動画広告の制作やイベント開催時のBGMとして、音楽を利用する際にはJASRACから許諾を得なければいけないことは多くの方がご存知でしょう。
では、JASRACから許諾を得るべきシチュエーションにはどういったものがあるのでしょうか。

今回は、音楽を利用する際の基本的なルールを解説します。
著作権の保護期間を過ぎている場合など、音楽によっては使用許諾が必要のないものもあります。ぜひこれから音楽をプロモーションに利用しようという方は、参考にしてみてください。

著作権の基本知識

そもそも何故、楽曲を使用する際に使用許諾が必要となるのでしょうか。
それは、楽曲には著作権が発生しているからです。

著作権とは、作者がその著作物を独占的に利用できる権利を指し、著作権において以下の4点を満たすものが著作物であると定義付けています。

【著作権法の保護となる対象】
(1)「思想又は感情」を表現したものであること
→ 単なるデータが除かれます。
(2)思想又は感情を「表現したもの」であること
→ アイデア等が除かれます。
(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
→ 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
→ 工業製品等が除かれます。
引用:著作物について|文化庁

上記からもわかる通り、楽曲だけでなく歌詞も含まれ、即興演奏のような形で発表されたものも著作権法保護の対象となります。

そのため、著作権を所有している楽曲を第三者が勝手に演奏したり、複製したりといったことはできません。

参考:
著作権の概要|JASRAC
岩波書店『広辞苑 第六版』(2008,2009)

権利者への許諾を得ることなく利用できる場合

では、社会に発表されている楽曲すべてに作者の使用許諾が必要なのでしょうか。
実は、著作権の対象にならない楽曲や許諾の必要のないケースが存在します。

参考:
著作権法
著作権と利用手続き|JASRAC

1.著作権の保護期間を過ぎたもの

著作権には、映画や小説など著作物の種類によって保護期間が定められています。
楽曲の場合、創作された時点で著作権が発生し、原則として作者が亡くなった翌年の1月1日から50年までが保護期間となっています。

そのため、この期間を過ぎた楽曲は権利者の許諾なく、利用できます。

ただし、例えばベートヴェンのように死後50年以上経過しており、著作権が失効している場合でも「著作隣接権」が発生している場合、使用許諾が必要となります。
著作隣接権とは、楽曲の演奏者・レコードの製作者などが著作物を利用する際に認められる権利です。

著作隣接権の保護期間は、実演した翌年から50年間となります。
そのため、たとえどんなに古い曲であっても、50年以内に演奏されたものであれば著作隣接権で保護されています。自社で利用したい楽曲がある際は、著作権だけでなく著作隣接権で保護されているかどうかも合わせて確認してください。

参考:
日本BGM協会 | 著作権Q&A
小学館『精選版日本国語大辞典』(2006)

2.営利を目的としない上演

高校の文化祭や部活動など、営利を目的としない上演に使用許諾は必要ありません。

1.営利を目的としないこと
 2.聴衆又は観衆から料金を受けないこと
 3.実演家に報酬が支払われないこと

上記3つの条件をすべて満たす場合のみ、該当します。
例えば、運営側が演奏者に演奏料を支払い、入場者から金銭は取らずに音楽会を行う場合、「3.実演家に報酬が支払われないこと」を満たしていないため、使用許諾が必要となります。
なお、録音・録画やインターネットによる配信を行う場合は別途使用許諾が必要です。

3.私的使用のための複製

個人または家庭内などの限られた範囲で、使用する本人が複製する場合、使用許諾は必要ありません。
ですので、CDショップからレンタルしたCDを個人利用のためにコピーするのは問題ありません。