あらゆるモノがインターネットに接続できるIoTの時代になり、コンピュータを身体に着ける「ウェアラブルデバイス」が飛躍的に普及しました。

「スマートフォンを操作するデバイス」としての用途にとどまらず、スポーツからビジネスまで多様なシーンで活用されはじめています。

ウェアラブルデバイスといえば「Apple Watch」をはじめ、スマートウォッチが一般的です。近年では、イヤホン型やメガネ型など身体の部位に合わせたバリエーションも増えています。

今回は、ウェアラブルデバイスの現状の市場規模を解説しつつ、いま注目するべきウェアラブルデバイスをまとめました。

2017年も成長が期待されるウェアラブル市場

ウェアラブルデバイス」は、いまや珍しいものではなく一般的に商品として認知されるようになりました。

IT専門調査会社のIDC Japanによると、2017年の第1四半期のウェアラブルデバイス世界出荷台数は、前年同期比17.9%増の2,470万台に達しています。日本国内に限定すると前年同期比19.9%減少の20万4,000台と減少しているものの、まだまだ成長が期待される市場です。

ウェアラブルデバイスは、Apple Watchのような腕に巻くタイプが主流です。しかし、近年ではイヤホン型やメガネ型など身体の様々な部位に装着できるデバイスの開発が進んでおり、産業への活用なども期待されています。

現在、注目を集めているウェアラブルデバイスをジャンル別にどのように活用されているのかを解説します。

参考:
2017年第1四半期 世界/国内ウェアラブルデバイス市場規模を発表

注目のウェアラブルデバイスまとめ

1.スマートウォッチ

「スマートウォッチ」はウェアラブルデバイスを語る上で欠かせません。Appleの「Apple Watch」やSamsungの「Gear S3 frontier」などが代表的な商品です。スマートフォンと連携することで、アプリの通知を受け取ったり、スマートフォンのコントローラ代わりとして機能します。

スマートウォッチが登場した当初、プレイヤーはAppleやSamsung、ASUS、モトローラのようなIT企業が中心でした。

近年では、シチズンやスカーゲン、FOSSILなど、時計メーカーが参入しはじめています。
一見するとアナログ時計のようなデザインが特徴で、ビジネスシーンでも利用しやすいということから人気を集めています。

液晶を持たない商品も多く、振動による通知や音楽の再生停止など、機能が非常にシンプルなのが特徴です。IT企業が手がける多機能なスマートウォッチとの差別化が進み、幅広い層に受け入れられるようになりました。

価格帯は、1万円台から10数万円台まで幅広く、機能やブランド価値によって大幅に異なるのが特徴です。

【主要なスマートウォッチ】
Apple:Apple Watch Series 2
Samsung:Gear S3 frontier
CITIZEN:エコ・ドライブ Bluetooth

2.活動量計(アクティビティ・トラッカー)

歩数や消費カロリー、睡眠時間や心拍数など「身体のコンディション」を可視化するためのデバイスが「活動量計(アクティビティ・トラッカー)」です。スマートウォッチ同様に腕に巻き付けるデザインが主流です。

また、ヘルスケアやスポーツに特化しているのが特徴です。デバイス単独で「ライフログ(活動の記録)」を記録し、スマートフォンやタブレットにデータを反映する機能が主流です。

近年、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社とFitbit社がパートナーシップを組み、保険契約者にウェアラブル端末を貸与する取り組みも始まっています。

保険契約者の活動データを分析することで新たなサービスの開発・提供に活用されています。

価格帯は、概ね1万円前後で販売されており、その他のウェアラブル端末と比べ低価格帯の商品も多く、導入しやすいのが特徴です。

【主要な活動量計(アクティビティ・トラッカー)】
Fitbit:Alta HR
・GARMIN:vívosmart 3 S*(2020年8月6日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*
Misfit:RAY

参考:
健康増進に向けた共同ビジネス展開の開始について PDF

3.ワイヤレスイヤホン型デバイス

Appleの「AirPods」がキッカケとなり、盛り上がりを見せたのがワイヤレスイヤホン型のデバイスです。シンプルに「イヤホン」としての機能しか持たない商品も多いですが、実はウェアラブルデバイスとして多機能化が進んでいます。

「AirPods」は、同社のAIアシスタント「Siri」に話しかけることで、iPhoneやMacに直接触れること無く操作ができます。

また、老舗のヘッドセットメーカー、Jabra社が手がける「Jabra Elite Sport」は、心拍計や音声コーチ機能が搭載されています。これは、心拍を計ることで適切な運動が行えるようにサポートできるというものです。

ワイヤレスイヤホン型デバイスは、音声認識やAI技術の進化に伴い、今後も発展が期待されるウェアラブルデバイスの1つです。価格帯は、機能により異なりますが1万円台中盤が中心です。

【主要なワイヤレスイヤホン型デバイス
Apple:AirPods
Jabra:Jabra Elite Sport
Samsung:Gear IconX

4.スマートグラス(メガネ型デバイス)

「スマートグラス」は、眼球の動きを感知するメガネ型のウェアラブルデバイスです。Googleの「Google Glass」が注目を集めましたが、一般販売が中止されたことでブームは一時的に落ち着きました。

しかし、メガネの専業メーカーが複数参入したことで、再び注目を集め始めているウェアラブルデバイスです。JINSが手がける「JINS MEME」は、眼球の動きから利用者に応じた集中時間を導き出す機能が搭載されています。

また、メガネスーパーが手がける「b.g.(ビージー)」というスマートグラスは、「視野拡張」をコンセプトとして開発されました。こちらは、BtoB向けに開発され、物流や医療、介護など「手を使わずにデバイスを閲覧する」需要に対しての活用が期待されています。

【主要なスマートグラス】
JINS:JINS MEME
メガネスーパー:b.g.

5.その他

その他にも、「コンタクトレンズ型」「指輪型」「靴下型」など、身体の部位ごとに様々なウェアラブルデバイスが開発されています。未発売の商品も多いですが、大手のIT企業によって特許が出願されているものもあります。

身体に沿った形状のデバイスが登場することにより、人間の身体の能力だけでは解決できなかった課題が解決できるかもしれません。これらは、ハンディを持った人々にとっての拡張デバイスとしての活用もできます。

まとめ

ウェアラブルデバイスは、身体の部位に合わせて多様な商品が生まれています。

スマートフォンの通知を受け取るような受動的な使い方だけでなく、ビジネスやヘルスケア領域への活用も期待できるでしょう。

目に見えるものを拡張するスマートグラス、音声でデバイスを操作できるワイヤレスイヤホン型デバイスなど、さまざまなアプローチからウェアラブルデバイスが生まれることで解決できる課題も増えていくでしょう。