですね。開発メンバーはリモートでいいよと言っています。
結果、みんな会社に来るんですけどね。

会社に来るのは、帰属意識とか、ここに所属しているっていう確認の行為なんですよね。
人って非効率的なことを求める生き物で。やりたくないことをやると、それが生活のリズムになるんですよね。
1年間リモート推奨して回してみて気付いたことです。

内山氏:会社としてはリモートワークはアリです。時流にのるという意味合いもあるし、採用面にも良い影響出るし。
ただ、正直本当によくわからない。
クリエイターなら集中できる環境がいいのかなと思いますけど。

ただ個人的には、全くナシです。
リモートだと、僕1日中パジャマでいるし、テレビ見るし、ビール飲んじゃいますよ(笑)。
社会と隔離されてる空間は、ちょっと気持ち悪い。
なので、うちはスーパーフレックスを導入しました。コアタイムは3時間だけ。

あと今起こっている働き方改革って、働く時間を短くすることだけにフォーカスされていて、女性の働きやすさだったりが注目されてますよね。じゃあ僕みたいなワーカホリックが好きなだけ働ける環境はないのかとも思います。

相原氏:僕もそう思いますね。やりたい奴はやればいいし、KPI達成できればみんな自由にしたらいい。ただ、早く帰る奴を批判する会社はまずいですね。成果を出していればそれも1つのやり方としてアリですからね。
  

AIが進化すると営業マンは不要になる?

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飯髙:AIがこのまま進化していったら、遠くない将来、AIが営業できるようになるのでもしかしたら営業マンはいらなくなるんじゃないかとも言われています。
AIと営業の関係について、皆さんはどのように考えていますか?

内山氏:前提として、機械学習にしろディープラーニングにしろ、AIってデータがないと何も始まらないんですよ。データがないと単なる統計ツールなんです。
なので、どのようにデータを集めて、データベースとしてちゃんと読み取れるように識別させてデータサイエンティックにできるかが重要です。
そこが難しい。「データの作り方」の部分ですよね。そこは人がやる部分かなと。

僕の会社では、テキストマイニング寄りのAIを開発しています。インサイドセールスから取れる音声データをテキストに落として、単語ごとに解析して傾向を分析します。
例えば、パソコンを売っている企業のインサイドセールスが既存顧客にヒアリングして「4年前に購入したけどそろそろ買い替えを検討している」という回答が得られるとします。

これって、顧客自身がWeb上に入力することはないですよね。インサイドセールス経由で人を伝って入手できる情報です。
そのような情報をデータ化してディープラーニングに読ませると、営業時期が読みやすくなる。
こういったことができると、営業活動は非常に楽になりますよね。

相原氏:そういえば、ちょうど、フルーツ缶をAIが売り切ったって言うニュースが出てましたね。

参考:
ドールのフルーツカクテル缶、AIが売り切る|深層 | Campaign Japan 日本

ただ、そもそも「フルーツ缶を作るのは誰なんだ」っていう。
僕は、営業マンが商品開発するべきだと思っていて。
売れる商品をわかっているのはフロントにいる営業マンですよね。
缶のパッケージを作るのも誰なんだっていう。

仮に、営業がいらなくなるぐらいオートメーション化された時、本当にレコメンドだけで商品を買うのかっていう疑問もあります。

あと、コミュニケーションが消えない限り、営業が無くなることはないです。
AIにレコメンドされた商品が完璧で全部買っても、友達からオススメされた商品も買っちゃいますよね。
だからコミュニケーションがある限りは営業はなくせないと思います。
減ることはあるかもしれませんけどね。

内山氏:法人営業が基盤の場合だと余計なくならないでしょうね。人が訪問して商談して稟議とおしてっていう文化がある限り、2、30年後まではなくならないでしょうね。
その先は、営業マンは情報収集して、商品企画だったり、会社を良くするための働きをしていくことになるかもしれませんね。